第249話 喫茶店でのティタイム その2

(俺がさっき……追加注文の確認を取った時、真優美さんに少しの間が有ったよな!)

(真優美さんが対応に、困ったのかも知れないな……俺たちをどうするかの…)

(だが、虹心の頭の中は、ケーキを食べるモードに成っているだろう…)


 注文後。真優美さんは俺たちのテーブルから離れていく。

 俺はその姿を見つつ、同時に店内を軽く見渡す。


(俺たち以外のお客さんは、一組だけか……)

(常連達は時間を知っているからな……)


「んっ…!」

「兄ちゃん。どうしたの?」


 俺が店内をキョロキョロ見ているのを、虹心が不審に感じて声を掛けてくる。

 だが、俺は澄ました表情で言う。


「別に何でも無いよ。虹心!」

「良い雰囲気な店だなと!///」


「……ふうん~~」

「兄ちゃんは、この系統のお店が好きなんだ!」

「意外~~!!」


 何故か、小馬鹿にした表情で言う虹心!?


(この様な店が、好きと言えば好きだが、虹心に余計な気遣いをさせたくは無いしな!)

(それに真優美さんもラストオーダーのことを、言わずに戻って行ったから、俺たちは多分歓迎されているのだろう…)


「うん。そうなんだ。虹心!」

「少し……昭和の香りが残る、お店が良いんだ!!///」


「!……」


 俺は作り笑顔で言うが、虹心は目を見開いて俺を見始める!

 その後、虹心は少し驚いた表情で言い始める。


「オタク兄ちゃんが……そんなこと言うなんて!///」

「……あっ、どうせ兄ちゃんのことだから、昔ながらの喫茶店描写が出てくる、女の子ゲームの影響だな!!」


「フリフリのメイド服を着た、水色髪や茶髪女の子を見て、それで感化されたんだな!!」


 最後の文章は『ジト目』表情に成って言う虹心!!

 どうして虹心は、そっち方面に持って行きたがる!?


 それに何故、虹心は美少女ゲームを知っている!?

 虹心の世界では、知りようが無い筈だろ!??


 まぁ……影響が、無い訳では無いが!///(汗)

 俺は困った微笑み表情で言う。


「まぁ、そう言うことだ。虹心!」

「だが、少し過去に戻った気分がして良いではないか!!」


「兄ちゃん! 女の子ゲームの事は認めるんだ!?」


「う~ん……そうだねと、言えば良いのかな?」

「私は、このお店に来たのは今日が初めてだけど、私は古風のお店より、モダン的なお店の方が良いね!!」


 驚きの言葉の後は、困った微笑み表情で言う虹心。

 人の感性は人それぞれだから、それだけで有る。


 虹心は言葉の後。手持ち無沙汰なのか、再びポシェットからスマートフォンを取り出して、その画面を見始める。


 その時に俺たち以外に居た、一組のお客さんもレジに向かい始める。

 この一組が出れば、店内のお客さんは俺と虹心だけに成る。


(どうにか、虹心に勘づかれずに済んだな!)

(だが、店内は俺たちだけか……)

(もう少し、早く来店する様にすれば良かったな!!)


 俺は心の中で、自分反省会を始める。

 俺の予想が正しければ、真優美さんのお店は13時半過ぎから休憩時間に入る。


(今の時刻が……13時25分か)

(13時半に成った途端、以前青年漫画雑誌で読んだ、何処の居酒屋シーンのように、客(俺たち)を追い出すような事はしないだろうな!?)


 思った通りの事が起きてしまったら、それは仕方ない事で有るが、真優美さんの性格上、絶対そんな事はしないと思う。

 前回、俺が休憩時間に来店した時だって、真優美さんは迎え入れてくれたのだから!


『コツ、コツ、―――♪』


 俺が心の中でそう感じていると、真優美さんが俺たちのテーブルに近付いて来る。

 注文した品物を持って来たのだろう。

 テーブルに到着すると、真優美さんは営業スマイルで声を掛けてくる。


「お待たせしました!」

「各ドリンクとケーキ、ハーブクッキーでございます!!」


 言葉の後、真優美さんは配膳を始める。

 虹心がスマートフォンをポシェットに仕舞っている中、俺はそれを静かに見守る。


 此処からは、午後のティタイムと成るのだか、このままお邪魔しても大丈夫なのだろうか?

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