第247話 喫茶店のランチ その3

「もぐ、もぐ、―――」


「……」


 虹心は言葉の後、再び丼鉢を手に持って、カツ丼を食べ始める。

 表情も不味そうな表情では無く(?)、美味しそうな表情で食べている……


 俺は、その光景を呆然とした表情で見ている。

 すると虹心が、食べ物を飲み込んだタイミングで言ってくる。


「…兄ちゃんは食べないの?」

「早くしないと、冷めちゃうよ!!」

「カツ丼は、出来たてが一番美味しいのだから!!」


 和やかな表情で言う虹心で有るが、まるで虹心が作ったカツ丼のように言う!?

 虹心の中では、真優美さんが作ったカツ丼は合格なのかな?

 俺は、尋ねる表情で虹心に聞く。


「……虹心の中では、真優美さんが作ったカツ丼は合格なのか?」


「合格…? 兄ちゃん!」

「合格も不合格も無いよ。私は試験官でも無いしw!」

「私が作るのと比べれば……少し弱いけど、十分通用する味だよ!!」


 和やかな表情で言う虹心だが、カツ丼の腕前に関しては、虹心の方が上だと言い切った!?

 ほんまかいな……


「兄ちゃん。本当に早く食べないと、カツのサクサク感が無く成るよ!!♪」

「コンビニやスーパーのお弁当のような、“しなしな”カツ丼が好きなら別だけど!!」


「うっ、うん……今から、食べるよ!///」

「虹心が美味しいと言うのだから、期待出来そうだ!///」


 虹心が和やかな表情で言った後、俺は少し恥ずかしそうの表情で言って、丼鉢を手に持ってカツ丼を食べ始める。

 普段は面倒くさいから、俺は犬食いをしているが!///


「もぐ、もぐ、―――」


「うん!」

「普通に美味しいじゃないか。虹心!!」

「甘辛い出汁で煮込まれた豚カツと、玉子やタマネギの煮え方も俺好みだ!!」


 俺は虹心に笑顔で言いながら、真優美さんが作ったカツ丼を食べている。

 すると、虹心は困った微笑み表情で言ってくる。


「……まったく兄ちゃんは本当、美味しそうに食べるね…!」

「私が作った時と、同じ表情で食べているよ…」


「兄ちゃんの場合は味よりも、愛情・好意なのかな!♪」

「真優美さんは兄ちゃんの、お気に入りの人だし!!」


「!」


 虹心の言葉でご飯が一瞬、気管支に入りかけるが、むせること無く終わる。

 俺は丼鉢をテーブルに置いてから、虹心に困った表情で言い始める。


「あっ、あのな……虹心!」

「そう言った会話は、家でしてくれ!///(汗)」


「別に良いじゃん!♪」

「事実を言っている訳だし!♪」


 虹心は嬉しそうな表情で言い終えた後、再びカツ丼を食べ始める。

 外だろうが……本当に配慮をせずに、言いたいことを言う虹心!

 俺だから……その様な行為をしているのだろうか?


「もぐ、もぐ、―――」


「もぐ、もぐ、―――」


 その後は、会話を楽しむより、昼食(カツ丼)を食べる方にお互いが意識を向ける。

 虹心の中では、虹心が作るカツ丼以下だと言ったが、俺の方は『旨い!』に値する味で有った。


 口の割には、美味しそうな顔で食べている虹心だから、負けず嫌いで言ったのだろう!?

 俺や虹心も、喫茶店で食べる昼食を楽しむ……


 ……


『ごちそうさまでした!』


 ほぼ、二人同時に昼食のカツ丼を食べ終える。

 食べるスピードは俺の方が断然速いが、カツ丼を大盛りにしたため、普通盛りで有る虹心と同着に成った。


 カツ丼を食べ終えて、水を一口飲んだ虹心は、女性らしく紙ナプキンで口元を拭いている。

 口元を拭き終えた虹心は、テーブル横に置いて有るメニューを笑顔で手に取って、メニューを広げて見始める。


(…食後にケーキを食べると、虹心は言っていたな!)

(今だと時間的に……、喫茶店の休憩時間に入りそうだが大丈夫かな?)


 俺はそんなことを思いつつ、メニュー表を広げて見ている虹心を眺めていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る