第246話 喫茶店のランチ その2
『いただきます!』
俺と虹心は二人で、食事前の挨拶をする。
これは家庭内だろうが、外食の時だろうが変わらない。
三國家の人間は、常識やマナーを持った家で有る!?
お互い、初めは味噌汁から食べ始める。
俺は味噌汁の入ったお椀を手に持って、味噌汁をすする。
「ズズ~~」
「色の通り、真優美さんの所は合わせ味噌か!」
「味に関しては……こんな物かな?」
「だが、わかめと少量の刻みネギだけか……少し、物寂しいな…!」
「ズズッ」
俺が澄ました表情で一人喋りをしていると、虹心も同じ様に味噌汁をすすっているが、虹心の場合は目線を俺に合わせて、穏やかな表情で話し掛けて来る。
「兄ちゃん……この味噌汁は、調味味噌を使った味がするね!」
「業務用味噌汁の素を、使っているのかな?」
「後……兄ちゃんの言う通り、味噌汁の具材が寂しいね!」
「豆腐ぐらい入れれば良いのに…!」
俺と虹心は味噌汁にケチを付けているが、真優美さんはカウンター内で洗い物をしている為、俺たちの声は届いていないはずだ!?
それに、俺たちのテーブルからカウンターには大分離れている。
もし、声が届いていたら、俺たちは追い出されるかも知れない!?
俺は、感心した表情で虹心言う。
「……虹心の舌は、大した者だな!」
「俺には、外食の味噌汁としか感じ無かったよ……」
「私も、インスタント出汁を使うから分かるんだよ!」
「味にトゲが有ると言うか……」
「けど、真優美さん一人で切り盛りしているのに、其処までの贅沢は求めては駄目だね!」
「喫茶店のメインは飲み物や軽食で有って、料理がメインでは無い!」
虹心は和やかな表情で言う。
(虹心には細かい味まで、理解出来る訳か!)
(そうだよな……虹心も毎回では無いが、昆布やカツオ節。煮干しで出汁を取っている時が有るな…)
これは、俺が虹心の料理作りを手伝うように成ってから知ったのだが、虹心は昔ながらの方法で出汁を取る時が有る。
虹心も料理には自信が有るから、張り切る時が有るのだろう?
俺は……神の舌を持った人間では無いから、繊細の味を知ることが出来ない。(?)
けど、一から出汁を取った味噌汁や煮物は、インスタント出汁と比べて美味しく感じる。
何て言うか、虹心の優しい味が入っていると言えば良いのか?
虹心は怒らせなければ、基本は優しい!?
「漬物も……さくら大根(市販品)だしね!」←ピンクの漬物のこと
「しかし、カツ丼が美味しければ問題は無いけどね!!」
虹心は困った微笑み表情で言った後、メインのカツ丼に手を付ける。
さっきから、酷評を言ってばかりだ。
『ガツっ』
ご丁寧に虹心は、丼鉢を手に持ってカツ丼を食べ始める。
丼鉢は重いから、犬食いでも良いのに……って、外食時にするのは不味いか!…(汗)←犬食いは食事のマナー違反です///
「もぐ、もぐ、―――♪」
「……」
俺もカツ丼を食べれば良いのに何故か、虹心が食べる姿を見ている!?
虹心からの酷評が、そんなに俺は怖いのか!??
『コトっ!』
虹心はカツ丼を数口食べた後、丼鉢をテーブルへ静かに置く。
虹心の中で、
まさか……何処かの料理漫画のように、いきなりその丼鉢を地面に、叩き付けるとかはしないよね。
虹心……///(汗)
「…少し、甘めの味付けだけど、美味しいカツ丼だね!!」
「出汁の云々は無しにして、
「ファミレスで食べる半完成品を温めたのと比べれば、遙かに美味しいよ!!」
虹心は穏やかな表情で、褒めているのか
虹心って、そんなにグルメだったけ??
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