第242話 真優美と虹心

「……あら!♪」

「三國君。いらっしゃい~!♪」


 真優美さんは俺のことを覚えていてくれたらしく、営業スマイルでは無い、純粋な笑顔で出迎えてくれる。

 真優美さんは笑顔で言葉を続ける。


「三國君。この時間に来たと言うことは、お昼を食べに来てくれたの?」

「連絡は貰っていないから、相談事では無いよね…?」


 最後の言葉は、尋ねる表情で言う真優美さん。

 俺は和やかな表情で、真優美さんに話し始める。


「はい!」

「今日は昼食を食べに来ましたが、同時に真優美さんへ紹介したい人が居るのです!!」


「紹介したい人?」

「三國君……??」


『すっ……』


 真優美さんが“きょとん”とした表情で言う中、俺の後ろに居た虹心が、アピールする為に俺の横へ出る。

 虹心の存在には気付いていた真優美さんだと思うが、ワザとらしい声を上げながら言い始める。


「あっ……もしかして三國君!!」

「三國君の横に居る、可愛い女の子は……妹さん!?」


 真優美さんは、俺の横に居る虹心を見事に妹と見抜く!?

 俺の中では『新しい、女性の親友!』とか『遂に、彼女が出来たんだね♪』を、少し期待したのが瞬時に見抜かれてしまう!///


 虹心は笑顔で、真優美さんに自己紹介を始める。

 店内も混雑している感じでは無いし、真優美さんもカウンターで暇そうにしていたから(!?)、多少話し込んでも大丈夫だろう!?


「初めまして! えっと真優美さん!!」

「兄の妹で有る。三國虹心です!!」


「真優美さんのことは少しですが、兄から伺っています!♪」

「今日は、兄に誘われて来ました!!♪」


「あら!♪」

「あなたが……虹心ちゃん?♪」


「姿を見るのは初めてだけど、声だけは以前聞かせて貰ったわ!!」

「活発な声通り、明るい子だね!!」


 虹心から笑顔の自己紹介後。真優美さんも笑顔で虹心に話している。

 だが、虹心は『あれ?』の表情をしながら、真優美さんに聞き始める。


「声ですか…?」

「私……真優美さんとは、会うのも話すのも初めてですが……」


「えぇ、そうよ!」

「私も、虹心ちゃんとは会うのも話すのも初めてだよ!♪」


「けどね……三國君が虹心ちゃんに、電話越しで怒られているのを以前聞いちゃったのよ!///(汗)」


「!!//////」

「あぁぁ~~!!//////」


『!?』


 真優美さんは嬉しい表情で虹心に話しているが、最後の文章は困った笑顔で言う。

 虹心は心当たりを思い出したらしく、驚きの声を上げながら頬を同時に染める!!

 当然、店内に居るお客さん達は、俺たちの方へ視線を向ける!!


「真優美さん……//////」

「あっ、あの時の……会話。聞いていたんですか!?//////」


 虹心は頬を染めながら、凄く恥ずかしそうな表情で真優美さんに聞いている。

 しかし、真優美さんは嬉しそうな笑顔で言い始める!


「聞くも何も……はっきりと虹心ちゃんの声が、電話口から響いていたからね♪」

「電話の後に当然、三國君に聞いちゃったわ!!」

「さっきの人は、三國君のお姉さんと!!」


「~~~!!//////」


 顔を真っ赤しにして、恥ずかしがる虹心!!

 これ以上、虹心を真優美さんに遊ばれても困るから、助け船を出してやるか!!


 過去の虹心なら、もっと遊ばれても良いが、俺と虹心は現在、深い兄弟愛で結ばれている!!

 俺は和やかな表情で、真優美さんに話し掛ける。


「真優美さん!」

「虹心との会話はここまでにして、席への案内をお願い出来ますか?」


「…あっ、そうだね!」

「三國君たちは、昼食を食べに来たんだからね!!♪」

「じゃあ、二名様。お席に案内するわね!!」


 真優美さんは俺の言葉の後。直ぐに営業スマイルに成って言葉の後、俺たちを席へ案内し始める。


 切り替えも早い、真優美さん。

 これが仕事が出来る、大人の女性なんだろうか?

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