第237話 温度差

「お兄ちゃんにも……気付かれちゃって居るか…!」

「まぁ……そうだよね…!」


 困った微笑み表情で言う虹心。

 俺の中では不味いと感じているが、虹心の方はそう感じていない。

 俺が気にしすぎているだけか!?


「私が言うのも何だけど、兄ちゃんとは短期間で距離を縮め過ぎているからね♪」

「つい、この間までは絶縁に近い関係だったのに、今ではほぼ恋人同士だからね!♪」


 弾けるような笑顔で言う虹心!

 母親と兄は、俺たちの関係を凄く心配しているのに、虹心の中では全く問題ない感じ言う!!


「俺と虹心は深い兄妹愛だと思っているが、母さんや兄貴がそう感じないのは不味くないか。虹心…」


 俺は悩んだ表情で言うが、虹心は澄ました表情で言う。


「なら、兄ちゃん!」

「この関係は解消する?」

「深い関係から、普通の兄妹関係に戻す?」


「えっ…!?」


 俺は虹心から言葉で当然驚く!!

 虹心は俺が好きだと言っているのに、躊躇ためらいなく解消を提案してくるからだ!!


(サブスク契約解除のノリで言うな。虹心の奴…!)

(虹心にとっては、兄と俺の両方が好きだから、俺との関係が希薄に成っても、痛くもかゆくも無いのか!?)


「…………」


 俺は虹心からの言葉で、どう発言すれば良いか迷ってしまう。


(この時点で、虹心は失うのは辛い!?)

(けど、俺たちは兄妹で有るから、これ以上のことが出来ない……)

(しかし……普通の関係とは、どう言う関係だ?)


「虹心……もし俺が、普通の関係に戻すと言ったら、俺と虹心の今後の関係はどう成るのだ?」


 俺は尋ねる表情で虹心に聞く。

 虹心は穏やかな表情で言い始める。


「兄ちゃん!」

「普通の関係は、普通の関係だよ!!」


「今までの関係から、私とのキスとボディタッチや、お互いの部屋での交流が無く成るぐらい!」

「後、兄妹でのお出かけも、制限が付くぐらいかな?」


「この前行った、公園デートも出来なくなるね!」

「私と兄ちゃんは年が近いから、兄妹目線よりも恋人目線で見られやすいからね!!」


「結構……デメリットが多いな…!」

「普通の兄妹関係に戻すと……うーん」


 俺は悩んだ表情をしながら呟く。

 元々、キスやボディタッチに関しては制限が有るから、それが無く成っても問題は無い。

 俺が虹心にしているキスやボディタッチは、“ぬいぐるみ”にしているのと変わらないからだ!?


 けど、俺は虹心のことが好きだから、キスとかはしなくても二人で遊びたいし、まだ夏休み中で有るから二人で出掛けたい!!

 俺にとっては虹心のとの関係を、普通の関係に戻すメリットは全く無い。

 虹心は和やかな表情で言い始める。


「私としては、どっちでも良いけど、兄ちゃんの方が色々と困るんじゃない?♪」

「兄ちゃんは私と関係を深めて居ることに対して、お母さんやお兄ちゃんを恐れているようだけど、性行為さえしなければ大丈夫だよ!!」


(虹心らしい発言だ!)

(何と言うか、肝が据わっている!!)


 俺も、虹心と性行為さえしなければ、家族内でバレても問題は無いと思っている。

 だが俺は、母親や兄に追求や尋問をされるのを恐れていた……


「それで、どうする。兄ちゃん!」

「今まで通り行く? それとも、世間一般の兄弟関係に戻る??」


 虹心は何故か、笑顔で言う!?

 虹心の中では、どっちでも良いらしい??


(今の段階で、元の兄弟関係に戻るのは早すぎる!)

(せめて、俺に新しい彼女候補が見つかるか、伊藤さんの気が変わってからでないと、まだ夏休みも三分の一相当残っている!///)


 俺の中で、選択出来る応えは一つしか無い……

 俺は虹心の方を見て、真面目な表情で言い始めた……

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