第231話 三人兄妹での夕食 その2

『いただきます!』


 兄妹三人で食事前の挨拶をして、今日の晩ご飯が始める。

 メニューは三國家の冷やし中華。ナスとピーマン浅漬け、ご飯(白米)で有る。


 テーブル上には練り辛子チューブが置いて有り、練り辛子は使いたい人が使う。

 俺は練り辛子を使わないが、虹心は使っている!

 味覚も大人なんだろうか!?


 夏の時期で有るから、兄は食事時にビールを飲んでおり、俺と虹心は麦茶が用意されている。

 俺は冷やし中華の具材と麺をタレに混ぜて、タレに馴染んだ所から食べる。


「ズルル~~♪」


「うん! 美味しい!!」

「夏の味だね!!♪」


 俺は素直な感想を言いながら、冷やし中華を食べている。

 だが、俺の言葉に誰も反応を示さない!?


 俺の一人喋りで終わってしまう!///

 兄もビールで喉を潤した後、冷やし中華に手を付けている。


「やっぱり、虹心が作るタレは旨いな!」

「母さんが作るより、味の濃さを感じる!!」


 兄は冷やし中華を食べながら、和やかな表情で言う。

 兄の言葉には反応を示し、嬉しそうな表情で言い始める虹心!!


「ありがとう。お兄ちゃん!!」

「今日は蒸し暑かったから、酸味を普段より、ちょっと利かせて有るんだよ!!」


(あっ……そうなんだ!)

(今日はワザと、酸味を利かせて有る訳か!!)


 冷やし中華のタレを作ったのは勿論、虹心で有るが、俺はその味見をしていない。

 俺の中では……『虹心の奴。酢を入れすぎたな!』と感じていたが、違うようで有った。


「こう言った気配りが出来るのが、虹心の料理が美味しい所だな!!」

「母さんは基本、微妙な調整を利かせないからな!!」


 急に笑顔で、虹心をする兄!?

 あなたには、虹心を上回る素晴らしい彼女さんが居るでしょ!!


 虹心も兄の言葉で、“でれでれ”の表情に成って言い始める!!

 虹心は未だに兄が大好きなんだな……俺が居るのに///(汗)


「えへ~~!♪」

「もぅ~~。お兄ちゃんたら~~♪」


「私は、普通に作っているだけだよ~~♪」

「それに、お兄ちゃんには素敵な彼女さんが居るから、私よりも彼女さんに意識を向けなきゃ~~♪」


「虹心の言う通りだが、僕の彼女は虹心ほど、料理が上手では無いからな…」

「だが、それは彼女がまだ料理の勉強中だから、仕方ないのだがな…!」


 兄は苦笑いの表情をしながら、虹心に話している。

 俺は当然、兄の彼女が作る料理を食べたことは無いが、料理に関しては唯一、虹心に負けているのか!!


(美少女で頭の回転も良く、家事や料理も出来る。万能妹……虹心)

(そう考えると益々、虹心を妹にして置くのは残念すぎるな!!///)


 俺は心の中で感じながら、ナスの浅漬けと一緒にご飯を食べる。

 ナスの浅漬けも調味液は市販品だが、虹心の手で、ナスを包丁で切って漬けている。


(うん! よく浸かっているナスだ!!)

(ご飯に丁度合う!!)


 今晩は母親が仕事(夜勤)で居ないが、兄妹三人で仲良く晩ご飯を続けていると……

 兄は椅子から立ち上がって、冷蔵庫の方へ向かい出す。


 今日も暑かったから、兄はもう一本缶ビールでも取り出すのかなと思っていたら、缶ビールでは無く、マヨネーズの容器を取り出して戻って来る?

 マヨネーズなんか出してどうするの?


 まさか兄…。ご飯(白米)にマヨネーズをかけちゃう!?

 何処かのギャグ漫画の世界を、兄は始めるつもり!??


「僕の同僚が、こうやって食べているのを見てね……」

「初めは僕も驚いたけど……意外にいけるんだよ!!」


『ニュル、ニュル、―――』


 兄は穏やかな表情で言いながら、冷やし中華の真ん中にマヨネーズをかけている!!

 兄はマヨラーでは、無かったはずだぞ!!


「!!……」


 冷やし中華にマヨネーズをかけている兄を見て、虹心も驚いた表情を見せている!!

 虹心の中では、想定外の出来事なんだろう!!


 料理の味付けを自分勝手に変えられるのが、嫌な料理人だったり、妻や旦那だっだりしたら、確実に文句を言っているだろう!!

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