第217話 暗雲が立ち込める!? その1 

(この時間帯なら、予備校や学園の自習室で自習でもしているのかな?)

(間違っても、彼氏と海で遊んでいる事は無いはずだ!!///)

(仲の良い親友も、失ってしまったから……けど、妹が居るか!!)


 俺は伊藤さんの事を思うが、同時に伊藤さん妹の事も思い出す。

 名前は確か……桃香ちゃんだっけ?

 俺は虹心に、桃香ちゃんの事を聞いてみる。


「なぁ、虹心!」

「虹心は伊藤さん妹の、桃香ちゃんの事をどれだけ知っている?」

「プリンモールで伊藤さんと出会った以降、桃香ちゃんに話し掛けた事は有る?」


「桃香ちゃん?」

「あ~~、桃香ちゃんとは話せる機会が無いのだよね……(汗)」


「小鞠ちゃんなら、合同体育や授業で一緒に成れる機会が有るけど、私の場合は会いに行く気で無いと出会えないからね……///」

「それに桃香ちゃんも、私のことは多分知らないと思うし……」


 虹心は困った口調で言う。

 以前、そんなこと言っていたな……虹心経由で、桃香ちゃんのことを聞くのは難しいことを。


『キコ、キコ、―――♪』


 俺や虹心も話しながらだが、きちんと足下のペダルを漕いでいるし、虹心はハンドル操作をしている。

 俺たちが操作しているスワンボートは、池の真ん中付近に差し掛かる。


「ねぇ、この辺で一旦止めようか。兄ちゃん!」


 昼食を食べる時に行った、中島の東屋あずまやが正面に見える場所で、虹心は陽気な声で言って来る。

 今も、その中島の東屋には人気はない…。本当に隠れスポットのようだ。


「そこで止める?」

「分かった!」


 虹心の漕ぐ速度が落ちて来たので、俺もペダルを漕ぐ速度を緩める。

 虹心が漕ぐのを止める時に、俺も漕ぐのを止める。


 兄妹ながらでも、息はぴったりで有った。

 俺と虹心は、相性が凄く良いのかも知れない!?

 運転を終えた虹心は、ここで俺の方に顔を向けて、笑顔で言い始める。


「ボートで、二人きりの世界だね!❤」

「兄ちゃん!!♪」


「そうだな!」

「だが、二人の世界に成っても、ボート上ではキスぐらいしか出来ないな!!」


 俺も笑顔で虹心に言う。

 俺が言い終えると、虹心は嬉しそうな表情で言い始める。


「兄ちゃん!」

「私とキスがしたいの!♪」


「でも、この公園の池は、隠れられる茂みなどの場所が無いからキスは難しいね!!♪」

「それにキスなら、家の中で何時でも出来るし!!♪」


 俺を恋人目線で見ている虹心で有るが、人目の付く所でもキスは嫌らしい?

 俺も冗談で言っただけで有って、本気では言っていない!?


 ボートの利用時間は45分まで有るが、延長料金さえ支払えば、45分の上限は無く成る。

 この場所に来るまで約10分位掛かったから、20分位は余裕で停泊出来る。

 しかし、これでUターンは少しもったいないな……


「兄ちゃん!」

「私は兄ちゃんと関係を深めてから、しばらくの時間が経ったけど、兄ちゃんはどう感じている?♪」

「私と、関係が深められて嬉しい?❤」


 虹心は笑顔で俺と虹心の、現状況の感想を聞いてきた。

 俺は直ぐに笑顔で答える!!


「嬉しいに決まっているよ。虹心!!」

「虹心の料理は美味しいし、美少女だし、気配りだって出来る!!」

「最高の妹だけど、妹にして置くにはもったいなさすぎる!!」


「!!//////」


 俺の言葉で虹心は頬を染めて、目を見開く表情をする!?

 少し、褒めすぎたか……でも、事実だしな…///


「……//////」


 だが、虹心は頬を染めているが、困った表情に変わってしまう!!

 俺はてっきり、満面な笑顔に成ると思っていたのに……虹心はその表情で話し始める。


「兄ちゃんが……其処まで、私のことを好きに成ってくれたのは、ちょっと予想外だった…//////」

「じゃあ、もう一つ聞くね!//////」


「兄ちゃんはさ……私がもし、妹では無かったら、どうしている?//////」


「えっ!///」

「そんなの、虹心に告白しているに決まっているよ!///」

「虹心の良さを誰かに気付かれる前に、虹心を俺の彼女にしたい!!」


「!!!//////」


 俺の言葉で虹心は再度、目を見開く!!

 相手が妹とは言え、少し攻めすぎたか……

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