第145話 揺れ動くか伊藤!? その2

 俺はスマートフォンを操作して、伊藤さんからの返信を確認する。


『こんばんは』

『報告、ありがとう』

『彩織が、変な方向へ動き出して仕舞ったか!?』


『通話は別に構わないけど、一つだけ教えて!』

『三國君は、彩織をどうしたい?』

『三國君の返答次第では、私も決めなければ成らないから…』


(『彩織をどうしたい?』なんて、こっちが聞きたいよ!)

(伊藤さん…)


 二村さんとの関わりは、俺の中では最低限にするつもりで有る。

 松田の命令で、二村さんとの関係を断絶させられかけたが、岡谷君のお陰で、俺は二村さんとの関係断絶を回避出来た。

 だが、松田達のことを考えると、必要最低限以外の会話は、俺から話し掛けない方が良い!


(思ったことを正直に送るか……)


 俺はそう思いながら、返信のメッセージを打ち込み始める。


「俺は今回の件で、二村さんとはクラスメイト以外の関わりを、断つつもりで有ります!」

「きっと二村さんも、俺との関わりを持ちたくは無いでしょう…」


「後は……二村さんがDQN女子達から、苛められるのを待つだけですが」


 メッセージを打ち込んだ後、俺は誤字脱字が無いことを確認してから、メールの送信ボタンをタップする。

 俺はスマートフォンを持ったまま、しばらく他のアプリを触っているとメールの着信音が鳴る。

 俺は直ぐにスマートフォンを操作して、伊藤さんからの返信を確認する。


『そう!』

『三國君は覚悟を決めたんだ……』


『電話は三國君から掛けて……』


 伊藤さんからの返信メッセージは……どう受け取れば良いのだろうか?

 歓迎はされて無いことは間違いないが、拒絶されている訳でも無い??


(けど、伊藤さんからの了解も貰ったし、ここから先はRailの通話機能で会話だ)


 俺はメールアプリを閉じ、直ぐにRailアプリを起動させて、Railの通話機能を使って伊藤さんへ電話を掛ける。

 数回のコールで、伊藤さんは電話に出てくれる!


『はい……』


「もしもし、伊藤さん!」

「三國です!!」


『……分かってるわ!』

『早速、話しに入るけど三國君は、彩織と距離をひらける決意をした!』

『私の中でも、今回のことは少しやり過ぎだと感じる……』


 電話向こうの伊藤さん口調は、何時も通りの落ち着いた口調で有るが、少々怒りがこもった口調の感じがする?

 俺は決意をした口調で、伊藤さんに話す。


「俺の中でも今回、二村さんが遣った行為は、正直言って許せません!!」

「文句や不満が有れば、直接俺に言えば良いのに、松田達をたぶらかして、俺に暴力と言う仕返しをしてきた!!」


『三國君……』

『その口調のからして、酷い怪我を受けた感じはしないけど……怪我はしなかった?』


 伊藤さんは、少し心配する口調で聞いてくれる!

 やっぱり、この人は優しい人だ!!

 俺は強気の口調で、伊藤さんに話す。


「1~2発、松田から喰らいましたが、実質怪我はしていません!」


『そう!』

『怪我が無いのは良かったわ!!』

『松田達の―――メッセージから読むと、複数の人に囲まれたのだよね。三國君…?』


 伊藤さんは、興味を持った口調で聞いて来る!

 俺は陽気な口調で答える。


「はい。その通りです伊藤さん!」

「複数の人に取り囲まれましたが、俺の妹で有る虹心が、偶然側を通りかかって助けてくれました!!」


『……そうなの!?』

『妹さんが、三國君を助けてくれたの!??』


 電話向こうの伊藤さんは、かなり驚いた口調で言っている!

 きっと伊藤さんは虹心一人で、俺を助けたと思っているのだろう!?


「あっ、伊藤さん!!(汗)」

「助けを呼んでくれたのは虹心ですが、その時に俺の同級生男子も、一緒に連れて来てくれまして……」


『あっ、あぁ……そうだよね。三國君!//////』

『幾ら何でも、虹心ちゃん一人で、複数の高等部男子達と戦える訳は無いもんね!///(汗)』


 伊藤さんは、焦った口調で話す。

 頭の回転が良い伊藤さんなら、直ぐ気付くと思うが……


 何だか、電話越しで聞く伊藤さんは、学園で聞く伊藤さんとは、また違う気がする?

 学園外の伊藤さんは、本来の伊藤さんに戻るのだろうか??

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