第144話 揺れ動くか伊藤!? その1
(そうだ!)
(Railにはメッセージ以外に、通話機能も有る!!)
(Railの通話機能なら、電話料金も無料だし、伊藤さんと通話が事実上出来る!!)
(キャリアメールでお伺いを立ててから、Railの通話機能で今回の顛末を話そう!!)
俺は心の中で考えを纏めて、松田達に連れて来られた場所から、カバンを取りに行く為に教室へ戻る。
「……」
俺が教室に戻った時、教室内は誰も居なかった……。当然だが、高岡も居ない。
俺を心配して待って居てくれるかな(?)と思ったが、そうでは無かった。
カバンは俺の机に置きっぱなしで有るが、松田達に悪戯をされた形跡は無さそうだ。
(まだ、学園内に伊藤さんが残って居れば、学園内で相談しても良いよな……)
時間的に、特進コースの特別授業(?)が終わっている時間帯のため、俺はカバンを持って教室から出て、特進コース教室に向かう。
俺は少し早足で歩いて、特進コース教室に着いたのは良いが……
「……誰も居ないな」
だが、今日は俺が来る時間が遅すぎたのか、特進コース教室内に伊藤さんは疎か、他の生徒も誰一人居なかった。
「仕方ない…。家へ帰るか……」
俺は残念な口調で呟いて、特進コース教室を後にする。
最近の伊藤さんは本当に、俺との距離を縮ようとはしない。
伊藤さんには、遠く離れた場所に片思い人が居るから、仕方が無いと言われればそれまでだが、二村さんのことを何だかんだで、まだ意識をしているので有ろう。
(まぁ……今晩。伊藤さんにさっきの事を話して、どう反応するかだ……)
(俺の良い方へ、転べば良いのだが……)
俺はそんなことを思いながら、学園から家に帰った……
……
俺は家に戻り、玄関のドアを開けようとするが、玄関のドアは施錠されていた。
と言うことは、母さんや兄はまだ仕事中で有り、虹心も帰って来ていないことに成る。
俺は学園カバンから自宅の鍵を取り出して、玄関のドアの施錠を解除してから家に入る。
玄関に入ると当然、母さんや虹心の靴は無い。
(どうせ伊藤さんに連絡を取るなら、夕方の時間帯では無く、夜の方が良いだろうな?)
(その方が、じっくりと話せるし……)
伊藤さんへ連絡を取るのは、晩ご飯後以降の時間にすることを決め、それまでの時間は何時も通りに過ごすことに決める。
大事な話しで有るが、緊急的な内容では無い。
俺はそのまま自室に入り、晩ご飯までの時間を自室で過ごす……
☆
母さんや虹心。兄を含めた、何時も通りの晩ご飯や、その後の団らんを過ごすが、今晩は伊藤さんへの報告が有るので、何時もより早めに家族との団らんを切り上げて、俺は入浴を済ませた後、自室に戻る。
虹心は俺の状況を知っているので、俺が自室に戻る時、その辺の会話はして来なかった。
(さて……まずは、キャリアメールで伊藤さんに連絡するか!)
俺はスマートフォンのメールアプリを立ち上げて、伊藤さん宛へメッセージを打ち込み始める。
「こんばんは。伊藤さん!」
「二村さんが松田達をそそのかして、俺をボコボコにする様な指図を出しました!」
「詳しい事を教えたいのですが、出来ればRailの通話アプリ機能を使って話しをしませんか?」
俺はメッセージを打ち込み終えて、打ち込んだ内容を確認する。
(これが普通の人なら、絶対に食いつく内容だけど、相手が伊藤さんだからな…)
(けど、俺を意識しているなら食いつくはずだ!!)
俺は伊藤さんを信じながら、メールの送信ボタンをタップする。
直ぐに返信は来ないと思うから、伊藤さんからの返信が来るまでの間は、何時も通りの時間を過ごす。
今晩は課題が出ていたが、その課題は晩ご飯前に済ませて置いた。
俺は本棚から、青年向け単行本を一冊取り出して、しばらく青年向け単行本を読んでいると……
「~~♪」
スマートフォンから、メールの着信音が鳴る!!
間違いない、伊藤さんからで有ろう!!
果たして、俺の思い通りに、伊藤さんは動いてくれるのだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます