第135話 ピンチに現れるヒーロー!

「……さて、さっさと痛めつけるか!」

「俺やキッドも、暇人では無いからな!!」


「!」


 信濃は和やかな表情で言い終えると、ペーパーナイフを俺の頬から離して、それをさやに収納してからポケットにしまう!?

 だが、少し澄ました表情で信濃は再び言い始める。


「……此奴こいつが舐めたことを言えば、遠慮無しに切りつけてやったのだが、こんなヘタレを切りつけても、此奴は直ぐわめくだろうから、後処理が面倒くさいだけだ…」

「男気の有る奴は、切られてもフルボッコにされても、己の恥で黙っているんだがな……」


(そんな奴…。今の時代には居ないよ!!)

(完全数十年前に、そんな世界は終わっているよ!!)

(カ○レオンや、ろくでなし何たらの世界は、漫画の世界で十分だよ…)


 俺が生まれる以前の、校内暴力は凄まじかったらしい。

 暴力・強請ゆすり・強姦まがいを平然と学校内でおこない、学校は疎か警察も、真面に対応しなかった時代が有ったそうだ……


 非道い学校だと、校内の廊下を改造バイクで走り抜けた生徒も居るらしい!?

 そんな時代と比べれば、今の学園(学校)生活はかなり改善されているが、時代錯誤のDQNも現に居る。


「じゃあ、行きますか……」


『グィ!』


「!!」


 信濃は、俺の胸元衣類を左手で捻り上げながら、陽気な表情と低い口調で言う。

 ご丁寧に、松田支配下の陽キャラ達は、まだ俺の体を押さえている。

 信濃の陽気な表情が真顔に変わり、右手が俺を殴る態勢に入った時……誰かの足音と掛け声が聞こえてきた!?


『タッ、タッ、タッ、―――』


「兄ちゃん~~~~!」

「助けに来たよ~~~~!///」


「!」


「!!!」


 俺は当然驚き、その声で松田達や川本達も一瞬驚きを見せる。

 信濃は苦虫を噛み潰した表情で、その方角に向きを変えて呟く……


「ちっ……邪魔が入ったか!」

「一人は女の方で大した事ないけど……、もう一人が厄介そうだな……」


(あの聞き慣れた声と、聞き飽きた声は虹心で間違いない!!///)

(まさか……虹心が俺を助けに来た!?///)


(けど、どうして……此所に居ることを、虹心が知ることが出来たのだ!?)


 信濃の言葉からして、虹心一人で来た訳では無く、だからと言って教員を連れて来た感じでは無さそうだ?

 俺の正面に居る信濃から顔をずらして、虹心が連れて来た有ろう人を見ると……


「……あっ!」

「岡谷君!!」

「俺を助けに来てくれたの!!!」


 俺は岡谷君の姿を見て、嬉しい表情と弾んだ声を上げる!!

 岡谷君が来てくれれば、この絶対絶命のピンチも切り抜けられるからだ!!


「……」


「~~兄ちゃん!!///」

「まだ……本格的には、殴られていないようだね!///」

「数発は覚悟していたけど……けど、良かった……!//////」


 岡谷君は澄ました表情の無言で、松田達とキッド達の側に来て、虹心も同じ様に来る。

 虹心は焦った表情で俺に声掛けをするが、俺の無事を確認すると、頬を染めながら泣き顔の表情で言った。


「……」


『パッ!』


 信濃は、俺の胸元衣類を掴んでいた左手を無言で離し、俺から離れ、岡谷君と面と向かい合う!

 信濃は岡谷君に睨みを聞かせながら、低い口調で言い始める。


「……誰だが、知らんが、邪魔をしないでくれるかな?」


「……そうしたいのは山々だが、俺の親友を殴らないでくれるかな?」


 岡谷君は相手が信濃なのに、物怖ものおじせずに冷静な口調で言う!

 当然、信濃はその言葉を受け入れる訳は無い。


「……じゃあ、コレの代わりに、お前がやられるか?」

「……おデブさんよ…!」


 信濃は挑発する低い口調で言いながら、岡谷君の胸元衣類を左手で掴み取ろうとするが……


「……」


『パチン!』


「!」


 無言の澄ました表情で、岡谷君は払いのけた!!

 掴みに行った左手を払いのけられたので、信濃は当然驚く!!


「……てめぇ、良い度胸しとるな…!」


 信濃は先ほどより、睨みを更に強くして、岡谷君に低い口調で言う!!

 岡谷君と信濃の戦いが、今から始まってしまうのか!?

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