第133話 間に合うか!?
「では、岡谷さん!」
「今から、案内します!!」
「一刻を争う状態ですので、走って行きます!!」
私は興奮しながら岡谷さんに話すが、岡谷さんは澄ました表情で返事をする。
「……分かった!」
「妹さんの状況からして、かなり三國は不味い状況らしいな…!」
「はい!」
「そうなんです!!」
「では、お願いします!!」
私は興奮しながら言い終えると、旧校舎に向けて走り出す。
だけど、全力では走らない。
岡谷さんの体型上。私が全力で走ったら、絶対に付いて来られないからだ。
『タッ、タッ、タッ、―――』
「……」
「……」
(あれ…?)
(私……結構本気で走っているけど、付いて来ているね岡谷さん…)
(見掛けの割に、運動神経は良いの?)
お互い、走る事に意識を向けているので無言で有るが、岡谷さんは私の走りに付いて来ている。
この人……案外凄い人!?
(これなら、もう少し、飛ばせそうだね……)
(待ってって、兄ちゃん!!)
私は岡谷さんと一緒に、兄ちゃんが絡まれている旧校舎に向かった……
……
武蔵の状況……
俺は今、絶体絶命の状態だ……
松田と松田支配下の陽キャラ達に、俺は教室から旧校舎に移動させられて、拷問に近い尋問を受けている。
更には学年最強で有る、キッドこと川本や、その右腕の信濃まで現れてしまった。
此奴らに囲まれてしまったら、俺には絶対勝ち目が無いどころか、命までも無く成ってしまうだろう……
嬉しい援軍が現れた松田は、顔を“にやけさせながら”俺に向けて言う。
「武蔵~~~。凄い事に成っちゃったね~~!」
「もう……ボコでは済まないよ。フルボッコに格上げだよ~~♪」
「武蔵の悲鳴どころか、断末魔まで聴けるかも知れないね~~~!」
「楽しみだ~~~!♪」
「くっ……」
俺は顔を
冗談抜きで大ピンチだ!
「では、キッドさん。彗星(信濃)さん!」
「僕の代わりに、お願いします!!」
松田は『ゴマをする』表情と仕草を加えながら、俺の真正面から離れる……
そして……こんな場面では見たくない二人が、俺の真正面に登場する。
「……」
「……」
キッドと信濃は俺の真正面に居るが、二人共言葉を発せずに、俺の事を観察し始めた。俺の力量でも調べているのか?
どちらにせよ、俺は松田支配下の陽キャラ達に、拘束されているから意味が無いけど……
「……お前。松田のクラスメイト?」
キッドは、俺の事を知らないのだろう。
澄ました表情と低い口調で聞いて来る。
俺は、落ち着いた口調でキッドに答える。
「あぁ……そうだ!」
「ふうん……俺に、問答無用で殴られるのも嫌だろう…」
「情けでは無いが……何故、そんな事をした?」
「お前の言葉次第で、加減はしてやるよ!」
キッドは目が据わった表情と、低い口調で俺に言う。
情けをくれてやると言うのか?
俺は落ち着いた口調で、キッドにこの顛末を話し始める。
「川本君…」
「俺のクラスに、二村彩織と言う女性が居て、それで松田達とトラブっただけなんだ!」
「俺は二村に興味は無いが、二村が松田達に告げ口をした様で……」
「……」
「何だ……そんな事か?」
俺の言葉を聞き終えたキッドは、吐き捨てる口調で言う!
「女絡みの争いか……イマイチ燃えんな…!」
「見た感じ……加減して殴っても、でかい傷負いそうだしな……お前も下らん事に手を出したな!」
キッドは哀れみの表情を見せながら、俺に言って来る?
えっ……もしかして、キッドは殴らないでくれるの!!
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