第131話 兄思いの妹

『タタタ―――!』


 私は急いで、旧校舎の昇降口まで走る。

 私が昇降口に到着すると由佳ちゃんも直ぐに、私の後を追い掛けてきて、驚いた表情で話し掛けてくる。


「急にどうしたの。虹心ちゃん!?///」


(……由佳ちゃんに、事情を話しても意味が無いし、それに早くしないと兄ちゃんがサンドバッグにされてしまう!!(大汗))


「ごめん! 由佳ちゃん!!」

「急用が出来た!!」


『ドサッ!』


「荷物ここに置くから……後は、本当にごめんだけど一人で部室まで運んで!!///」

「事情は明日、説明するから!!///(汗)」


 私は邪魔に成らない場所に、小道具が入った段ボール箱を置いて、由佳ちゃんに焦った表情で言う。

 勿論、私の言葉で由佳ちゃんは困惑する!


「えっ、えっ……意味分かんないよ?」

「虹心ちゃん…??///」


(本当はきちんと説明したいけど、今は由佳ちゃんより兄ちゃんの方が大事だ!)


『パン!』


「本当、ごめん!//////」


 私は由佳ちゃんに、両手を合わせながら謝罪の挨拶をして、挨拶を終えると急ぎ足で昇降口から出る!


「あっ! 虹心ちゃん~~!!」

「カバン、部室に置いたままだよ~~~!!///」


 由佳ちゃんは焦った表情で私に言うが、カバンを取りに行く時間すら今は惜しい。

 早く……兄ちゃんを助けないと……あの感じだと、ボコボコにされるからだ!

 私は走る……兄ちゃんを助ける為に!!


 相手が高等部の男子達だから、小学生時の様に私だけで、対峙はもう出来ない…

 高等部の先生に助けを求めたいが、私は高等部の職員室は分からない。

 まずは中等部職員室まで行って、其処で先生を連れてくるしか無いが、それまでの間に兄ちゃんが無傷だと言う確率は低いだろう!


 兄ちゃんが小学生時代の時に、苛めを受けていた時期が有った。

 あの時は、私一人でも兄ちゃんを助けることが出来たが、今では体力の違いが大きすぎる。


 勇敢に私一人で助けに行っても却って、私はそのまま人質にされるだろう!?

 彼処は人気が少ない場所だから……最悪私は、兄ちゃんの前ではずかしめを受けてしまうかも知れない!?//////


 私の初めてが強姦では、私の人生は全て終わりだ!

 それも一人で無く、複数男性と成ると、私の心も壊れるだろうし、兄ちゃんも……どうなるのだろう?


(こう成ったら先生では無く……誰か、高等部の人に助けを求めた方が良いかな?)

(でも、私が知っている高等部の人は、兄ちゃんの親友と演劇部の人しか居ないし……)


「!!!」


 私はそう思った所で、立ち止まる!!

 丁度其処は、自動販売機ゾーンで有った。

 演劇部部室から、かなり離れた所で私は気付く……


(そうだよ!)

(中等部職員室に助けを求めるのでは無く、演劇部に助けを求めれば良かったんだよ!!)

(あ~~~、私の大ドジ!!//////)


 私は『大バカ!///』の表情をしながら思う。

 久しぶりの、兄ちゃん苛め遭遇で私はパニックに成って、冷静さを完全に失っていた。


(うぁ~~~。中途半端な場所だな…)

(演劇部部室と中等部職員室の丁度、中間地点だ!)


(どっちに行くべきか……でも、演劇部や中等部の先生も、素直に動いてくれる訳では無い……)


 動かないは語弊が有るが、松田さん達が『じゃれ合っていただけ!』と、言われればおしまいで有る。

 兄ちゃんは仮に、松田さん達から殴られていても、ヘタレだから隠し通すだろうし……


(それに本来……中等部の先生は管轄外だ!)

(『高等部教員に言いなさい!』と、塩対応されるかも知れない!!)


(あぁ~~~、本当にどうしよう!///(汗))

(早く兄ちゃんを助けないと、五体不満足に成っちゃうよ~~!?)


「………!」


 私は心の中で焦る!!

 本当にどうしようと思いながら、周りを見ていると……有る人を見付けた!?

 その人は、校舎沿いに設置されているベンチに座って、休憩をしている感じで有った?


(……あの人って、確か岡谷さんだよね?)

(デブでは無い、お相撲さんの様ながっしりした体型……)


 面と向かって紹介はされてないが、クラス写真で『これが、兄ちゃんの親友!』と見せて貰ったことは有るし、町中まちなかで見掛けた事も有る。


(兄ちゃんの親友なら……兄ちゃんを助けてくれるよね…?)

(それに岡谷さんは強いと、兄ちゃんは言っていた……)


 岡谷さんは私の存在を知らないと思うけど、私はベンチに座って居る岡谷さんに近付いた……

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