第128話 大ピンチ

「……教室内では、色々と不味いからな!」

「少しでは無く、かなり付き合って貰うよ……武蔵!」


 松田は、不敵な笑みを含ませながら言う!!

 俺を取り囲んでいる松田支配下の陽キャラ達は、俺を捕まえないこその、俺が逃げられない様に間合いを詰めていた!!


「…………」


 俺は言葉が出せなかった……

 二村が、こんな形で俺を裏切るのは完全予想外だし、冗談抜きで多勢に無勢で有る。


「……」


 自席で座っている高岡は声も出さずに、静かにその様子を眺めているだけ有る。

 やっぱり、一応親友でも助けてはくれないか(溜息)


「じゃあ、行こうか!」

「武蔵~~……」


 松田は顔を“にやつけさせながら”、気持ち悪い口調で俺に言い終えると、先陣を切る様に動き出し教室から出て行く。

 直ぐに、側に居る陽キャラ達が『松田の後を付いて行け!』と、目で訴えかけてきた。


 俺は仕方なく、松田支配下の陽キャラ達に取り囲まれながら、松田の後を付いて行かされる。

 ちなみに、カバンは机に置いて行かされた。

 有っても邪魔なだけだし、俺が逃亡出来ないように考えているのだろう。


(これは遂に、フルボッコの日がやって来たか!?)

(俺……松田達には、何もしていないのに……こんなシチュエーション。予想もしていなかった…)


 松田が先陣を切って歩く中。俺は陽キャラ達に取り囲まれながら歩いているが、俺を含めて陽キャラ達は無言で歩いている。

 陽キャラ達の表情を俺はうかがうと、乗り気でやっている表情では無かった?


(松田の命令だから、仕方無しにやっているのか??)

(松田なんて……別に、喧嘩向きの体系では無いから、相手にしなければ良いのに…)


 松田は腕っ節の良い奴では無い。

 逆に言うと何故こんな奴が、クラスを纏められたかが不思議で有る?


(この状況では本当に逃げようが無いし、助けを求めて良いが、それをしたら俺は明日から登校拒否確定だ!!)

(確実に、苛めがや嫌がらせが始まるからな!!)

(穏便では済まないだろうが……、穏便に済ませなければ…!)


 俺は松田達に連行されながら、穏便に済ませられる方法を考えた……


 ……


 人気の少ない……旧校舎沿いのとある場所


 旧校舎は基本、クラブ活動でしか使っていない筈だ。

 また、旧校舎は文化部が中心なのでクラブ活動中は、人の往来は多い方では無い。

 その為、苛めや暴力を加えるには、持って来いの場所で有る!?


「……」


 後方に逃げ場が無い場所に、俺は連行された。

 俺の後ろは、旧校舎の壁で有る。


 そして松田は顔を“にやにや”させながら、俺の真正面に居る!

 勿論、俺の側には松田支配下の陽キャラ達が、ほぼ真横に居る状態だ!!(汗)

 松田は顔を“にやにや”させながら、気持ち悪い口調で俺に質問してくる。


「改めて聞くけど~~武蔵~~~!」

「お前はさぁ~~、彩織ちゃんのこと。実際どうなんだよ~~~?」


(……もう、あんな女、どうでも良いよ!!)

(人をおとしいれやがって!!)


「どうも無いよ……。松田…」

「俺は、二村さんに興味は無いよ……」


 俺は怯えを見せない様に、冷静な口調で松田に言う。

 此処で怯えを見せたら、徹底的にやられるからだ!!


「ほぉ~~~、興味が無いのにプリンモールで彩織ちゃんに、声を掛けたんだ~~!」

「武蔵は~~~?」


 相変わらずの、気持ち悪い口調で松田は言う。

 松田の表情は、俺を完全馬鹿にしている表情で有る。


「……同級生にバッタリ出会ったのだから、声を掛けるのは当然だろ…」

「松田……」


『グィ!』


「!」


 俺は落ち着いた口調で言うが……、松田はそれが気に入らなかったらしく、俺に近付き、俺の胸元の衣類を左手ねじり掴みながら、脅し掛ける表情で言い始める!!


「武蔵~~~!」

「彩織ちゃんが好きだから、声を掛けたんだろ~~~!」

「もう、正直に言えよ~~~!」

「今なら、軽くボコにする程度で、許してやるから~~~!!」


「!!!」


(ヤバい! 最悪の状況だ!!)

(ボコられるのは絶対嫌だし、もう二村には関わりたくないし、どうにかして切り抜けなければ!!)


 俺の長い学園生活の中で、初めての大ピンチが訪れた!!

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