第126話 相手が動くまで待つ……

「そう成ると……本当に二村さん待ちか…」

「二村さんがDQN女子達から苛められるか、それとも松田と関係を深めてしまうかの……」


 俺は呟く表情で虹心に言う。

 虹心は困った微笑みで、その呟きに反応する。


「うん…。それしか無いよ!」

「兄ちゃん……」


「私の中では二村さんが、そんな意地が有る人には見えなかった」

「数日間は拗ねるだろうとは思っていたけど、えんを徹底的に切ってくるのは予想外で有った!」

「私が兄ちゃんと二村さんの間に入れば、関係修復が出来ると見ていたけど、此処まで状況が悪化すると、私が出られる幕では無い……」


「虹心……」


(この状況で虹心が出しゃばっても、余計に状況が複雑化するだけだ!)

(二村さんは妹が居ると聞いていないから、伊藤さんの様に、虹心たちに気遣う必要が無い…)


(俺があの時、失言をしなかったのと、二村さんと親友宣言をした時、速やかに連絡先を交換していればこう成らなかったのにな……)


 後悔をして時が戻るなら、俺は幾らでも後悔をする!

 けど、後悔しようが懺悔ざんげしようが、一度進んだ時は、現世界では絶対に戻らない。


「……兄ちゃん。暗い話しは終わりにしようか!」

「私も動けなく成ってしまったし、兄ちゃんや伊藤さんも、今は下手に動かない方が良い……」


 虹心は困った笑顔で言う。

 俺が二村さんに決死の“万歳アタック”をしても、松田達に迎撃されてフルボッコにされるし、虹心や伊藤さんもその行動を賞賛しないだろう……


「うん……終わりにしよう。虹心……」

「また、何か変化が有ったら虹心に報告するよ!!」


 俺は開き直った表情で虹心に言う。

 虹心は微笑みながら言う。


「うん!」

「良い情報を待っているよ。兄ちゃん!!」

「兄ちゃんが、伊藤さんと仲良く為れる情報を!//////」


「にっ、虹心!//////」

「こんな状態でも、虹心はやっぱり伊藤さんを押すか!!//////」


 俺は頬を染めながら、焦った表情で言う!

 そして、虹心は笑顔で言う!!


「私は、伊藤さんを初めて見た時から、兄ちゃんは伊藤さんを求めているのに気付いていたからね!!」

「クラスの関係で、兄ちゃんは二村さんに興味を感じてしまったけど、同じクラス同士だったら、絶対兄ちゃんは伊藤さんを選んでいるからね♪」


(あながち、間違っていない事を言うな。虹心の奴…)

(出会いの関係で、二村さんを先に意識してしまったが、そうでなければ虹心の言う通りだろう)


「まぁ、本当に二村さん次第だ!!」

「二村さんの行方が……俺の今後の人生に、大きな影響を与えるだろう!!」


 漫画やドラマの主人公に成った気分で、俺は言う。


「悪い方に、転ばなければ良いね。兄ちゃん!」


 それを、和やかな表情で言う虹心。

 おやつタイムを含めた、虹心からの報告と虹心への相談は、これで終わりを迎えた。


 ☆


 それから、数日後……


 俺と二村さんの関係は、あれから全く進展が無い。後退ばかりだ。

 俺は完全に二村さんから、見限られてしまった……


 伊藤さんも同じ様で有るが、後悔をしている表情・素振りは、もう見せなく成っていた!?

 伊藤さんの中では、完全区切りが付いてしまったのだろうか!?


 二村さんは順調良く、松田と関係を深め、更には中田までに範囲を広げた!

 更には、松田支配下の陽キャラ連中らも加わり、二村さんを含む新たな派閥が誕生しかけていた!?

 松田や中田も二村さんの急接近で、毎回阿呆の様に鼻の下を伸ばして、会話を楽しんでいる!!


 俺と伊藤さんが期待している、クラス内DQN女子達が、二村さんを苛める行為は未だ起きる気配は無かった……

 二村さんの影響が、DQN女子達にかなり悪影響を与えている筈なのに、クラスのDQN女子達を纏めている古賀は、配下に命令を下さない!?

 古賀は、二村さんにかなりの敵対心を見せているのに!??


 古賀は二村さんが嫌いだと思うが、苛めの指令を出さないと言うことは、古賀は其処まで、松田や中田が好きでは無いのかも知れない……

 はっきり言って松田や中田は、クラス内でこそ陽キャラやDQNで有るが、他クラスに行けば、松田や中田を上回る奴は“ごまんといる”し、暴力だけで言うなら、キッドわく川本や信濃が居る!


 そう考えると……古賀が好きな男性は、松田や中田では無い可能性が高い。

 だけど、このクラスでは松田や中田が、陽キャラやDQNで有るから、それで関係を持ってるのだろう!!


 どちらにせよ、俺には面白くない状態で有った……

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