第125話 妹からの厳しい言葉!

『ゴク、ゴク、―――』


 虹心は直ぐに返事をすると俺は思っていたが、虹心は澄ました表情のままでミルクティーを飲んでいる。

 虹心は言葉を選んでいるのだろうか?


「ふぅーー」


『コトッ♪』


 コップに残っていたミルクティーを一気に飲み終えた虹心は、軽いため息をきながらコップを静かにお盆に置く。


「……兄ちゃん」


 やっと、口を開いた虹心で有ったが、表情は凄く困った表情をしていた!?

 口に出さなくても判る!!

 俺にとっては耳が痛いどころか、耳がもげるような話しを、今から虹心は口にするのだ!!


「……虹心!」

「どうした……そんな暗い表情に成ってしまって!!(汗)」


 俺は戸惑いの表情をしながら虹心に言うが、虹心は表情を変えずに話し始める。


「兄ちゃんはさ……何を、望んでいるの?」

「二村さんとの関係を望んでいるの?」

「それとも、伊藤さんとの関係を望んでいるの?」


「今の兄ちゃんの態度では、伊藤さんでは無いけど……兄ちゃんを異性としては見られない…///」


「!!!」


 最後の文章は、顔を背けながら言う虹心!?

 本当、耳を塞ぎたくなる言葉だ!!

 俺は言い訳をする表情で、虹心に言い始める。


「……そんな事を言っても、虹心!」

「俺に、どうしろと言うのだよ!///」


「俺の失言も有るが、伊藤さんにも原因が有る!!」

「伊藤さんも、二村さんとの関係修復は出来ないと分かり切っているのに、俺との関係を深め様とはしない!!」

「こんなので、どうしろと言うのだよ!!」


 最後の文章は、八つ当たりをする口調で虹心に言ってしまう!///

 しかし、虹心は凄く困った表情のままで言う!?


「……どうしようも出来ないよ。兄ちゃん!」

「兄ちゃんが二村さんを好きならそれで良いけど、伊藤さんに乗り換えるつもりなら100%失敗する……」


「私も、伊藤さんを押しといて言うけど、今の状態では、伊藤さんに過剰な好意は見せない方が良い!」


「!!!!」


(虹心の中では、全てお見通しの訳か!)

(俺は二村さんに見切りを付けるべきだと決意した!)

(伊藤さんも縁を切られたとは言え、まだ二村さんを親友に思っているし、伊藤さんは俺との関係を深めるより、俺と二村さんの関係修復を望んでいる感じがする……)


「……じゃあ、虹心…。俺は本当にどうすれば良いのだ……」

「二村さんが、DQN女子達から苛められれば良いが、そうで無ければ俺と二村さんの関係は完全に終わってしまう…」


 俺は悩んだ表情で虹心に言うが、虹心は諦めた笑いの表情で言い始める!


「あはは……それしか無いよ…。兄ちゃん……」

「その状況に成れば、伊藤さんも兄ちゃんとの関係を、改めて意識するかも知れない……」


「はっきり言って、兄ちゃんも伊藤さんも今は動いては駄目なんだよ!」

「私の感じからしても、伊藤さんは兄ちゃんに、興味をかなり感じている!!」


 此処で虹心は、真剣な表情に変えて言葉を続ける。


「でも、この状況で伊藤さんが動いてしまうと、伊藤さんは絶対悪者扱いされる!!」

「学年一の美少女が、“うだつがあがらない”同級生を親友から横取りしましたなんての、悪意の有る噂話が流れ出したら、伊藤さんのブランドが崩壊してしまうよ……」


(“うだつがあがらない”は、余計だ虹心!!)


(けど、その方が伊藤さんには都合が良いのでは?)

(でも……アレか。伊藤さんが学園に居辛くなるのは事実か……)


(もし、そう成ってしまったら、二村さんは絶対に伊藤さんを許さないし、二村さんがDQN女子達に頼み込んで、伊藤さんを苛める様に差し向けるかも知れない!?)


「兄ちゃん……私の言葉。理解出来た?」


 虹心はうかがう表情で聞いて来る。


「あっ、あぁ……虹心の言葉通りだ!!」

「岡谷君より優秀で助かるよ……///」


 俺は納得した表情で虹心に言う。

 岡谷君に相談しても返事はしてくれないし、仮に誰にも相談をせず、一人で突っ切っていたら、俺は初めの頃のがくねんナンパ様に、再度自滅をしていただろう!!


 虹心は本当に、頼りがいが有る妹だ!!

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