第103話 昼休憩

(早く……お昼休みに、成らないかな)

(これでは、二村さんは完全に俺を見限ってしまう…)


 伊藤さんとは根を詰めて話し合いをしたいので、この休憩時間に会いに行っても、大きな結果は得られない。

 俺は苦虫を噛みつぶす様な表情で、二村さんと松田を見ていた……


 ……


 昼休憩の時間……


 午前中の授業も終わり、昼食の時間で有る。

 俺は直ぐに教室を出て購買では無く、伊藤さんのクラスに向かう。

 俺の今は、食事の時間より、二村さんとの関係修復が最優先で有った。


 昨日相談した伊藤さんの会話からして、伊藤さんも親友は多くない感じがした。

 異性から好かれるのを嫌っているから、特進コース内ですら男性親友は居ないそうだし、女子とも積極的な関係を構築していないだろう?


 昼食も、誰かと一緒に教室や屋外で食べるよりかは、教室内で、一人静かに食べていると俺は予想する。

 伊藤さんの性格上、アホ女系統は嫌いだと思うし、DQN女も好みでは無いだろう!?


 俺は伊藤さんが居るクラス、特進コースに急ぎ足で向かった。


 特進コース。

 2年生教室前……


(……さて、教室に着いたが良いが、どう声を掛けるべきか…?)

(フレンドリーに声を掛けたいが、何せ学年一位・二位を争う美少女だ!)

(特進コースの男子だって、絶対、伊藤さんに好意を感じている人数は多いだろう)


(……偶然とは言え、俺の“モテ期”は本当に凄いな!///)

(伊藤さんと親友まで、関係が発展出来たのだから!)


 昨日は放課後を狙ったので、教室から伊藤さんが出て来るのを、只待つだけで良かった。

 だけど今日は、伊藤さんが昼食の時間帯に、教室から出て来るとは限らない。


(特進コースだけど、陽キャラは何処のクラスでも絶対に居るからな…)

(彼奴らに変な刺激を与えない様にしないと、俺の周りは敵ばかりが増えてしまう!(汗))


 世の中…。文武両道に恵まれた、最強イケメン陽キャラも居る。

 逆も居る訳だが……

 特進コース陽キャラ連中が、川本や信濃に関わりが有るとは思えないが、万が一も考えなくては成らない。


(本当どうやって、伊藤さんに声を掛けるべきか…)


『ガラッ!』


 俺は特進コース教室の前で悩んでいると、教室の扉が開き、楽しそうに会話しながら女子数人が教室から出て来た。

 教室から出てきた、一人の女子は俺を見ると……


「伊藤さん!」

「昨日の男子が、また来ているよ!!」


 その女子は、教室内に体の向きを変えて、教室内に向けて陽気な声を掛けている。

 教室内からは……


「えっ…!」

「三國君が来ているの!?」


 教室内からは、伊藤さんの驚いた声が聞こえ、しばらくすると小走りで伊藤さんが姿を見せる。

 伊藤さんは澄ました表情だが、感情を含ませた口調で言い始める。


「三國君……どうしたのと言いたいけど、やっぱり来たか!」

「彩織は、三國君を許さなかったか……」


「はい…」


 俺は静かに返事をすると、伊藤さんは澄ました表情で言葉を続ける。


「今日の放課後と言うより、昨日と同じ時間に、また此処へ来て!」

「その時に……ゆっくりと相談をしましょう…」


 伊藤さんも、俺と相談をしたい感じだが……俺はこの時間に、伊藤さんと相談をしたかった。


「……今からは駄目ですか?」

「伊藤さん……」


 俺は困った表情で伊藤さんに言う。

 俺は早く、二村さんの関係修復をしたかった。


 俺がいない間にも、松田や中田が二村さんにLove攻撃を開始しているかも知れない!!

 だが、伊藤さんは悲しい表情を見せて言い始める!


「三國君の気持ちも分かるけど……この時間は自習室も空いてないし、込み入った相談をする場所無いし、時間も短いわ!」


「後……私も……、彩織から絶交されたから……!」


「!!!」


(嘘だろ……本当に、虹心の言う通りに成ってしまった!)

(どうして女子は、人の縁を簡単に切れるのだ!?)


 女性の友情……もろすぎるだろ!?

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