第101話 早起き

 ……


 課題が終わった後は自由時間だが、夜も大分遅いし、明日も学園が有るので就寝する事にする。

 俺は部屋の電気を消して、ベッドに潜り込む。

 素直に寝ようとするが、寝る前に少し考える……


(今日は本当に、色々有った日で有った)

(二村さんからの、Rail返信が無いのは気掛かりだが……)

(既読マークが一切付かないと言うことは、完全に無視しているのか、それともブロックしている可能性が有る!)


(……明日。学園に行ったら二村さんは、俺へ普通に返事をしてくれるだろうか?)

(秘密を聞いてしまったのは悪いけど、伊藤さんが勝手に話したことだし……)


(二村さんが俺を無視しているようで有ったら、虹心の言う通り、伊藤さんへ本当に乗り換えるべきか!?)

(今の俺にとっては、二村さんより伊藤さんの方が興味が強い)

(だけど、俺は二村さんに好意を示してしまった……)


(うーん……)


 その夜は中々、俺は寝付くことは出来なかった……


 ……


 翌日……


 俺は何時もの時間より、早く目覚めてしまう!

 二度寝もまだ出来る時間で有るが、二度寝をしたい眠気は無かった。


(少し……起きる時間には早いが、たまには良いか!)

(二村さんは早く来る人だから、上手く行けば朝のHR前に、話し合いが出来るかも知れない!)


 俺は考えを纏めて、少し早めに起きる。

 時間もまだ早いし、制服に着替えるのは朝食後で良いだろう。

 洗面所で顔を洗い、台所に入ると、虹心が朝食を食べようとしていた。


「……あれ!?」

「兄ちゃん!? どうしたの!!」

「おはよう……」


 虹心は俺の顔を見て、凄く驚きながら声を掛けてきた。

 まぁ、驚くのも無理は無いだろう。

 長い学園生活の中で、今まで一番早い時間帯に台所へ入ったのだから!?


「おはよう、虹心!」

「目が早く覚めてしまってね…」

「それに今日は少し、早く学園に行こうと思ったから!」


「ふ~ん」

「二村さん絡みだね!」


 俺は和やかな表情で虹心に言うと、虹心は顔を“にやつかせ”ながら言う。


「豚汁は温めたばかりだから、そのままお椀に注げるよ!」


 虹心は和やかな表情で俺に言って、朝食を食べ始める。

 虹心と二人きりの朝食の場合、ご飯や味噌汁は自分でよそうし、一緒には食べていない。


 逆に言うと、学園時に一緒で食べるのは初めてかも知れない!?

 俺の家の朝食は休日を除けば、一緒に食べる習慣では無い。

 朝の時間帯、虹心と俺は少し時間が違うし、日によっては“ごみ出し”とかも母親代わりに虹心が出す時も有る。


 俺も朝食の準備をして、虹心と同じように朝食を食べ始める。

 日常会話をしながら、虹心と朝食を食べる。


「今日も良い天気になりそうだね。兄ちゃん!」


「だな…。雨より晴れの方が良いね。虹心!!」


 朝の時間帯は何だかんだで忙しいので、会話を楽しむより、食事が中心で朝食の時間は過ぎていく。


 ……


「行ってきます!」


「いってらっしゃい。兄ちゃん!!」


 俺は虹心に元気な声で挨拶をして、虹心から元気な声を貰いながら玄関から出る。

 何時もより早く家を出て、俺は学園に向かう。

 時間で言うと普段より20分位早い。


 昨日のように、虹心は俺に付いて来るかと思ったが、今日は付いて来なかった。

 普段の時間より早いのも有るし、今日は可燃ごみ収集日らしく、虹心は可燃ごみを出す準備をしていた。その関係も有るのかも知れない。


 朝の静かな通学路を歩いて、俺は学園に向かう。

 時間が少し違うだけで、何時もは賑わっている通学路も人気は少なく感じる。


(早起きして、学園に行くのも悪くないかもな!)


 俺はそう思いながら、学園に向かった。

 果たして俺は、二村さんと関係が修復出来るのだろうか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る