第98話 妹に顛末を話す その2

「私の予想だけどね……二村さんは今回の件で、兄ちゃんと伊藤さんに距離を開けると思う…!」


 穏やかな表情で言う虹心だが、口調は断言するように言う!

 俺はその言葉を素直に受け取らず、反論する口調で虹心に言い始める。


「…の訳無いだろ、虹心!」

「伊藤さんと二村さんは近所同士で、中等部からの付き合いだぞ!?」

「そんなに簡単に、人の縁なんかは切れないよ!!」


 俺は思わず、強く虹心に当ってしまう。

 すると、虹心は一気に落ち込んだ表情で話し始めた!?


「……私と小鞠ちゃんの関係を、兄ちゃんは知って居るよね…」

「私が小学生のある時から、小鞠ちゃんから一方的に距離を開けられたことを……」


「……けど、今では大の仲良しだろ。虹心!」


「今はね……」

「でも、あれは小鞠ちゃんの人生がピンチに成ったから、私を頼っただけだよ……」


「もし、小鞠ちゃんのお母さんがリストラされてなければ、私があの時見つけても、小鞠ちゃんは走って逃げて居たと思う……」

「私は小鞠ちゃんに再会するまで、新しい住所も知らなかったし……」


 普段の虹心らしくない、暗くて寂しそうな表情で話している虹心。


「兄ちゃん……あれは、本当に偶然だよ!」

「私は小鞠ちゃんと距離がひらいた時。無理をして距離を縮めようとはしなかった」

「私はこんな性格だし、小鞠ちゃんも今ではこそ、積極的な面が強く成ったけど、それまでは本当に大人しい子だった……」


「……」


(これは、声を掛けようが無いな……)

(小鞠ちゃんも、虹心が重い子の理由で、クラスが離れた時にえんを一方的に切った)


(二村さんと伊藤さんが近所同士でも、虹心と小鞠ちゃんのような現象が起きる可能性は十分に有る訳か…)


 虹心は寂しい表情から、少し真剣な表情に変わり、俺に聞いてきた。


「兄ちゃん……敢えて聞くけどさ!」

「兄ちゃんは伊藤さんと二村さん。どっちが良いと思っているの?」

「上辺の気持ちでは無く、真剣に考えて言ってね!」


「私が兄ちゃんの話しを聞く限りでは、兄ちゃんは伊藤さんが好きな筈だ!」

「プリンモールで兄ちゃんが伊藤さんを見ていた時。私は兄ちゃん好みの女性だと声を上げる程、兄ちゃんは伊藤さんを見つめていたからね!」


(あの時……俺と伊藤さんは面識が殆ど無かったし、俺は伊藤さんを冷酷な人だと思い込んでいた)

(だけど、段々話していく内に、伊藤さんはとても優しい人だと気付き、特進コース生だから成績も優秀だ)


(虹心の言う通り…。俺が本当に好きな人は伊藤さんかも知れないが、伊藤さんも海外に片思いの人が居る!?)


「虹心……俺、やっと気付いたよ!!」

「虹心…。俺は虹心が好きだよ……///」


 俺は頬を染めて、虹心に告白する表情で言う。

 それにまだ気付かない虹心は、陽気な口調で言うが……


「でしょ! やっぱり伊藤さんでしょう♪」


「…………えっ!? なんで、わたし~~~!?//////」


 虹心の中では、俺が伊藤さんと言うと断言していたので、その発言を用意していたが、俺がフェイントをかけた。

 俺からの告白で、慌てふためく虹心!


「なんで、急に、ここで私が出て来るのよ//////」

「わたしは、伊藤さんか二村さん。どっちが良いかを聞いているのよ!?///」


 虹心は頬を染めながら、怒った表情と甲高い口調で俺に言う。

 だが、俺は落ち着いた口調で虹心に言う。


「……俺、気付いたんだ!」

「伊藤さんと話しをていると、何となく、虹心と似ているなと…」


「それで、私に告白されてもこっちが困るよ!///(汗)」


 虹心は頬を染めて、焦った表情で言う?

 あれ? 虹心は俺のこと好きなんだろ??


「俺の中で今、伊藤さんと虹心は、ほぼ同一に見えるんだ」

「成績も良いし、顔立ちも良いし、性格も良く似ている」

「似てないのは、身長と胸の大きさ―――」


「あぁ…!(怒)」


「!!!」


 胸の話し部分で、虹心が思いっきり睨み付けてきた!?

 俗に言う、ガンを飛ばすだ!!


「……胸の話は良いだろ…!」


 更に虹心は、低音を利かせた口調で俺に言って来た!

 この部分だけは、虹心のオリジナルだ!?

 伊藤さんには備わってないだろう。


 これも備わっていたら多分、伊藤さんは生き別れの姉に成るだろう!?

 そんな事は絶対無いはずだが……

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