第91話 真優美の厚意 その1

 流石、毒舌妹。虹心で有る!?

 今晩は母さんが夜勤だから、実質虹心が母親代わりで有るが……

 俺は謝る口調で虹心に言う。


「虹心……ごめん!///(汗)」

「今から、帰るから!!///(大汗)」


「……今晩が偶々たまたま、豚汁だったから良いけど、料理は出来たてが一番美味しいのだよ!!(怒)」


 電話向こうの虹心は、かなり怒って居るでは無く……激怒で有った。

 昔ながらの言葉で言うと……激おこプンプン丸状態で有る。


「分かった。直ぐに帰るから!///(汗)」

「虹心!…(汗)」


「……遅く成った理由を晩ご飯時に、しっかりと聞かせて貰うから、首を洗って待っていろよ……兄ちゃん!(怒)」


 虹心は最後、ヤ○ザ顔負けの低音口調で言い放つ!!

 奴の前世は、極道の妻だったのか!??


「あぁ。……分かった」

「ほんと、ゴメン。虹心…(汗)」


 俺は謝りながら、通話終了ボタンを押す。

 通話直後。真優美さんが不思議そうな表情で聞いてくる。


「声の感じからして……随分、活発なお姉さんだね?」

「あの声は、いくら何でもお母さんでは無いよね…?」


 真優美さんは聞くつもりは無かっただろうが、虹心の大声で全てが筒抜けだった……

 俺は申し訳ない表情で真優美さんに言う。


「真優美さん……」

「虹心は姉では無く妹です。中等部の3年生に成ります…」


「!」


 真優美さんは少し驚いた表情をするが、直ぐに笑顔で話し掛けてくる。


「へぇ。しっかりした妹さんだね♪」

「電話の声だけだったら、完全にお姉さんだわ!♪」

「三國君周りの状況がドンドン理解出来て、私としては嬉しいわ♪」


 真優美さんは、本当嬉しそうな笑顔で言う。

 真優美さんからの質問がまだ残っているが、一分でも早く家に帰らないと、虹心から何を言われるか分からない上、何をされるかも分からない!?


「虹心から、直ぐに帰って来いと言われました…(汗)」

「話しの途中ですが、これで……」


 俺は真優美さんに名残惜しい口調で言って、席を立ち上がろうとした時……


「三國君!」

「約束通り。三國君の家近くまで、車で送って上げるよ!」

「そうすれば、その間に私は質問が出来るし♪」


 真優美さんは和やかな表情で言ってくれる。

 今から普通に帰ろうとしても、絶対30分以上は掛かるけど、真優美さんが車で送って貰えれば、距離的に約20分も有れば家に着けるだろう。


 ア○メイトは駅前に有るから最悪、誤魔化すことも出来る!?

 時間的に、それ位に成るからだ!

 ア○メイトは家から行くより、学園から行った方が近い距離に有る。


 だから、学園帰りに寄ることも多いが、そんな話しはどうでも良いか。

 これ以上遅く成ると、また虹心から”怒りの電話(☠)”が絶対に来るし、ここは真優美さん厚意に甘えよう……


「では……すいません。真優美さん……」


「良いのよ! 三國君!!」

「引き留めた、私が悪いのだから!!」


 真優美さんは微笑みながら言う。

 この人のタイプが“おじさま”で無ければ、絶対に落としているのに……


陽葵ひまり~~。ちょっと、買い物に出掛けてくるから!!」


 真優美さんは、住まい側に成る方へ陽気な声を掛けている。

 この喫茶店。住居兼用で有る。


「行ってらっしゃい~~」


 住居側から真優美さんと同じように、元気な声が返って来る。


(声の感じからして、真優美さんより少し大人しそうな感じはするが……さっき陽葵と呼んでいたな?)


(もしかして、ここ。陽葵先輩の家…?///)

(の訳無いか……。真優美さんの娘だと絶対年齢が合わないし、偶然名前が重なっただけだろう…)


「さて、じゃあ、行きましょうか!」


「あっ、はい。お願いします…」


 真優美さんは和やかな表情で言い、俺は申し訳ない表情で返事をする。

 真優美さんと短い、ドライブが始まろうとしていた。

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