第90話 崩壊

「あっ、待って!!///」

「彩織!!!(汗)」


「…………」


 そして、それを追い掛ける様に、伊藤さんも慌てふためいた表情で店を出て行く!?

 喫茶店の店内には、俺と真優美さんだけが取り残される……

 俺は本日、二回目のフリーズと成った。


「……凄い事に成ったわね。……三國君?」


「……はい」


 真優美さんは心配そうな表情をして、俺に声を掛けてきた。

 俺は真優美さんの言葉で我に戻るが、真優美さんは穏やかな表情で質問をしてくる。


「……三國君の家は、どの辺?」

「今日、初めて見るから、この地区の子では無いよね?」


 何故か真優美さんは、俺の住み家を聞いてきた?

 俺は不思議に感じながらも、落ち着いた口調で真優美さんに言う。


「俺の家は、学園近くです……」

「葉月学園から徒歩で、十数分の所に家は有ります!」


「あ~~。あの地区ね!」

「そんなに、此処から遠くは無いわね!!」


 何故か、嬉しそうな表情で言う真優美さん?

 真優美さんは和やかな表情に変わって、言葉を続ける。


「ねぇ、三國君?」

「私も女性だから……教えられる範囲で良いから、今日の事を教えてくれない?♪」

「帰り……車で、送って上げるからさ!♪」


「はぁ~~…」


 真優美さんは言葉を終えた途端、俺の腕を掴んで、先ほど座っていたテーブルに連れ戻される!?

 俺はまだ、了承はしていないぞ!?


「さて、さて!」

「今日はどんな出来事が有ったのか、私にも教えて。三國君♪」


 真優美さんは椅子に座りながら、子どもの様な笑顔で言うので、俺は観念して立った席に再び座り、真優美さんに今日の出来事を話し始める……


 どうせ話すなら、一から話した方が良いと思ったので、松田が二村さんに声を掛けたところから、説明をする様な口調で真優美さんに話す。

 少しで有るが、虹心や小鞠ちゃんのことも話す。


 俺が真優美さん話している間、真優美さんは相づちをしながら聞いてくれて、時々『ほぉ~~』とか『うん、うん』等、俺の言葉に共感しながら聞いていた。

 真優美さんの性格は、虹心と良く似ているなと感じた。


 ☆


 説明と言う話しも終えて……真優美さんからの質問タイムに入ろうとした時。


『♪~~~』


 俺のスマートフォンから、電話の着信音が鳴る。

 俺はまさか、二村さんかと思って急いで表示を見るが……それは虹心からだった。


『♪~~~』


「……」


 俺が電話に出ないままスマートフォンを見つめているので、心配した表情で真優美さんが声を掛けてくる。


「三國君…。電話に出ないの?」


「あっ……では、失礼します」


 俺は申し訳ない表情で真優美さんに言ってから、電話に出た直後!?


『ピッ!』


「…おい!(怒)」

「兄ちゃん! 何時まで遊んでいるの!?」

「晩ご飯が、完全に冷めるでしょが!!」


 耳に当てなくても、虹心の甲高い罵声が店内に響く!?


「にっ、虹心。声が大きい……」


「はぁ……!(怒)」

「声が…大きい!?」

「何処で、何やっているのよ!!」


「もう、19時半過ぎているよ!!」

「また、学園の帰りにア○メイトでも寄っているの!?」


 虹心は『母親か!?』と、思いたくなる様な口調で言う。

 母親ですら、こんなキツい口調では言わない。

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