第87話 放課後デート!? その3

 だけど真優美さんはそれ以上、踏み込むことは無く、俺たち三人に和やかな表情で話し掛ける。


「私は閉店準備を始めるけど、何か有ったら呼んでね♪」


 真優美さんはそう言い終えると一度は俺たちの側から離れたが、直ぐに戻って来て、お代わり用のハーブティーが入った容器をテーブル置いて、今度こそ席を離れていった。

 そのタイミングで、伊藤さんが穏やかな表情で話し始める。


「そろそろ、本題に入りましょうか!」

「余り遅く成ると、真優美さんにも迷惑掛かるし……」


「そっ、そうだね。亜紀!///」


 二村さんの頬はまだ、少し染まったままだが平常心に戻り掛けている。

 伊藤さんは真面目な表情で、二村さんに話しを切り出す。


「彩織……手短に言うわ!」

「三國君は彩織に好意を持っているけど、同時に彩織を狙って居るライバルも居るらしいわ!!」

「彩織に……心当たりは有る?」


(伊藤さん……ためらいも無く、ストレートの剛速球を二村さんに投げるな!)

(伊藤さんと岡谷君を勝負させたら、どうなるだろうか……)


「えっ!?///」

「私を好きな人が、三國君以外に居るの!?」

「でも……亜紀がそのことを知って居ると言う事は、三國君が亜紀に相談した訳…!?」


 二村さんは本当に、びっくりした表情で話している。

 俺が二村さんに関することを、伊藤さんに相談するとは夢にも思っていなかったのだろう。

 俺も弁解する口調で、二村さんに話し始める。


「俺も本当は、こんな事をするつもりでは無く、普通に二村さんと関係を築きたかったけど…、松田と中田が二村さんを意識している感じだったので、俺は伊藤さんに相談をした」


「…………」


 俺と伊藤さんの言葉を聞いた二村さんは……呆然とした表情に成ってしまう!!

 伊藤さんは困った表情で、二村さんに話し掛ける。


「彩織……気を悪くしないでね!」

「三國君も普通に彩織と接したいそうだけど、ライバルが厄介らしいので気を病んで居るのよ!!」


「亜紀は悪くないよ!」

「亜紀は三國君からの、相談を受けただけ……」


 伊藤さんには焦った表情で言う二村さんだが、俺には疑問を感じた表情で聞いてくる。


「でも、どうして三國君はいきなり、亜紀の所へ相談に行ったの?」


「二村さん……さっき言ったように、松田と中田が、二村さんに好意を持っているんだ!」

「二村さんは、何処まで知って居るかは分からないけど、松田や中田の後ろに、川本や信濃って言う厄介な人物が居るんだ!!」


「川本君や、信濃君…?」

「私は会話をしたことが無いし、話し掛けられたことも無いはず…」


 二村さんは『?』の表情をしながら言う。

 俺は二村さんに説明する口調で言う。


「二村さん…。その二人が本当に厄介なんだ!」

「川本のあだ名は『キッド』と呼ばれていて、とにかく喧嘩が凄く強い。学年一位の強さを誇ると思う!」


「信濃も……キッドと比べれば、力は弱いが瞬発力が有る!」

「そして、松田と中田はその二人と関連性が有る!!」

「俺の様な弱者が、二村さんにちょっかいを掛けるのは、本来は自殺行為なんだ…///」


「???」


 二村さんは目を“ぱちくり”させている。

 本当に知らないのだろうか??

 見かねた伊藤さんが会話に加わる。


「彩織……プリンモールで彩織が三國君と親友宣言した時に、お互いがRailの交換をしなかったでしょう?」

「それをしなかったから、ちょっと事態が大事に成ってしまった……」


「あっ、あぁ~~~、そうだね!///」

「忘れていたよ~~!!」


 伊藤さんが申し訳ない表情で言う中、二村さんは思い出した表情で言う。

 この人、天然が入っている?


「三國君も、ピュアなんだね!」

「私の連絡先なんて、クラスの連絡網に書いて有るのに♪」

「そう言ってくれれば、直ぐに送ったのに~~」


 二村さんは一見、和やかな表情で言っているが、作り笑顔にも見えてしまう!

 やはり二村さんに内緒で、伊藤さんに相談したのは不味かったのだろう。

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