第82話 学年美少女と勉強会 その3

「はい。……もう、これで終わります」


 伊藤さんは澄ました表情で、素早く男性教員に言う。


「なら、良い!」

「自習室の電気は消して置いてな。伊藤!」


「はい!」


 男性教員は扉を閉めずに、自習室から離れて行く。


「……終わりましょうか。三國君」

「彩織の事も有るし……」


 伊藤さんは澄ました表情で言う。

 さっきの俺の発言は、伊藤さんの中ではもう過去扱いのようだ。

 切り替えの早い人で有る。


「時間が経つのは早いですね!」

「伊藤さん。今日はありがとうございます!」


 俺は和やかな表情で、伊藤さんに勉強のお礼を言うが……


「……お礼は、まだ早いよ。メインはこれから…」


「あっ!?///」

「そうでしたね///」


 何時の間にか二村さんの相談から、伊藤さんの勉強会に主が入れ替わっていた。

 俺と伊藤さんは、片付けと軽い整頓をしてから自習室から出る。


 自習室を出た時。俺はスマートフォンで時刻を確認したが、18時5分で有った。

 自習室から、特進コース教室に二人で移動する。


 ……


 けど、まだ教室前に二村さんの姿は見えなかった。

 俺は伊藤さんと、しばらく無言で待っているが、暇なのか伊藤さんが俺に話し掛けてくる。


「三國君」


「はい…」


「三國君の中では親友だけど、私は三國君を其処まで思ってないから…」


 伊藤さんは、冷めた表情で俺に言う!?

 俺の先ほどの失言で、伊藤さんは俺の見方を変えてしまったのか!


「けど……勘違いはしないでね!」

「私は三國君を今、吟味している所だから」


「吟味ですか…!」


 俺は驚きながら言う。

『吟味』は良い意味では使われない言葉で有るが、俺に有る程度の興味を、伊藤さんは持っている意味で有るからだ。

 伊藤さんは、澄ました表情で言い始める。


「そう、吟味!」

「君は私に興味が有りまくる癖に、甘い言葉を積極的に使ってこない」

「さっき横に居た時だって、三國君は頭の中で私を妄想をしていたけど、手や口は出して来なかった」


「三國君が女性慣れをしていないから、それをしなかったのか、本当に彩織を思っての行動かは、私にはまだ解らない…」

「彩織のタイプだけで、三國君を其処まで好きなるのは不思議だし、私も三國君を不思議に感じる」


「君は……普通のガツガツした男性とは違う気がする!///」


 伊藤さんは最後、何処か恥ずかしそうな表情で言う!?


(これは伊藤さんが俺に、興味を持ち始めたで良いのか!?)


「さっき、三國君の言ったハーレム!」

「私が彩織と、して上げると言ったどうする?」

「正直に言って……///」


 伊藤さんは頬を少し染めて、覗う表情で聞いてきた!??

 今まで見たこと無い表情だし、それに何故、そんな事を聞き始める!?


 伊藤さんは急激に、俺へ心を開け始めたぞ!!!

 俺の“モテ期”凄すぎないか!!!!


(そんなの弾んだ声で『是非、お願いします!』に決まっているよ!!)


『伊藤さん♪///』

『虹心と小鞠ちゃんの縁を切ってでも、俺は二村さんと伊藤さんを取るよ♪』


(とは、言えんな…)

(伊藤さんは俺を試して居るだろうし、虹心と小鞠ちゃんを本当に裏切る訳には行かない)


(それにそんな事したら、小鞠ちゃんはショックで自殺するかも知れない!?)

(言うまでも無く、そんな事が起きてしまったら虹心も壊れるだろうし、三國家自体も崩壊の道を勝手に辿るだろう……)

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