第77話 相談を始める その2

「あっ、あの……伊藤さん///」


「…なに?」


「二村さんは俺の何処に惚れたか、伊藤さんは分かりますか?」


 二村さんが俺を好きに成った理由を、伊藤さん経由で聞いてみるが、伊藤さんは『やれやれ』の表情をしながら話し始める。


「彩織が、三國君を好きに成った理由を、私はきちんと聞いたことは無いわ!」

「けど……優しくて、何時も真面目だけど、相手に好かれようとして居る姿が、良いと言っていた覚えは有るわ!」

「私とは正反対だね……三國君。私は嫌われようとしているから…」


「相手に、好かれようとする努力ですか……」

「うん…。間違っては無いけど…」


 確かに俺は、相手に好かれる努力はした。

 身だしなみや、言葉遣いもきちんとした。

 でもそれは、彼女を作るための布石で有って、本当に相手を思って行動したのかは、俺の中でも微妙で有った。


「それが……二村さんが、俺を好きに成った理由ですか?」


「だと思う」

「詳しいことは、彩織自身から聞いて…」


「ありがとうございます。伊藤さん!」


 伊藤さん経由で、二村さんが俺を好きに成った理由を一応聞けた。

 伊藤さんは澄ました表情で、俺に話し掛けてくる。


「ねぇ? 三國君?」

「私からも質問良い…?」


「はい。大丈夫ですよ!」


 伊藤さんは俺に、聞きたいことが有るようだ。

 俺は快く返事をすると、伊藤さんは澄ました表情で質問を始める。


「三國君は形だけでも良いから、彼女を求めていた」

「彩織は三國君に興味を持っていたから、私は彩織の背中を押した!」


「まずは親友として、関係を深める事に二人は成った訳だけど、三國君は彩織の何処を好きに成って、関係を深めようとしているの?」


(結構、キツい質問してくるな。伊藤さん…)


「やっぱり……彩織の体目的?」

「私と三國君にとって、彩織は共通の親友に成ったことだし、将来二人は恋人関係に発展するかも知れない…」

「良い機会だから、私にも教えて!」


 伊藤さんは眉一つ動かさずに、冷静な口調で厳しい質問をしてきた!?

 有る意味、恐いのですけど……


(どう、答えれば良いのかな……)

(素直に体では無く……タイプですと言えば、伊藤さんは納得するかな?)


 俺は、どう答えようか悩んでいると……


「やっぱり……彩織の体目的なの?」


 伊藤さんは、簡潔に纏めようとしてきた。

 俺は慌てた口調で、それを否定する。


「ちっ、違うよ。伊藤さん!///」


「なら、早く答えなさい…」

「私は、は嫌いなのよ!」


 伊藤さんは不機嫌な表情で、俺に返事を急かしてくる。

 俺は悩んだ表情で、伊藤さんに話し始める。


「俺も二村さんと同じで……一番は性格だと思う」

「性格も元気で明るい子だし、顔も俺のタイプだから…///」


「性格ね…。三國君は彩織のような子がタイプなんだ!」

「お互いがタイプだと、直ぐに恋人関係に発展するのかな?」


「……クラス内で狙っている二人も、顔や性格で彩織を狙って居るのかな?」

「彩織は、分け隔て無く人と関係を作るから、敵も少ないけど、本当に親友に成る人も少ないのよね…」


 伊藤さんは澄ました表情で言うが、最後は心配する表情に変わる。

 多少は気に掛けているようだ。


(……二村さんの親友が少ない!?)

(そうは……見えないがな?)


 俺は伊藤さんの言葉に、疑問を感じてしまう。

 二村さんは、クラスのムードメーカーだからだ。

 俺はその言葉に『もやっ』とするが、伊藤さんと二村さんの関係を聞いてみる。


「……伊藤さんと二村さんの関係は、どんな関係なんですか?」

「やはり、幼なじみですか?」


 俺は穏やかな表情で聞くと、伊藤さんは相変わらずの、澄ました表情で話し始める。

 何だか、岡谷君と話している気分だ。

 でも、岡谷君ですら、もうちょっと感情が有るぞ!?

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