第56話 小鞠の気持ちと意志

「うっ、うん…」

「どうした、小鞠ちゃん!//////」


 俺は急に緊張しながら、小鞠ちゃんに返事をする。

 小鞠ちゃんは『もじもじ』した表情で、ゆっくりと話し始める。


「兄さんは、私のことが嫌いですか…?///」

「私を妹でしか、見てくれないのですか…?//////」


 小鞠ちゃんは寂しそうな口調で言う……

 そんな口調で言われたら、俺は小鞠ちゃんを受け入れるしか無いだろうが!?


 これが、ヒロインを選択出来るアドベンチャーゲームなら、小鞠ちゃんを選択したり、禁断ルートに成るはずの、虹心も選択出来るのだが!?

 けど、虹心ルートを選択した場合の、ハッピーエンドはどうなるのだろうか??

 俺は……躊躇ためらいを感じながら、小鞠ちゃんの問いに答え始める……


「小鞠ちゃん…。俺も小鞠ちゃんのことは好きだよ!」

「けど、天秤には掛けてはいけないけど……二村さんと小鞠ちゃん。どちらかを選べの選択肢が来てしまったら、俺は二村さんを選ぶ…!」


「!??//////」


「キッ!!!」


 小鞠ちゃんの表情は一気に涙顔に変わり、同時に虹心は、俺を鬼の形相で睨み付けた!!


(あぁ、言っちまった…)

(これで……小鞠ちゃんとの“お兄ちゃんごっこ”もお終いだし、虹心も敵に回すことに成った)


(また今から、虹心の毒舌や嫌がらせが始まるのだろうな……)

(後は情けで『桃香ちゃんに密告だけはしないで!(汗)』と、小鞠ちゃんにお願いするしか無いな…)


 小鞠ちゃんは、ここで引くと俺は感じていたが、涙をぬぐって、何かの勇気を得た表情で話し掛けてくる。


「けど、兄さん……その選択肢はまだ、来ていませんよね…?」

「まだ、二村さんからの正式な返事は貰っていませんよね?」


「えっ…?」

「……そうだね。小鞠ちゃん…///」


 そうすると、小鞠ちゃんは頬を染めながら、和やかな表情で言い始めた!?


「なら私が……二村さんに告白される前に、兄さんを者にすれば良いのですね…?♪」


「いや、いや。小鞠ちゃん。急に何を言い出すの??///」

「そんな簡単に、人の気持ちは変わらないよ!///(汗)」


 俺は小鞠ちゃんの気持ちを断ろうと、焦りながら言うが、小鞠ちゃんは頬を染めながら、強気の表情と口調で言い始める。


「兄さん!///」

「私だって、一人の女性です!!///」


「兄さんが私に、魅力を感じたのは事実ですし、私も兄さんに魅力を感じています!!///」

「私は虹心ちゃんと協力して、兄さんは私を、心底から惚れて貰います!!///」


 今までの小鞠ちゃんとは思えない迫力で、俺に迫る表情や口調で言う!?

 虹心が小鞠ちゃんに、変なエネルギーでも与えたか??


『パチ、パチ、―――♪』


「おぉ~~、小鞠ちゃんが復活した♪」

「やっぱり、人を想う力は凄いね~~♪」


 虹心は拍手をしながら、笑顔で呟いている。

 小鞠ちゃんはまだ、強気の表情で言葉を続ける。


「そのためには、私は手段を選びません!」

「兄さんの“恐いぞうさん”でも、手を使って『良い子、良い子』するのも頑張ってしますし、私の口や舌を使って先端を―――」


「!!!」

「小鞠ちゃん、ストップ~~~!!」

「それ以上は、言っちゃダメ~~!!」


「!!//////」


 小鞠ちゃんが急に暴走を始めるから、俺は制止させる!

 虹心も、頬を染めて驚いていた。


 何処で、変な知識を仕入れてきた!?

 虹心や小鞠ちゃんはまだ、中等部だろうが!?


「……//////」


 まだ虹心は、無言で驚いていた。


(あの様子だと……虹心が、小鞠ちゃんに教えた訳では無いな)

(小鞠ちゃん……かなりの本気ですか??)


 何故、小鞠ちゃんはそう成ってしまった!?

 興味が無かった物でも、取られそうに成ると、興味を示すパターンか!?


 俺は小鞠ちゃんを完全に油断していた。

 もしかしたら、虹心より厄介かも知れない……小鞠ちゃんは、実の妹では無いから///

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る