第31話 俺をモテさせる方法!? その1

 俺を馬鹿にした口調で言っている虹心だが、ここで穏やかな表情と口調に変わる。


「けどね……」

「私と小鞠ちゃんが兄ちゃんを手助けすれば、兄ちゃんに魅力が出てくると思うのだよ!」


「えっ、そうなんですか!?」


 その言葉で驚く小鞠ちゃん。

 悪気は無いのだろうけど『有り得ない!』の表情をする小鞠ちゃん……

 けど、虹心は言葉を続ける。


「そうなんだよ。小鞠ちゃん!」

「兄ちゃんのスペック自体は、決して悪くないからね♪」

「あんな馬鹿なことをせず、真面目に学園生活を送っていれば、彼女に近い人は現れて居るはずだからね!!」


「後、小鞠ちゃんも本当はね、隠れ人気が有るんだよ!!」


 虹心は笑顔で嬉しそうな口調で、小鞠ちゃんに言うと……


「えっえ~~~~!?」

「初めて知りました~~~!!//////」


 滅茶苦茶びっくりしている小鞠ちゃん。

 この子は兄に対する興味は有るが、男性に対する興味が無いのか?

 虹心は少し改まった表情で、小鞠ちゃんに話し掛ける。


「まぁ、そこで……ちょっと、小鞠ちゃんにも協力して欲しいのよ!」


「協力ですか?」

「虹心ちゃん…」


「そう!!」

「この日の為に練っていた作戦が有るのだよ。小鞠ちゃん!!」


 嬉しそうな表情と口調で言う虹心。

 虹心の仲では、俺をモテさせる作戦が有るようだ。


(何か、昨日……コーディネートがどうとか、虹心が言っていたな)


 俺もそれが気に成るので、虹心の話を静かに聞く事にした。


「名付けて!」

「兄ちゃんには、実は魅力が有るんだぞ作戦♪❤」


「……」


「……」


 虹心の作戦名を聞いて……唖然とする、俺と小鞠ちゃん。

 小学生が考えた作戦かと思ってしまうが、虹心は中等部で有る。


「虹心……随分、解りやすい作戦名だな…」


 俺は呆れた口調で言うが、虹心はそれを聞き流し笑顔で言う!?


「でしょ~~❤」

「流石、兄ちゃん!!♪」


(別に褒めたつもりで、言ったわけでは無いぞ…)


「今週末は……、お兄ちゃんと買い物に行く予定だから駄目だけど、来週辺り小鞠ちゃんと―――」


 虹心は穏やかな表情で、作戦内容を話し始めるが、俺は兄の名前が出て気付く!

 どうして未だに、虹心は兄の航平と買い物に行きたがるのだ!!


「…虹心!」

「話しの途中で悪いが、何で俺とは買い物に行ってくれないんだ…?」

「虹心は俺のことが、兄妹でも大好きなんだろ!?」


 俺は虹心に訴えかけるように言うと、虹心は困った表情に成って、言いにくそうに言い始める。


「……兄ちゃんさ…。今の流行やファッションには鈍感でしょう…!」

「私のイエスマンが欲しければ、兄ちゃんと一緒に行くけど、意見を求めるなら“お兄ちゃん”しかいないよ!///」


「うっ……」


 虹心は言葉のストレートを豪速球で、俺に目掛けて投げ込んで来た!!

 俺はその言葉を打ち返すことは愚か、そのまま見送ってしまう//////


 俺なりに一応、ファッションの勉強はしているが……衣料品を買ったり、整髪するのは地元の衣料品店や理髪店ばかりで有る。

 お洒落に気遣う人は、わざわざシャツ1枚を買いに行くのに都市部に出掛けたり、整髪も都市部の高級美容院に行く。


 小遣いに関して虹心は女性なので、小遣い+衣類品小遣いが付加されている。

 俺の場合は小遣いのみだ。

 高校生と中学生の差が有るのに小遣いの金額は、俺とほぼ同額で有った。


 そのため、虹心は衣類に有る程度のお金を掛けることが出来た。

 女性は衣類にお金が掛かるから、仕方が無いのだが……

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