第25話 妹からの呼び出し

 晩ご飯の時間も終わり、俺はその後片付けを手伝ってから、リビングでテレビを見ながら家族との団らんを楽しむ。

 入浴を済ませてから自室に戻り、まだ寝るには早いので、青年漫画の単行本を読んでいると……


『コン、コン♪』


 この時間帯にノックがされる事は珍しい。

 俺は不思議そうに思いながら返事をする。


「はい…?」


「兄ちゃん! 私!!」


「?」

「どうぞ……」


『ガチャ♪』


 俺はドア向こう居る虹心に返事をすると、パジャマ姿の虹心がドアを開ける。

 久しぶりに見る、妹のパジャマ姿だ。


(サックスブルーのパジャマか…)

(虹心の下着も青色系統だったし、虹心の好きな色は青系なのか?)


「兄ちゃん!」

「今から私の部屋に来て!!」


 虹心はいきなり、俺を誘ってきた!?

 何を考えているのだ!!


「えっ……何で?」

「さっきのことはアレで終っただろ…」


 俺は嫌々そうに言うと、虹心は和やかな表情で言い始める。


「私の部屋で、兄ちゃんとお話がしたいのだよ!」

「兄ちゃんの部屋で話すと、お兄ちゃんの部屋に声が漏れるからね!!」


 俺の隣部屋は、兄の部屋で有る。

 虹心は俺と性的な目的では無く、兄を気遣って、虹心の部屋に俺を呼ぶようだ。


(確か明日は……日勤の早出とか、兄は言っていたな…)


「お兄ちゃん明日の朝が早いし、ここで話すより私の部屋の方が良いんだよ!」


 この家の壁は非常に薄い。

 兄の部屋から物音が聞こえて来ないと言う事は、もう寝ているのかも知れない。


 兄の彼女も家には来るが、兄の部屋に入ったのは最初の内だけだ。

 兄もその辺は理解しているのだろう!?


「なら、そうするか…。迷惑を掛ける訳にはいけないし」


 俺はそう言い終えると、二人で虹心の部屋に向かう。今日で二回目だ。

 間取りの関係上。俺と兄の部屋から少し離れた場所に虹心の部屋が有る。


 土地の関係でそう成ったのか、両親の意図が有ってかは不明で有る。

 二人で虹心の部屋に入り、虹心は昼間の時と同じ様にベッドに座った。


「ほら、兄ちゃん!」

「こっちだよ!!」


 虹心は俺をベッドに座るように促す。

 俺も昼間の時と同じ様に、虹心の真横に座る。


「それで、虹心。話しは何だ?」


 俺が話しを聞く口調で言うと、虹心は和やかな表情で話し始める。


「さっきね、小鞠ちゃんと連絡取ったの!」

「私の気持ちと兄ちゃんの気持ちを、小鞠ちゃんに伝えた♪」


「!!///」


 虹心は“さらっ”と言ったが、虹心の気持ちとは何だ!?

『小鞠ちゃん、ごめん!//////』、『私も兄ちゃん大好きなの!!//////』とでも、言ったのか!?


「それでね……明日のお昼過ぎから、小鞠ちゃんが家に来てくれることに成った♪」

「兄ちゃんの今後を話し合うために!!」


「……場を作ってくれて、ありがとうと言いたいが、虹心の気持ちとは何だ?」


「そのまんまの意味だよ! 兄ちゃん❤!!」

「この、この~~~♪」


 虹心は肘で、俺の横腹を“ぐりぐり”させる!

 虹心の力は入ってないから、痛くは無いがこそばゆい……


「……虹心は、兄の航平が好きでは無いのか!?」

「俺に鞍替えをしてどうした!!」


 虹心は俺では無く、兄が大好きなはずだ!

 だが虹心は、笑顔で話す。


「私は元々、お兄ちゃん・兄ちゃんの両方が大好きだよ❤」

「兄ちゃんが、気付いて無かっただけでしょ!!」


 虹心は笑顔で言うが、俺はそんなフラグを回収した覚えはないぞ!!

 何処に有った!


 妹から好かれていましたフラグ!?

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