第24話 俺の兄……
「虹心…。虹心が使い終わったら、今度は俺にもくれ!」
「はいよ!」
虹心はゆで卵に塩を振りかけ終わると、俺の方へ素直に食塩の瓶を渡す。
これが、昨日までだったら……
『兄ちゃんは普段から塩分を取り過ぎだから、塩はなしで良い!!』
『そのままで食べろ!!』
などの、嫌みを虹心は言う訳だが、虹心の宣言通り、俺への苛めは無く成った!?
俺は虹心から食塩の瓶を受け取り、ゆで卵に塩を振りかけて食べようとすると……
「やっと……お前たち。長かった喧嘩が終わったか!」
「何が原因かは知らないが、仲良くしろよ!!」
兄が、俺と虹心に向けて『やれやれ』の口調で言う。
「お兄ちゃん♪」
「私と兄ちゃんは、喧嘩何か最初からしていないよ♪」
虹心は、猫なで声で兄に言う!?
(いや、虹心!)
(思いっきり、していただろうが!!)
「えっ、あれは喧嘩じゃ無かったの?」
「僕の目には、どう見ても喧嘩にしか見えなかったぞ!!」
当たり前だが、兄も驚きながら言う。
「喧嘩じゃ無いよ。お兄ちゃん♪」
「兄ちゃんが…、余りにも私の言うことを聞かないから、強めの口調と態度で示していただけだよ♪」
虹心はにっこり笑顔で兄に言っている!!
(それを世間では……喧嘩と言うんだぞ。虹心!!)
「まぁ……、仲直りしたのなら良いが…」
兄は、興味無さそうに言う。
自慢では無いが俺と兄の航平は、今まで殴り合いの喧嘩はしたことが無いし、非道い口喧嘩もしたことも無い。
だが、仲が良い訳では無い。普通の関係だ。
この場合は、お互いがお互いに興味が無いと言った方が良いのかな。
兄は俺を小馬鹿にしないしが、代わりに虹心が俺を小馬鹿にする!?
俺も兄に刃向かっても、勝てないことは幼少時の頃から理解しているで、無謀な戦いは挑まない。
そんな兄は俺より遙かに大人で有り、更には可愛らしい彼女も居る。
俺は全くモテないのに、兄はかなりモテたらしい!!
バレンタインデーの日なんかは、漫画世界の様に、チョコの山が出来るぐらい貰っていた!?
きっと俺が全くモテないのは、兄が全部持って行ったんだろう!!
兄の彼女はとても可愛らしい人で有る!!
兄から紹介して貰った時に、その彼女姿を見たが、ロングヘアーが似合う、大人の雰囲気が漂う女性で有った!!
虹心ですら月と“すっぽん”だし、小鞠ちゃんでも兄の彼女の前では厳しいだろう……
その兄の彼女に対抗出来る人は恐らく、葉月学園の中で一番美人と言われる
あの人は本当に、美少女と美人が上手に重ね合っている!!
俺には高嶺の花だ……
「ねぇ、お兄ちゃん♪」
「今度、買い物付き合ってくれない?」
「気に成る物が有るんだよ!」
俺が誰かに兄の説明をしている間に、虹心が兄に向けて、陽気な口調でお願い事をしている。
「僕は別に良いけど……来週に成るぞ!」
兄は渋々の口調で言うが、虹心は陽気な声で返事をする。
「良いよ、良いよ。全然急ぎじゃないし♪」
「じゃあ、お兄ちゃん、よろしくね~~♪」
本当に昔から……兄と虹心の仲は死ぬ程仲が良い!!
俺が思春期を感じ始めた頃には既に……、虹心と兄の関係が出来上がっていた。
俺が小学生の時は一応仲の良い三人兄妹で有ったが、俺が気付かない内に関係が出来ていた!!
兄には既に可愛い彼女が居るのに、虹心は良く兄と買い物に行く。
これは、兄に彼女が出来る以前からで有る。
俺も三人で一緒に行動したかったから、それに良く付いて行ったが、虹心には嫌な顔を良くされた!
虹心も一人や親友同士で行けば良いのに、買い物に限っては兄と本当に良く出掛けている。
その買い物で買ってくる物は衣類や雑貨系が多いが、虹心にとってはデート気分なのかも知れない……
(うっ、しょっぱ~~!!(汗))
ゆで卵に塩をかけすぎてしまった!!
『俺の人生はもっと、しょっぱい!!』と言いたいが、明るい
何時もの団らんが戻って来たのだなと、俺は感じながら晩ご飯を続けた……
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