第20話 妹の思い その1

「頼む! 虹心!!」

「虹心と性行為をしてしまったら近親相姦だし、家族にも隠し通す自信は無い!!」


 俺は虹心に、冗談抜きでお願いをする。

 虹心は美少女の分類かも知れないが、近親相姦だけは絶対に駄目だ!!


「……兄ちゃんはヘタレね!」

「だから……その年に成っても彼女どころか、女の子の親友も出来ないのだよ!」


 虹心は人を小馬鹿にした表情と口調で言う。


「兄ちゃんの一番仲の良い親友って、岡谷君だっけ?」

「前……町中で見かけたけど、本当に根暗な親友だね……」


 俺の一番の親友では無いが、俺の中で波長が最も合った、親友岡谷君。

 少し体型は大きめで鈍くさい雰囲気は有るが、実はそうでも無い!

 本気を出せばスポーツもそれ相応に出来るし、成績も上位を狙えるのに何故かそれをしない。


 俺はそれが気に成って、以前岡谷君を聞いたら『こんな所で人気者に成っても仕方無い!』と言い切った!?

 少し不思議君では有るが、学園で最初に出来た親友でも有るし、今でも関係は勿論有る。虹心にも話した覚えは有った……


「虹心…。人の親友を悪くは言わないでくれ」

「それと、服を着てくれ!!」


 俺は虹心に再度お願いをするが、虹心は愚痴をこぼすように言い始める。


「私さ…。上(高等部)の先輩から言われたんだ!」

「兄ちゃんが、クラスの女子たちをナンパしまくっているって……」


「!!!」


(うそ~!!)

(クラスか学年の女子が、俺の無様な行為を妹に報告していた!?)


「……私はあの時。本当に顔から火が出そうだったよ!!///」

「兄ちゃんがそんなに、異性を求めていたなんて!//////」

「その先輩は『あなたからも注意してね!』と、言って去って行ったけど、私は兄ちゃんには言わなかった…」


 虹心は口を尖らせながら言う。


「虹心に話しが伝わっていた何て、俺は全然知らなかった……」


 俺は心の中でショックを受けていた。

 虹心が俺の妹と言うのは、敢えて学園内では公言していないからだ。


 けど、クラスか学年女子たちは、虹心を探し出して苦情を言いに行った……

 虹心は澄ました表情で話し始める。


「だから……兄ちゃんを元気付けるのと、兄ちゃんの将来性を考えて、私がコーディネートしようと思った時に小鞠ちゃんと再会した……」


(何か……バラバラだったのが、一つに纏まってきたぞ!?)

(俺の無様な話を虹心が聞いて、その時の小鞠ちゃんは『寂しかった…』の繋がりが……)


 俺は虹心が話しを終えるまでは、静かに聞く事にした。

 俺は立ったままで、虹心は下着姿のままだったが、虹心は俺が学園での無様な行為話を聞かされていた事を知って、俺の生殖器は勢いを失ってしまった……


「私は小鞠ちゃんの事情を聞いて、小鞠ちゃんと再び仲良く成った!」

「小鞠ちゃんと再開後の、この家の晩ご飯に招待した時。小鞠ちゃんは兄ちゃんを見て、興味が有る様な素振りを見せた……」


「私は親友の反応に驚いたけど、それにデレデレする兄ちゃんが何故か許せなかった!」

「クラス内でモテないからと言って、私の親友に手を出すのかと……実際は手出したけどね…」


『実際の―――』部分だけは、呆れ返りながら言う虹心。

 まだ、話は続くようで、虹心は澄ました表情で話を続ける。


「妹の中では未完成の兄ちゃんを、小鞠ちゃんに引き渡す訳には行かない!」

「小鞠ちゃんに近付けさせない様に、私は兄ちゃんを妨害したけど却って裏目に成った!」


「……それが、私の気持ち!」

「兄ちゃんがクラスの中で……どれだけ女子に人気が無くても、私は兄ちゃんのことは好きだよ❤」


 虹心は最後、笑顔に成って嬉しそうな口調で言う!!


「!!!」


 ここ最近ずっと……顔を合わせれば、悪口を言うか文句ばかり言う虹心の顔しか見て来なかった……

 虹心が俺にこの様な態度を取っていたのは、俺が小鞠ちゃんとの関係を深くさせない様にする為に、仕方なく行っていたので良いのだろうか?


(しかし、誰が虹心に密告をしたのだ!?)


 俺は虹心に密告した相手を知りたかった。

 文句が有るなら妹に言うのでは無く、俺に言って来いだ!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る