第14話 お茶に呼ばれる その2

「……武蔵さんも、人生苦労されているのですね!///」


 俺は年下の女性にあわれみを掛けられている。

 それも……妹の幼なじみにだ!?


「……私で良かったら、何時でも相談に乗りますので!」

「武蔵さん!///」


「あっ、ありがとうございます…!///」


(なんか……俺の予想していた子と違うな?)

(想像以上にしっかりしている子だから良いけど、虹心の親友には釣り合わない様な気もする…?)


(まぁ…そんなことは良いか!)

(よし! 俺からも小鞠ちゃんのことを聞いてみよう!!)


「小鞠ちゃん!」

「俺からも質問良い?」


「良いですよ♪」


 俺は陽気な口調で小鞠ちゃんに聞くと、小鞠ちゃんは笑顔で返事をしてくれる!

 では、遠慮無しに質問させて貰おう!


「小鞠ちゃんは、虹心の“幼なじみ”で良いのだよね?」


「はい……幼なじみです…!」


 小鞠ちゃんは、少し戸惑った口調で答えた?

 虹心はそう言っていたが、小鞠ちゃんの中では違うのか??


 俺の中では、この“幼なじみ”の基準が良く判らない。

 何処までが親友で何処からが、幼なじみに成るかの基準点が……

 元々……幼なじみと言い出したのは虹心だった。


 虹心が小鞠ちゃんとの再開後、三國家の晩ご飯に小鞠ちゃんを招待した時。

 虹心の口から『私の幼なじみの、津和野小鞠ちゃんです!』と、嬉しそうに紹介していた記憶が有る。

 その時の小鞠ちゃんは、顔を真っ赤にして恥ずかしそうにうつむいていた。


「小鞠ちゃん…」

「虹心の口からは、幼なじみと言うけど……どれ位の関係なの?」

「俺は昔の小鞠ちゃんを、知って居るようで知らないから…」


 俺は質問をするように小鞠ちゃんに聞くと、小鞠ちゃんは寂しい表情をさせながら話し始める。


「私と虹心ちゃんの関係は小学生からですが……一時、疎遠に成っていた時期も有りました!」


「……そうだよね」

「低学年の頃は、良く家に遊びに来ていた感じがしたけど、ある日から“ぱったり”と来なくなったもんね…」


「はい……」


 小鞠ちゃんは元気が無い返事をしてから、落ち込んだ表情で話を続ける。


「高学年の時に……虹心ちゃんとはクラスが離れてしまいました」

「その時期から、お互いの好みにも変化が起き始めて、少しずつ距離が離れていきました」


「今、住んでいるこの家も、元々この場所では無かったのです!」

「当時は賃貸マンションに住んでいました!」


「あ~~、言われればそうだよね…」

「小学校の班が此処だと、虹心と近隣の班には成れないよね!」


「はい……そうです」

「ここに住む様に成ったのは、学園に入学する直前です」


 小鞠ちゃんの表情は相変わらず、落ち込んだ表情のままだ。


「武蔵さんの見ての通り…。私とお母さんで暮らすには少し大きい家です」

「私のお父さんは、私が小さい時に交通事故で亡くなってしまいました///」


「交通事故の後でも、お母さんは企業の事務員を続けていました」

「企業の方も、お母さんに色々と優遇してくれたらしく、お父さんが亡くなった後でも、私とお母さんの生活に変化は有りませんでした」


「でも……約一年位前…」

「不景気の影響でお母さんは、その企業からリストラされて、今の企業に転職しました」


(聞きたくない話をするな…。小鞠ちゃんは)

(これではデートで無くて、人生相談だよ…///)


「お母さんが今の企業に転職してからは、生活が一気に変わってしまいました!」

「夜勤と言う、夜中でも働く仕事が有って、更に休暇も一般的な休暇では無く成ってしまいました」


(夜勤も有る仕事か……母さんは看護師だが、小鞠ちゃんの場合は介護関係か?)


「私は急激な生活変化で、一気に心が寂しく成ってしまいましたが、それでも我慢しました!」

「私はもう大人だと、私自身に言い聞かせました!!」


「……」


 俺は小鞠ちゃんことを深く知るべきでは無かったと、後悔しながら聞いていた……

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