第12話 津和野家のガーデニング

『ピンポーン♪』


 俺はインターホーンを押すと、直ぐにインターホーンのスピーカーから声が聞こえてくる。


『あっ、武蔵さん!』

『お待ちしておりました!!』

『今、玄関の扉を開けますね♪』


 俺はまだ声を出してないのに、小鞠ちゃんが何故、俺を認識したのだと不思議に感じて居ると……


(あっ……このインターホーンカメラ付きなんだ!!)

(だから、家の中でも相手が判るんだ!!)


 俺の家にも、インターホーンは付いているが音声のみだ。

 小鞠ちゃんの家は、まだ築年数も少なそうだしハイテク機器が付いていた!?

 しばらく外で待っていると玄関の扉が開く。


『ガチャ♪』


 ワンピース風の服を着た小鞠ちゃんが、俺を出迎えてくれる。

 私服姿の小鞠ちゃんもまた、可愛い//////


「こんにちは、武蔵さん!」


「こんにちは、小鞠ちゃん!」


「じゃあ早速、私の庭を紹介しますね♪」


 お互いの挨拶を終えると、小鞠ちゃんは和やかな表情で外に出て来る。

 小鞠ちゃんは庭に向かい始めるので、俺も小鞠ちゃんの後を付いて行く。


「おぉ……結構、色々な種類の花が有るね!」


 小鞠ちゃんの庭にはプランターが幾つも有って、そのプランターには季節の花がたくさん咲いている。

 俺は見るのが専門で有るから、定番草花以外の名称はさっぱりで有る。(汗)


「武蔵さん。この花は―――と、言いまして――」


 小鞠ちゃんは律儀にプランターに指をさして、微笑みながら花の紹介をしてくれる。

 咲いている花にも負けないぐらい、小鞠ちゃんの優しい微笑みで有る。


 俺は紹介されながら花を見ていくが……大体の物は、ホームセンター等で売られている苗を、プランターに植え替えした物ばかりで有る。

 それでもなえを生長させて、花を複数付けるのは簡単ではない。


(庭木も少し有って見た感じ、裕福そうな生活にも見えるけどな……)


 ……


 一通りの説明と見学が終わった後、俺は小鞠ちゃんに質問をする。


「みんな綺麗な花ばかりで良いね♪」

「綺麗な花も良いけど、小鞠ちゃんは野菜とかは作らないの…?」


「えっ!?」

「野菜!!」


 何故か、驚いた表情をする小鞠ちゃん。

 質問を間違えたか!!

 俺は弁解をするように言い始める。


「いや……花はたしかに綺麗だけど、プランターだったら春に苺とかが、栽培出来るよなと思って……」


「……そうですね///」

「野菜も興味が有るのですが……害虫とかを考えると乗り気ではないです…(汗)」


 小鞠ちゃんは、半分泣き顔に近い表情で言う。

 虫類が苦手なんだろう……


「あっ、そうだよね。苺もナメクジとかが来るもんね!//////」

「変な質問してごめんね。小鞠ちゃん…(汗)」


 俺は失言したことを小鞠ちゃんに謝る。

 これだけ花を上手に咲かす事が出来れば、野菜の栽培も出来ると、安易に考えてしまったからだ。


「あっ、でも……武蔵さん!」

「家の中では豆苗とうみょうの再生はしていますよ!!」

「二回目までは収穫出来るのでお得です!!」


 小鞠ちゃんは俺に気を遣ってくれたのか、穏やかな表情で豆苗の話をいきなり始める!

 ……この心遣いも、虹心とは大違いだ!!


(…本当に、虹心と妹交換をしたい!)

(小鞠ちゃんが妹なら俺の鼻も高いし、家の雰囲気も絶対に変わる!)


「武蔵さん……部屋にお茶の用意がしてあります」

「折角いらしてくれたのですから、お茶を召し上がってください!!」


 小鞠ちゃんは、俺をお茶に誘ってくれる。

 俺にとっては凄く嬉しいが、少し用心した方が良いぞ……

 でも、それだけ俺は信用されている証拠か。虹心の兄だし!


「では……折角なので、お茶をいただくよ!」

「小鞠ちゃん!!」


 庭の見学後、俺は小鞠ちゃん家の室内で、お茶をご馳走される事に成った!

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