第11話 冷や水 その2

 母親の勤務関係で、虹心が中心で有るが、掃除を自発的に行うように成った。

 俺も家族の一員で有る以上、手伝わないと行けなく成ってしまった。


 子ども部屋・両親の寝室等は各個人だが、それ以外の清掃は虹心が中心に清掃している。

 俺の担当はトイレ掃除で有るが、週一度しか清掃はしていない。


「それに……虹心。風呂掃除も偶に手伝っているだろ」


 俺が良い訳じみたことを言うと、虹心は非常にきつい口調で言ってくる。


「あのね!」

「兄ちゃんに風呂掃除させると、掃除仕切れてない所が多いんだよ!」

「結局、仕上げは私がやっているんだよ!!」


 虹心は怒りMAX状態だ……。何で其処まで妹に言われないといけない!?

 何だか無性に腹が立ってきた。以前の虹心は其処までキツく当らなかったのに……


(今は俺と虹心しか居ないし、余りにも兄を舐めすぎている!)

(こっちが大人しくしていれば、下手したてに出やがって!!)


 俺は虹心の頬を叩くか、それとも二人を良いことを幸いにして、虹心に性的悪戯でもしようかと考えてしまう……


 虹心はまだ中等部だが、出る所は出ている……これから花を見に行くのだし、どうせならまだつぼみで有るはずの、虹心の蕾でも見てやるか!?

 だが、実際にやったら……虹心は大人しく成るか、両親から家を叩き出されるかのどちらかだが………


「ふふっ……」


「にっ、兄ちゃん……急に薄ら笑いしだしてどうしたのよ…(汗)」

「きっ、気持ち悪い……もっ、もう、良いよ…!!///」


 俺の思っていたヤバい妄想が顔に出てしまったのか…、虹心は言葉を吐き捨てるように言い、フローリング掃除を始めた……

 虹心は危険察知能力も優秀なようだ。


「…じゃあ、行ってくるよ」

「虹心!」


「道の途中で兄ちゃんだけ、上○国民の車に突っ込まれろ!」


 虹心は俺に捨て台詞を吐くが、俺はそれをサラリと受け流す。


「もう、あんな事は起きないと思うよ!」

「虹心…。あんまり無理をするなよ!」


 俺は爽やかな笑顔で言う。

 俺だって、何時までも子供じみた真似はしない。


「ふん!!!」


 虹心は『ツン』の態度で憂さ晴らしをするように、強めにフローリングを磨いている!?

 余りそんなに力強くやると……余計なことは言わないでおこう。


 折角、これから楽しい出来事が待っているのに、虹心に思いっきり冷や水をぶっかけられた!!

 虹心の親友も……小鞠ちゃん以外は口には出てこない。

 虹心も無理をしているのは俺も知っているのだが、あの様な態度を取る、虹心を手助けしたい気持ちは少なかった……


「うん……気持ちを切り替えていこう!!」


 虹心より、今は小鞠ちゃんのことを思う事にして、俺は小鞠ちゃんの家に向かった。


 ……


 小鞠ちゃんの家は、俺の家から徒歩15分位の所に有る距離だ。

 家の住所は前日、小鞠ちゃんから地図画像を送って貰えた。

 小鞠ちゃんお手製の地図で有った。


(この真面目さが小鞠ちゃんだな!)

(虹心も真面目な性格だが、こう言った“仕事”が出来る子では無い)


 虹心から場所を聞く事なんて殆ど無いが、以前聞いた時、虹心は場所を口頭で言って『判りにくい』と俺が言ったら『じゃあ、聞くな!!』と言われた始末で有る。

 昔から……口は達者な妹で有る。


 今日は天気も良く、さほど暑くないので、散歩気分で小鞠ちゃんの家に向かう。

 同じ地域に住んでいるのに、普段使う道が一本変わるだけで、普段見えない世界が現れるから不思議な物だ。

 小鞠ちゃんから送って貰った地図を、スマートフォン画面に表示させながら、小鞠ちゃんの家に向かって行く。


(ここが、小鞠ちゃんの家か……)


 小鞠ちゃんの家は少し“こぢんまり”としているが、今風の住宅で有った。

 小さいながらも庭が有る。


 庭には小鞠ちゃんの姿は見えないので、多分家の中だろう。

 俺はそう感じながら、玄関に有るインターホーンを鳴らした。

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