第10話 冷や水 その1

『凄い(゚∀゚)』

『小鞠ちゃん。ガーデニングが趣味なんだ!!』

『ぜひ今度、そのガーデニング見せて!!』


 俺は軽い気持ちで、その様なメッセージを送ったのだが……


『そんな、ガーデニングと言うほどでは無いですよ//////』


『はい♪』

『良いですよ、武蔵さん!!』

『是非、見に来て下さい!!』


 何と初めてのRail交流なのに、一気に小鞠ちゃんの家に遊びに行ける展開まで進んでしまった!!

 俺はこれでも、植物や花を見るのは好きで有る。

 虹心は『おじさんクサい』と言ったが、親友がガーデニングをやる分には良いのか?


『じゃあ、小鞠ちゃん!』

『今週の週末にでも早速見せてよ♪』

『小鞠ちゃんののガーデニングを✿』


『週末ですか?』

『はい! 大丈夫ですよ。武蔵さん♪』


 その後は雑談をして、小鞠ちゃんとの初Railを終える……

 今までの、落ちこぼれ人生は何だったのか!?

 中断していたパズルゲームは……勿体ないが終了して、俺は浮き浮き気分でベッドに転がる。


(俺にも一気に春がやって来た~~!)

(小鞠ちゃんの家に行って、いきなりラブラブモードは無理だろうけど、せめてキスとか出来ると良いよな~~❤)


(本音は……同学年か少し年上が良いけど、贅沢は言っていられない!)


 小鞠ちゃんは俺のストライクゾーンだが、それは妹にしたい基準で有る。

 俺の本当のど真ん中は、やっぱり同級生だろう!!


 下級生や後輩も悪くないが、俺の家には凄く口が悪い下級生にこが居る。

 だからこそ俺は、同級生若しくは先輩を思うが、俺の力量では無理だった……


(あまり贅沢言うと神様に見放されそうだから、この辺で止めておこう…)


 俺は小鞠ちゃんの家に行ける週末を楽しみにして、その日は眠りに就くことにした。


 ☆


 その週の週末……


 今日は小鞠ちゃんの、ガーデニングを見に行く日で有る。

 虹心には悟られないように『親友の家へ遊びに行ってくる!』と言って有る。

 そんなの虹心にバレたら、絶対大事に成るからな!!


 午前中から小鞠ちゃんの家にお邪魔して、夕方まで居られれば最高かな!!

 週末だが母・兄共に出勤日で有り、俺が出掛けると家に残るのは虹心だけで有る。

 俺は虹心に声を掛けて、出掛けようとすると……


「はぁ……兄ちゃんは、気楽で良いわね!」

「私は……やる事がたくさん有るのに!!」


 俺が出掛ける直前に虹心は、愚痴では無く低音口調で嫌みを言う。

 虹心の手にはフローリングを拭く、掃除道具を持っている。

 今から、フローリング掃除をする所だったのだろうか。


「虹心はそう言うが……それは、虹心が自発的にやっているだけだろ?」

「本来は母さんの仕事なんだから…」


 俺は反論するつもりでは無いが、もっともらしい事を言うと虹心は表情を険しくさせて、怒りを含ませながら言い始めた!?


「兄ちゃん!」

「私たちは家族なんだよ!!」


「お父さん達はお仕事に行っている!」

「私たちはお父さん達のお陰で、この生活が出来ているんだよ!!」

「それにお兄ちゃんだって、本来は入れなくても良い生活費を入れてくれているんだよ!!」


「それを知っての上で言っているの、兄ちゃん!!」


 何時もながら、ド正論を言ってくれる虹心。

 野球で言えば、時速160km/h以上の剛速球だ……

 虹心の言っている事は間違ってはない。


「だから……俺も、手伝っているでは無いか///」


 俺は渋々口調で言うが、これが虹心の怒りに油を注いでしまう!!

 虹心はさっきより更に、厳しい口調で言い始めた!!


「あのね、兄ちゃん!」

「週一回のトイレ掃除を、手伝っているとは言えないよ!!」


「トイレは毎日、みんなが使うんだよ!!」

「そう言った言葉は、毎日トイレ掃除をしている人が使う言葉だよ!!」

「そんなので『手伝う』何ての、言葉を使わないで!!!」


「くっ……」


(小生意気な妹が……)


 出掛ける直前に、俺は虹心を完全に怒らせてしまう……

 まだ、約束までの時間には余裕が有るが、これをどうやって治めようか……

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