第8話 小鞠からのお願い

(あ~~、さっきの事だな!)

(虹心は、小鞠ちゃんの恋心を潰そうとしていたな……)

(でも……それを聞いたお陰で、俺は小鞠ちゃんを関係を深める決意をした!!)


「小鞠ちゃん!」

「そんなお願いなら、余裕で大丈夫だよ!!」

「最近…、俺と虹心の関係は“ぎくしゃく”していてね。出来れば妹交換がしたい位だよ!!」


「!」

「//////」


 俺が陽気な口調で言うと、小鞠ちゃんは更に頬が赤くなった!?

 もしかして……本当に、俺への好意を持っている!?


(嘘でしょ……)

(これが事実なら『灯台もと暗し』そのまんまだよ!?)


「…それでしたら、大丈夫ですね!///」

「じゃあ、武蔵さん。早速交換しましょう!!」


 小鞠ちゃんは困った笑顔の表情で、俺との連絡先交換に応じてくれた!


「ありがとう! 小鞠ちゃん!!」


 小鞠ちゃんと、お互いの連絡を交換し合う。

 電話番号・Rail(SNS) のID、最近は形だけのメールアドレス。

 夕方の住宅街で、気に成る女性と連絡先を交換し合う!!

 これで俺も、遂にリア充の仲間入りだ!?


「じゃあ……今晩から早速、Railが中心に成ると思うけど連絡するね!」

「小鞠ちゃん!!」


「はっ、はい!///」

「楽しみにしています。武蔵さん///」


 頬を染めながら、嬉しそうに言う小鞠ちゃん。

 関係が築けて本当に良かった!

 これで作戦成功と言いたいが、俺には気掛かりが残ってしまった。


(もし…、虹心がこれを知ったら、どうするのだろうか?)

(虹心の性格上、この関係を素直には絶対祝福しないだろうな…!)


 小鞠ちゃんと俺の関係が恋人関係に発展したら、虹心は複雑な心境に成るで済まないだろう。

 なんせ、妹の幼なじみが兄の恋人に成るからだ!

 けど、お互いが秘密にするから、直ぐには明るみに出ないはずだ。


「…では、武蔵さん。失礼します!」


「うん。バイバイ、小鞠ちゃん!」


 小鞠ちゃんは礼儀正しい挨拶をして、手を振りながら遠ざかって行く。

 俺も小鞠ちゃんに、陽気な声で別れの挨拶をする。

 小鞠ちゃん自身も喜んでいる見たいだ。


(盗み聞きした甲斐が有ったな…!)

(人としての問題は……さておいて置いて、結果オーライだ!!)


「♪~~」


 俺は軽い足取りで自宅に戻った。

 作戦は見事に大成功を収めた!!


 ……


 俺は自宅に戻ると、母親は台所で晩ご飯を調理中だ。

 虹心はその手伝いをしている。

 虹心と母親との関係は、俺と比べて遙かに良好で有る。


 玄関の靴を脱ぐ場所に、兄の靴が無かったので今晩は残業かも知れない。

 俺は台所に居る二人に、帰宅の挨拶を掛ける。


「ただいま!」


「おかえり。武蔵」


「……お帰り」

「兄ちゃんさぁ……コンビニに行っていた割には、ずいぶんと遠いコンビニ行っていたんだね!」


 母親は挨拶を返すだけだったが、虹心は挨拶と嫌み口調を付け加えてきた。

 余計なこと言うなよ。虹心……


「…欲しい限定のカップ麺が無くてね。コンビニの“はしご”をしていた」


 俺は作り笑いをしながら、コンビニのレジ袋を虹心に見せる。


「……また、体に悪い食べ物をそんなに買って!」

「でも……兄ちゃんだから良いか…」


 虹心は俺に向けて愚痴を言うが、最後の言葉はどういった意味だ!?

 でも、虹心の言葉に反論しても、今の関係では水掛け論に成るだけだ。

 俺は虹心の言葉を”グッ”とこらえた……

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