第4話 盗み聞き!?

 俺は壁に耳を当てて、会話を聞き取ろうとする……


(上手く聞き取れるかな…?)

(おぉ!!)


『虹心ちゃん…///』

『武蔵さんにあのような事は、言わなくても良かったのに…///』


『えっ!? 小鞠ちゃん!!!』

『あいつ……小鞠ちゃんに気が有るから、ワザと声を掛けてきたんだよ!』


『えっ!?』

『そうなんですか!!//////』


 小鞠ちゃんの声が壁越しからでも、はっきりと聞こえてしまう!

 虹心の声は言うまでも無い。

 壁に耳を当てなくても、有る程度は聞き取れてしまう。


『小鞠ちゃん……気付いて無かったの?』

『小鞠ちゃんが再び遊びに来るように成ってから、あいつは好意を持ち始めていたんだよ!!』


『あ~~~私、武蔵さんに好かれていたのですか!///』

『何か、少し嬉しい!!』


『ちょっ……何、顔赤く成っているのよ!!』

『それに、嬉しい!!!』

『……小鞠ちゃん。兄ちゃんにもしかして興味が有るの!?』


(虹心の奴…。かなり驚いた声を上げているな!)

(それもそうか…。親友とは言え幼なじみが、自分の所の兄を好きに成るのだからな…)


『……はい。少しですが///』


『……何となくだけど、私は気付いていたんだよね!』

『小鞠ちゃんが、兄ちゃんが好きな事……』


(!!!)


 壁に耳を当てながら、俺はびっくりしてしまう!!

 俺は小鞠ちゃんに好かれていた!?

 同学年の子には全く相手にされないが、妹の親友には好意を持たれていた!?


『小鞠ちゃん!!』

『私から言うのも何だけど、兄ちゃんは止めといた方が良いよ!!』

『小鞠ちゃんが不幸に成るだけよ!!』


(かなり強めの口調で言ってるな。虹心の奴…)


(たっく、余計なことを言うなよ虹心!!)

(小鞠ちゃんの熱が、冷めてしまうだろうが!!!)


『…虹心ちゃん。そうかな…?』

『武蔵さん。とても優しい人に見えますけど///』


『あいつはね……優しいしか取り柄が無いのよ!』

『成績も優秀では無いし、スポーツも万能では無い!』

『それに特技も特に無い。優しいだけなのよ。兄ちゃんは……』


『そっかぁ~!』

『良い人かなと、感じたけど……』

『虹心ちゃんがそこまで言うなら、考え直そうかな……』


 虹心が余計な事を言った所為で、本当に俺への興味を失いかけた小鞠ちゃん!?


『そうした方が良いよ! 小鞠ちゃん!!』

『あいつには小鞠ちゃんを、幸せなんかに絶対出来ないから!!』


(滅茶苦茶言ってくれるな。虹心のやろう……)

(本当だったら乱入したいが、それだと盗み聞きがバレてしまう!)


『あっ……虹心ちゃん。おトイレ借りるね!』


『うん。良いよ!!』


「!」


(やばい。小鞠ちゃんがリビングから出て来る。早く逃げないと!!)

(けど、此処からだとトイレしか逃げ場が無い。まぁ良い!!)


 俺は急いで壁から耳を離して、トイレに逃げ込む。

 カモフラージュをするため、本当に”用”を足して偶然を装う。


『ジャ~~~♪』


 俺がトイレから出ると偶然では無いが、ほぼ小鞠ちゃんと鉢合わせる!

 そして小鞠ちゃんは俺を見て、何故かびっくりする。


「!!!」

「あっ、失礼しました///」


 小鞠ちゃんは頬を赤く染めながら、恥ずかしそうに言う!?

 先ほどの会話で小鞠ちゃんは、俺を意識しているのだろうか??

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