2. REMORSE

 俺には、ひとつ後悔していることがある…。

「次で、最後の曲です…」

 悲しい歌だからと激しめに作った曲を今日は素直に大人しく弾き始めた…。

「REMORSE…」

 確かに、アップテンポにしたことも後悔しているのだが。それとは違い…。

 昔むかし、まだ俺が制服を着ていた未成年だった頃、REMORSEを作った頃のお話。

 この詞は想い人に寄せて書いたもので、その彼とは今、音信不通…。告白したワケではなく、ただ疎遠になってしまった…。言っておけばよかったな…。好きだって…。そういう後悔をいつも歌に乗せて届けている…。その想い人に…。


「もっと もっと この手を伸ばして

あなたのこと 離さない


淡く 深く 思い描いていたこと

現実には不可能で

深く 深く 閉じ込めた 心に

あなたを呼びかける


もっと もっと この手を伸ばして

あなたのこと 離さなければ

ふたりの未来 永遠に…。 」


 最後のフレーズを歌い切ると、いつも涙が出てしまう…。

「ありがとうございました…」

それが評判になったのか知らんが、ポツポツとこの歌目当てのお客が増えた…。

「ひ…」

 一瞬、息を飲んでしまった…。

「引き続き、当店でごゆるりとお楽しみください…」

 やっぱり、カケルって…。そうだったんだ…。

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