4. お風呂は今日も。

 さて、沈黙が続く…。

 いつも通り、一緒に入浴しているものの面と向かって何か話したいことがあっても、言えない…。

 二人が考えることは、一緒。

 あのヒトの顔が浮かんで、もやもやとした感情に。

「ねぇ。瑞希みずき…。あのね…」

「ん…?」

 ひなが話し始めた。目線はお風呂に浮いているおもちゃのアヒル。アヒルを目で追っているのは瑞希もだった…。

中木なかきくんと何もなかったんだよね?」

「うん。ないよ」

 波を立てて、アヒルをユラユラさせて瑞希が答えた。瑞希はもうひなの顔に近付いていた。キスが出来るくらいの至近距離。

「ひなは?」

「ん?」

 もう瑞希の顔を見るしか出来ないひなは最後の抵抗に、下を向いた。

「中木と何もなかったのか?」

「うん。ないよ」

 同時に安堵した二人は、顔を合わせる。

「ひな、好きだよ…」

「え…?」

 そして、瑞希はひなの体をギュッと優しく抱きしめた。

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