2. 友達との距離感、これくらい?

「こんにちは」

「今日は友達連れて来るって言ったじゃん」

「ん…?」

 こちらはソファーでまったりパンイチで寛いでいたら、友達とともに現れた妹よ。聞いてないんだが。

「こんにちは」

「どうも…」

 起きる気はない俺に対して、微笑んで挨拶するヒトに見覚えはあった。

瑞希みずきって、いつもそう…なの?」

「そうだよ…」

 何か問題でも??と、開き直ったら、ひなが近付いて来たので、不意に抱きしめてしまった…。

 何でだろう…。そこにひながいたから…?

「瑞希、離してっ」

「嫌だ…」

 何か嫌だ…。もっとギュッと抱きしめた。

「イチャイチャしてるところすみませんが、ひなちゃんと遊ぶのは俺なので」

「はぁ?」

「遊びに来たなら、帰って?」

 帰ってと言ったのは、ひな。

「ひなちゃん、酷くない…?」

「勉強教えてって言ってたじゃん」

 ひなのその素直さは好きなんだけど、時に危うい…。相手は男だぞ。

「それで連れて来たの?」

 俺がいるのわかってて連れて来てるのだろうか…。我が妹よ。

「まさか瑞希がいるとは誤算だったわ」

「いるに決まってんだろ」

 俺の家でもあるからな。

 今日に限っては居てよかった。

 安堵しながら、ひなとの距離を縮めた。

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