Luv U

1. お風呂は今でも。

 距離感、近くない?と同級生に突っ込まれたけど、兄妹ならこんな感じなんじゃない?

「ひな、どうしたの?」

「ううん…何でもない…」

 向き合ってお風呂に入れるくらい広いから、一緒に入ってるだけで多分、一人でいっぱいなら入ってない。だって…。

「眉間の皺、凄いよ」

「これはいつものことっ」

 考えると眉間に皺が寄るのは、いつものこと。

 でも、家族でこんな眉間に皺…、俗に言うヒステリー皺のヒトいないんだよなぁ…。

「ひなは可愛いんだから」

「触んじゃねぇ」

 眉間の皺を触ろうとするので、瑞希みずきの手を弾いた。いい音が響く。

「そういう強気なところが…」

「が?」

 何だい?

 微笑んで、無駄にキラキラオーラ全開の瑞希は私がどんな思いで気持ちを落ち着かせているのか気付いてないだろう…。いや、気付かないで。

「そういう強気なひなも好きだけど、頼ってくる時の甘えたひなも好きだよ」

「甘えてないもんっ」

 ムッとして、風呂から上がろうとしたら阻止された。

「ごめん」

「……私も悪かったよ、ごめん…」

 瑞希を悲しませるつもりはなかったのに…。ごめん…。

「そういう顔は俺にしか見せないでね」

「どういう顔よ」

「こういう顔」

 そう言って、私の頬を指でツンツンして、楽しんでる瑞希にイラっとした。

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