33. 冒険者、ギルド、クエスト
教育や適性を必須とする魔法使いは、主に貴族を中心に少数のものだけがなれることが多い。
そうなると多くの冒険者は剣使い、槍使い、弓使いのどれかになる。
剣、槍、弓の順に教育コストが高くなる傾向にあると思う。
だから冒険者の大多数は剣使いである。
剣で近接戦闘をすれば、怪我も多いのではないだろうか。
回復魔法が普及していない場合はポーションの存在が必要になってくる。
現実世界のように、包帯を巻いて軟膏を塗るぐらいしかすることがないと、ちっとも回復せず、冒険者のリスクが高すぎるだろう。
もちろん回復魔法があれば、あった方が良い。
部位欠損や古傷などは簡単に治らない設定の世界が多い。そのため大きな怪我をして冒険者を引退する人たちがたくさんいる世界もある。
中年になったり結婚したりすると引退する人がでてくる。再就職先は商人だったり職人だったり様々だが、ギルド職員になる人もいる。A級やS級冒険者はギルドマスターに任命される。
小さな子供や超初心者のうちは、パーティーについていくただの荷物持ちとして連れて行かれる。
本格的な冒険者をするには武器や防具が必要なので、それなりに準備金が必要だ。
ギルドの登録料が必要だったり、依頼も先に違約金を払っておく必要があったりする。
職業あっせん所などがない場合、モンスター退治以外の雑多な町中での依頼も冒険者ギルド経由で受けることになるだろう。
そのためフリーターや日雇いバイトや何でも屋のような人も、冒険者として登録することになる。
同じ村出身の幼馴染仲間がパーティーを組んで冒険者を始めることがかなりある。野良パーティーを経て、一緒になるようなパーティーは年齢などが離れていたりする。
冒険者になるような子は、孤児院の子や次男坊以降の家督を継げない人が多い。騎士や魔法使いの戦闘系の家系では例外的に長男でも冒険者になることがある。
家の継承権を継ぐ立場の人が冒険者をするのは、趣味だったり娯楽だったりしてちょっと変わった人である。冒険者は死亡リスクがあるので、あまり親がいい顔をしないだろう。
熟練者に弟子入りして冒険者をする場合は、師匠と年を離れたパーティーを組む。
冒険者はよく宿屋暮らしをしている。これは流れ者など低所得者でそもそも家が買えないだろう。特に村から出てきたばかりの若者とかがそうだ。
それ以外にも、護衛依頼や大きな依頼などで別の町にしょっちゅう移動すると、定住しているよりは宿屋を転々としたほうが安上がりになるという理由もあるだろう。
宿屋暮らしの冒険者が一般的な世界観であるなら宿屋の数もそれなりにあると思われる。
もちろん特定の町を拠点に家を買うなり借りて定住しているという人もいるだろう。
◆冒険者ギルド
冒険者ギルドでは、登録制と登録はなしの依頼のみのどちらかだ。
登録制の場合、ランク制度が大抵ある。依頼を一定数・一定ポイントためるとランクを上げられる。また実技のランクアップの試験・ランクアップ用の依頼というものが設定されていることもある。
ランクはFぐらいからAそしてS、たまにLのランク分けされている。
Sは特別のスペシャル、Lは伝説のレジェンドの略だと思われる。
トレーディングカード系ではLの代わりに、SSランク、SSSランクと書かれることもある。
登録するのには特に資格は要求されないことが多い。国籍・住所不定の主人公も登録できるので、地元に住んでいなくても登録可能だったりする。
登録可能年齢について書かれた小説はあまり見ないが、成人前でも登録可能なようだ。15歳ぐらいが成人または一人前扱いの年齢で、その年から登録可能という話も見かける。
冒険者ギルドは国単位や国際的な組織で、かなり大きな存在である。
今でいう所の銀行や郵便局なみの存在だろう。それでも小さな村にはギルド自体がないことが多い。
受付のお姉さんは美少女で特殊スキル持ちがテンプレだが、そういう人を避けておじさんやおばちゃんの窓口に並ぶ作品もかなり見かける。
そして主人公一行は、ギルドに出入りする柄の悪い冒険者に難癖を言われるのが定番である。
冒険者ギルドは、その世界の歴史というよりもメタ的な成立過程により、当初「冒険者の酒場」いわゆるドラクエの「ルイーダの酒場」で依頼の情報のやり取りをしていたことが発端であり「依頼ボードの設置」「酒場のマスターによる介入・仲介」などにより成立した。
そのため、伝統的に酒場が併設されている。またギルド長をマスターと呼ぶこともそれが起源だと思われる。
冒険者ギルドには「剣と盾」または「剣と杖」の意匠が多い。
入口はなぜか西部劇のような「スイングドア」が標準的だ。
複数の受付カウンター。場合により、依頼受付、完了報告、素材買取納品、依頼の出稿などに分かれている。
側面の壁には「掲示板」の「依頼板/クエストボード」と「依頼票/クエストカード」または通称「依頼の紙」。
酒場では酒類以外に、ソフトドリンク、料理、ポーションなども販売している。
またよく二階や奥に「図書室」的な「資料室」が併設されている。
場合によっては、売店、アイテム販売所、宿泊設備、保健室的な部屋などもある。
会議室や、二階ないし最上階などに「ギルド長室」がある。
裏側には「解体場」「納品所」「倉庫」が設置されている。
同じく裏側に「訓練所」「実技試験場」などがあることも多い。
なお「解体場」を屠殺、屠殺場と書かれていることがありますが、現代では差別用語とみなされているため、この用語そのものを使用せず、解体、解体場と書くのを推奨します。
ギルドのトップ、「ギルド長」を「ギルドマスター」、「ギルマス」、「GM[ジーエム]」と呼ぶ。
「副ギルド長」を「サブマスター」、「サブマス」と呼ぶ。
ギルド員、ギルド会員、構成員を「ギルドメンバー」、「ギルメン」、GMと呼ぶ。
受付嬢、受付事務員、指導官、試験官、解体職員などを「ギルド職員」と呼ぶ。
◆ギルドカード
身分証明書およびランクなどが記載されている。大抵は失くさないように言われ、再発行には手数料が掛かる。
カードには、魔法か何かでランク付けに必要な依頼のポイントや討伐数みたいなものが記録されている。
カード自体に記録されているのか、魔法的データベースがあるのかは良く分からない。
クレジットカードのように冒険者ランクにより、ブロンズ、シルバー、ゴールド、ブラックのように色が異なる設定もよく見られる。
登録時にすでに登録済みかチェックされないなら、複数枚の偽名を使い分ける主人公というのもあっていいだろう。
カードが本人の物かは血を利用した魔法的なもので、個人を認証できることが多い。
そのためギルドの登録時に血を一滴取られる描写を見かける。
◆依頼、クエスト
冒険者ギルドにおける依頼・クエストは多岐にわたる。
依頼は国王、領主、町人、ギルドなどからの依頼を受けて、冒険者ギルドが仲介することになる。依頼主はギルドへの仲介手数料と冒険者への報酬を払う。
冒険者ギルドは手数料と素材の買い取りと生産者への販売で利益を得たり、ギルドで武器アイテムおよび食事・宿泊などの商売をしている。
冒険者的な依頼の内一番楽なのは、町の近くに生えている薬草採取やウサギ狩りあとは街中での依頼だ。
冒険者ギルドに登録した場合、依頼を一定期間に一定数こなす必要がある場合がある。
●依頼票
依頼票には「依頼番号」、報酬額、クエストランク、期限、納品物、条件などが記載されている。
冒険者ランクより上のクエストランクは受けられないか非推奨という扱いになる。
逆に自分の冒険者ランクよりそれなりに低いランクの依頼も非推奨になる。
ソロでは通常依頼を受けず、パーティー推奨やレイド推奨の依頼もある。
壁の依頼板から依頼を剥がして受付カウンターへ持っていくのが定番描写となっている。常時依頼も剥がしているのをときおり見かけるが、どうなるのかはよく分からない。
基本、早い者勝ちだが、依頼の取り合いで口論になることも割合見かける。
●採取依頼、採集依頼、納品依頼
採取には薬草やキノコ、鉱石などがある。納品は生産品やモンスター素材など。納品系依頼は町に住む生産者が依頼主であることが多い。
これらの依頼は事前に受ける必要はなく、現物を受付に持ち込むときに、依頼を受けて即完了させることが可能だ。
ただし、出発前に依頼を受けない場合は、他の人が先に依頼を完了させると、素材を持ってきても依頼がすでに締め切られていることがある。
生産系の納品依頼は、冒険者というより生産ギルドや商業ギルドの場合もあり、そちらへ生産したアイテムを納品する。
●狩猟依頼
モンスターの肉や皮を数多く納品する依頼は狩猟依頼という風に呼ばれることもある。また雑魚系の魔物は狩猟依頼、ボス系を討伐依頼と呼び分けるようなこともある。
狩って素材を納品するのが狩猟、倒すのが目的なのが討伐という場合もあるだろう。
●討伐依頼
討伐依頼は害獣駆除と大体同じだ。ゴブリン討伐やコボルトさらにはドラゴンなどである。
雑魚系モンスターの討伐依頼は常時依頼がでたままになっていて、上限なしかある程度の上限で討伐数に応じて報酬を得ることができる。依頼主は領主や町、冒険者ギルドなどが公共事業として行うことになる。
依頼達成は討伐証明部位というモンスターの一部を持ち帰ることで完了になることが多いが、謎の魔法で討伐数がわかったり、町人などが討伐されたかを確認・報告するだけで達成になることもあるようだ。
証明部位はゴブリンは右か左どちらか決まっている片耳というのがテンプレだ。
●護衛依頼
町と町を移動する商隊の護衛を商人に依頼される。対象はモンスターの襲撃のみならず盗賊などから馬車を守ることだ。
報酬は後払いのことが多く、到着次第商人に依頼完了のサインをもらい、冒険者ギルドに行くとポイントが貰える。
報酬に食事つきなどの特典がついていることもある。
護衛依頼の場合、野宿するときに夜間の見張りをするのも護衛任務の内に入っている。
●探索依頼
新たに発見されたダンジョン・遺跡を探索するか、土地の様子を見に行く依頼だ。依頼主は冒険者ギルドや領主である。基本的には地図や地理、モンスターの種類などを報告することで報酬が得られる。
冒険者ギルドはこの報告を基にダンジョンの地図を販売したりして利益を得る。
●配達依頼
アイテムを他の町や人へ輸送・配達する依頼だ。親書だったり貴重なアイテムだったりする。
鮮度や期限が重要な場合、急ぐ必要がある。馬車ではなく早馬や飛行型騎獣やテレポートでこなす必要が出てくることもある。
●常時依頼、常設依頼
一時的な普通の依頼以外にずっと掲載されている「常時依頼」と呼ばれるものがある。
常時依頼には初心者ご用達の薬草採取と、雑魚系のゴブリン、コボルト、ホーンラビットなどの討伐依頼が定番中の定番だ。
常時依頼は、先に依頼を受ける必要はなく、直接完了報告ができることが多い。
●緊急依頼
王都急襲、モンスター・スタンピード、魔物の氾濫などで「緊急依頼」が出されることがある。
こういうものはだいたいCランク以上の冒険者には強制力があり、必ず参加しなければならない義務がある。
参加しない場合には、ペナルティーや違約金が発生する。
他には「探し人」、迷子などの「捜索依頼」、ダンジョンや山林などからの「救出依頼」もある。
その他、街中などの雑用系依頼がある。警備、店番、皿洗い、掃除、建築・修理の手伝い、荷物運び、生産の手伝いなどである。
●採取、採集
採集というと昆虫採集という語を思い浮かべることも多い様に、単純に取得するという意味以外に「コレクション/蒐集する」という意味にも用いる。
縄文時代などを指して「狩猟採集生活」という風に、木の実などを集めてくるという意味にも使われている。
一方の「採取」は、草花、昆虫、石などを拾うこと単体を指すことができる。数を集めずに「メニー草1本を納品する」ような場合には採集よりも採取のほうがよいかもしれない。
草の採取、採石、伐採、釣りなどの生産での取得活動を統括して採集という語を用いるゲームなどもある。
◆商業ギルド
冒険者ギルドに対して、なぜか商業ギルドが存在する設定が多い。冒険者に対するなら「商人」ギルドではないかと思うが、あまりそういう小説は見かけない。
商業ギルドは冒険者ギルドほどはテンプレ化していなくて、ランク分けがあったりなかったり、銀行業があったり、なかったり、冒険者ギルドと商業ギルド両方に登録出来たり、と色々な設定がある。
入会金、年会費、など費用が掛かることもある。その代わりに権利や保障など優遇処置、または販売権などが手にはいる。
場合によっては、錬金術ギルドや魔術師ギルド、薬師ギルドなども登場することがある。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます