32. 通貨
通貨はだいたい国ごとに発行されるのが常識だった。
なろう小説では簡素化のためか、大陸で同じ通貨を採用しているケースもあるようだ。
作品によっては円換算で書かれていることもある。なろうのloon氏はn5842dcでこの円換算が良くないのではないかというエッセイを書かれている。
アイテムや報酬の値段が円換算だと現代の物価を基準に値段を推測してしまい、それが作品中の値段と釣り合わない場合に感想枠が炎上するという話だ。
例えば砂漠なら水や燃料の値段が高価になったりするように、その世界での価値が現代日本の価値と一致しないからだ。
報酬額でその業績が分かりやすいように値段を書いておきたいのだが、炎上しないように慎重に行う必要があるだろう。
通貨の制度が複雑すぎると読者を置いてけ掘りにするので、経済がテーマでない場合は、なるべく分かりやすいものにした方がいいそうだ。
地域格差や需要変動を作品の話のテーマにする小説もあるので、そのような要素を取り入れると、商人プレイがしやすくなるだろう。
◆硬貨
異世界ファンタジーでは金本位制に近いものを採用しているようだ。含まれる金の価値そのものを貨幣の価値とするものだ。地球でも古くはこれが用いられたが、現在はお札を使うことが多いので、金本位制ではなくなった。
金本位制では、金貨を溶かしても、そのぶんの金の価値があるので外国との取引でも使えることがある。また、その硬貨に含まれる金の割合により貨幣の価値が変わる。
だから金の割合をごまかして儲けようとする国王や貴族がいることがある。
金は重いため、貨幣の重さを測れば金の割合がある程度分かる。金の割合が減ってきたらその国は危険な兆候があるということも示している。
たまに鉄貨や銭貨がでてくる。銅貨、銀貨、金貨、たまにその上が白金貨、ミスリル貨、または赤金貨などと続く。
大判、小判のように、
史実では半銀貨、四半銀貨、一分銀などもある。
貨幣の種類が少ないと金額によってはたくさんの硬貨を持ち歩き、商店で渡して数えなければならなくなる。
また現実世界の国では金貨は貴重で足りない傾向にあったようだ。異世界なら魔核のほうが便利だろうが、流通量が多いなら価値が相対的に下がるはずなので、そうすると高額貨幣の代わりにならなくなってしまう。
もし仮に、金属の価値=貨幣の価値であるとするなら、例えば100円相当の銅貨に対して、1000円相当の大銅貨があると、同じ金属なら重さは10倍にしなければならない。
日本の江戸時代には、金より価値がある金属があまりないので、小判に対してかなりの大きさの大判が存在している。
実際に10倍の大きさの大貨を作っても、持ち歩く質量が変化しないのでは、あまり意味がない。銅に銀などを混ぜることにより質量当たりの価値を上げて、大銅貨などを作ったほうが、現実的ではないでしょうか。
一方、定位貨幣といって、額面通りの価値を含まない金属でできていて、価値は政府などが保証しているものが、現代の主流になっている。これは政府そのものの信頼が必要で、国が不安定であったりすると、通用しない場合がある。
貨幣と日本通貨の換算例
銅貨 10円
大銅貨 100円
銀貨 1千円
金貨 1万円
白金貨 10万円
なお一円玉のようなものは、額面が原価を下回るので普通は存在していない。
法規制が緩い世界では、そのようなものは大量に入手されて鋳つぶされてリサイクルされてしまう。
◆電子マネー
超魔法的措置ギルドカードなどによる、電子マネー風通貨が普及している設定にすることも可能だ。
困ったときの魔法の登場だ。
ただカード単体に決算機能があるのか、なんらかの契約魔法や決算魔法的なものが付随しているのか、それとも読み取り機「カードリーダー」的な魔道具が別に存在しているのか、などバリエーションがある。
また個人間の送金に対応しているのか、それとも契約している商店や宿屋のみで使えるのか、などの差異もあるだろう。
◆手形、小切手と銀行制度
手形は、金額だけ書かれて後で現金化するものだ。
小切手と手形は厳密には違うものだが、小切手のようなものもあるかもしれない。
これらは銀行があることが大体必須だが、異世界には強力な権力を保持している冒険者・商業ギルドがそのかわりになるかもしれない。
銀行はお金を貸してくれる。異世界ではどうか。担保があれば冒険者ギルドでもお金を貸してくれるかもしれない。
法律があまりないような世界では、高利貸しの個人の貸金業者がいることが多いだろう。
また、貴族同士など身分の高い人がその資産を使ってお金を貸すことも多いと思われる。
お金を借りて返せなくなると、奴隷落ちになることが多い。
貴族が借金を返せず、取り潰しになる話もある。
◆両替商
銀行がなければ、やはり冒険者ギルドかもしれないが、専門の両替商がいることもある。
マーケットの隅の方で商売をしているだろう。
小さな買い物には銅貨のほうが便利だが、有事の場合に金貨に両替して持ち運びやすくして逃げるということがある。
そういう場合には、金貨と銅貨・銀貨の交換比率レートが普段とは異なるようになることがあるようだ。
◆単位と硬貨の種類
有名な単位などを紹介する。
G ゴールド 金
S シルバー 銀
B ブロンズ 銅(正確には青銅)
C カッパー 銅
C コイン
Z ゼニー
どれが何ということはないが、ゼニーは銭に通じるところがあり単位っぽい。
他は名前自体が対象を示しているから分かりやすい。
中国・台湾製のゲームでは「金銀」の漢字表記が多い。
欧米のゲームやMMOは数文字のアルファベットであることが多い。
スマホゲーや国内物はカタカナ表記が多い気がする。
金銀銅はそのまま金貨銀貨に対応することが多いので、10,000ブロンズで1ゴールドのように使われることもある。
また略記号は、1文字とは限らず、2文字だったりもする。
現在のMMOでは、インフレして金額が高い場合は、通貨の代わりに「金塊」などのアイテムが使われることも多い。
異世界ではもちろん「魔核」「魔石」や「宝石」なども通貨の代わりになりうる。
ドラゴンクエストの影響が強いのか、簡素化のためか「ゴールド」を使う場合もある。
しかしゴールドという以上、それは金貨のはずだ。
薬草が1ゴールド、宿屋が100ゴールドだと1ゴールドは100円くらいとなる。
ゲームならいいが貨幣として見たときに、最高の額面が100円レベルだと、1万枚の金貨を持ち歩いて支払うような世界になってしまいかねない。
この辺はギャグ漫画系などでたまに使われるものの、ナーロッパの小説では現実的ではなく、少々使いにくい。
アメリカなどでは1セント硬貨のことを「ペニー」と呼ぶ。
このように、貨幣には名前がついていることがある。
日本でも紙幣は「諭吉」のように肖像画の名前で呼ぶことがある。
日本では古い紙幣も通貨として利用可能なので、複数の種類の「一万円札」があることになる。
異世界や現実世界でも同様に、金貨と一言で言ってしまうことが多いが、国ごとにしかも年代ごとに異なる金貨が発行されることが多いので「ホイペンス金貨」(適当な名前)みたいに固有名詞でそれぞれの名称で呼ばれて、金貨の種類により、価値が異なるのが普通だ。
複数の国家があれば、本来は複数の金貨があるはずで、その関係はかなり複雑になる。
流通物や商人物以外の物語では、面倒なので、そういうのは考慮しないほうがいい。
また記念硬貨と呼ばれる、金貨などもよく発行される。
これらは、もちろんその額面の金貨として使用することも可能だ。
ただし基本的には収集品としての価値があることのほうが多い。
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