24. MMOコラム

 2、3行では、説明しにくいことを書いておく。

 VRMMOものの参考に現実のMMO-RPGについて問題点やプレイ内容などを実際に経験したことを元に紹介する。


◆作者のMMO経歴

 TalesWeaver(以下TW)を数年間プレイしレベルは当時中堅の200レベル台。

 ラグナロクオンライン(以下RO)を1か月おさわり程度プレイ。

 エミル・クロニクル・オンライン(以下ECO)は数か月農民プレイ。

 黒い砂漠を2か月程度、現在Lv49だが放置釣りばかりしていた。

 他のMMOもいくつかちょっとだけプレイした。

 商業小説ではソードアートオンライン(以下SAO)を読んでいる。他の商業のVRMMO/異世界小説はあまり読んでいない。


 アメリカ産の元祖系やドラクエ、FFのような主要なゲームを一通り体験したわけではないので、知識に偏りがある。素人のエッセイだと思って勘弁していただきたい。


◆チート(EX)

 チートとはバグなどを利用した不正行為のことで、バグ利用者は「チーター」と呼ばれる。

 チート行為はユーザーに大変嫌われる禁忌であるが、バグを利用するとゲーム上でも現実でもチーターの利益になるので、これをしようとする人は多い。

 現実側ではRMTを利用すれば莫大な利益に繋がることがある。

 チート行為は利用規約違反であり、アカウント停止処分(BAN)などの対象である。

 また、運営に支障をきたすような場合は、営業妨害などの法律違反として処罰される可能性もある。


◆補助ツール

 ゲームを補助するツールというのが存在する。

 データパケットの内容を解析して、通常画面に表示されないような内容を表示したりできる。

 例えば「見えにくい」ユーザーや敵も画面表示上はデータとして、クライアントに送られていることが多い。そのようなものをデータから座標を取りだせば、「見えないものが見える」ようになる。

 これらは、不正行為の一部のこともある、黙認されることもある。


◆マクロ

 マクロとは一連の操作を自動化したものをそう呼ぶ。

 「自動狩り」「自動売買」「クエストの自動処理」「POTの自動使用」などである。

 一部のMMOでは公式でマクロのようなものを搭載している。それらは不正ではない。

 一方で、大抵のゲームではマクロは不正ツールとして認識されている。

 POTの自動使用などは、ゲームに組み込まれることが増えている印象だ。


 マクロを使用するユーザーの一部は、ゲームの仕様が不便すぎるために、マクロを使用せざるを得ないこともある。

 それは、ゲームの設計が悪いと言える。

 例えば生産系スキルで100回とかを要求してくるくせに、単にマウス操作するだけなのに、連続回数を指定でできないのは不便すぎる。

 町間の移動がワープ類でできない場合、自動で移動してくれないと、やってられないだろう。

 このあたりはVRMMOでは、体を動かす必要があるため勝手が違うので、普通のMMOとは判断基準も異なると思われる。


◆サーバーとクライアント処理

 コンピューターはプログラムによって動いているので、そのプログラムやデータを改ざんすることで、不正行為を行えることがある。

 特にクライアント側で一部処理が行われている場合は、不正は比較的簡単に可能だ。

 不正な改ざんを防ぐためのnProtectなどのガードプログラムが付属していることが多い。

 このガードプログラムがOSを巻き込んでおかしくなることがあるため、ユーザーの評判が悪い。

 現代の主流のゲームでは、移動、戦闘、アイテム使用、クエストなどをサーバー側で処理しているため、不正行為はしにくくなっている。


◆アイテム増殖

 例えば、クエストで「材料を渡すとアイテムをくれる」というのがあるとする。

 A. ユーザーに材料があるか確認する

 B. ユーザーにアイテムを渡す

 C. ユーザーから材料を減らす

 という処理でできているとする。

 もしBとCの間でユーザーが既存のバグで落ちる処理を実行すると、Cだけ実行されずに、材料を取られずに、アイテムだけ取得するようなことができてしまう。

 これを悪用すれば、無限に結果のアイテムを取得できることになる。

 本来は排他制御をすれば問題ないはずだが、MMOで頻繁に排他制御をすると処理が重くなるため省かれることがあるのだ。

 最新のゲームでは、十分注意してあるはずなのであまり問題になりにくくはなってきている。

 高価なアイテムを少数複製するだけで、チーターにはかなりの利益になる。

 また、確率で強化するアイテムを複製することで、ユニーク級の高強化アイテムを作成したりすることが可能になる。

 アイテム増殖は、ゲームバランスを崩壊させるほどの威力がある。


◆BOT

 マクロの進化形としてBOT|(ボット)がある。

 特にTWやROは2Dのため、BOTが作りやすい。

 私は見かけていないが、ROが流行っていたころはひどかったと聞き及んでいる。

 TWでも中国系と思われるBOTが高速移動してマップ内の敵を一掃して走っているなんて光景が見られた。

 それらのBOTの多くはRMTサイトがゲーム内通貨を稼ぐために大量に稼働している。

 その結果、かなり安い現金でゲーム内通貨を購入でき、アイテム相場をインフレさせる原因になっている。

 インフレでゲーム内通貨の価値が下がると生産系や通常アイテムの露店の減少などの流通に負の影響を与える。

 BOTがいるせいで狩りにならず、邪魔くさいという問題もある。


 VRMMOでは脳波を検出して動作させる方式を取る以上、BOTは作りにくい。

 しかし抜け道として「肉入りBOT」と呼ばれるものがある。

 これは人間が実際に操作しているもので、なんらプレイヤーと変わらない。

 単価の低い外国人を雇い、プレイさせることで稼ぐ方法だ。

 これに対処するにはSAOのゲームのように、外国からの接続を拒否する方法がある。

 これにも抜け道がありVPNサービスを利用する方法だ。

 実際、日本国内のゲームに中国から接続させるためのサーバーを建てていた日本国内の業者が逮捕された事件が存在する。


◆アカウントハック

 ID・パスワードの組み合わせが他のサイトと同じで、別のサイトでパスワードが漏れている場合や、パスワードが簡単だったりする場合に、ハッキングにあいやすい。

 またサーバーの脆弱性・設定ミスをつかれてパスワードが漏れていることがある。

 他には、自分が利用しているパソコンにキーロガーなどの不正プログラムに侵入されて、パスワードが漏えいする。

 公式サイトの偽サイトでID・パスワードを入力してしまい、漏れる場合。

 他人とIDを共有していて、知人に不正利用されてしまう。

 などが主なハッキングの原因である。

 ハッキングされると、キャラクター削除、乗っ取られて利用不可、装備アイテムの略奪、詐欺行為の踏み台などが行われる。


 VRMMO世代では、脳波・生体認証などにより、ID・パスワードに寄らない認証を導入すれば、ハッキング対策にできると考えられるので、このような被害は発生しないだろう。


◆RMT(EX)

 RMTの主流は、ゲーム内通貨の販売だ。

 BOTが運用できないと、ゲーム内通貨の「生成」ができにくいいので、RMTにも影響がある。

 高額アイテムや通貨をユーザーから業者が買ったり、仲介だけをすることもあるようだ。

 黒い砂漠では、ユーザー間でアイテム、ゲーム内通貨の直接取引が一切できないようにすることでRMT対策している。

 ユーザー間でアイテムの貸し借りすらできないため、MMOである意味が、パーティーを組んだりレイドボスを倒したりするときに一緒に戦ってくれる程度の存在になっている。


◆ネカマ(EX)

 単に女性キャラを使うだけで、男言葉、男性であると明言している場合は含まない。

 大多数のユーザーはそういうロールプレイの人がいるのを知っているので、女性キャラだから中身も女性であると断定して接したりはしない。

 しかし文字チャットなどでしか会話がない場合、文字列から本当の性別を当てるのは難しいので、恋愛上の問題などになる。

 最近では、VCを使う人も増えていて、性別を偽れない状況がある。昔はVCが普及していなかった。


 VRMMOでは身体データスキャンなどで、性別を固定化する技術も可能そうだ。

 RPGはロールプレイを楽しむゲームなので、性別を変えることができるポリシーのVRゲームがあってもいいだろう。

 VRMMO世代なら、AIがしゃべるように、男性の声を女性の声に自然に変換するような技術がありそうだ。

 しかしロマンとして、女性キャラは女の子であってほしいのが男という生き物である。


◆VC

 [ブイシー]。ボイスチャット。ボイチャ。DiscordやSkypeなどの専用ソフトがある。

 ダンジョン攻略やギルド対抗戦のような場合に、VCを活用するギルドが増えている。

 しかし声がキモイ、ぼそぼそしかしゃべれない、機材がない、家族に迷惑などの理由で、VCを利用しないポリシーの人も一定数いる。


◆大縄跳び

 一部MMOで流行っているのが「大縄跳び」とか言われてぴょんぴょんするアレだ。

 ボスの攻撃範囲が地面に表示され、それを避けて移動しないと攻撃を食らい、ペナルティが発生して、戦闘が長引いたり、クエスト失敗になってしまう。

 ひとりの失敗、責任で、全員が不利益を被るため、こう呼ばれている。

 アクション性が高いゲームに採用されている。

 FF14などではインスタンスダンジョンの攻略は「予習」が重要とされほぼ強要される。

 そのため、よく「ギスギスオンライン」という異名を持つ。

 攻撃範囲が表示されるのに、お供に連れているNPCを回避させる方法が分からないゲームがあった。ひどすぎる。


 VRMMO-RPGが、ただのVRアクションゲームになり下がる心配がある。

 運動が得意な人が「多少有利」程度ならいいが、運動音痴が「ゲームにならない」のであればそれは人を選ぶクソゲーの烙印を押されかねない。


◆マシンスペック差

 既存のPCゲームのMMOでは、汎用PCのためユーザーの環境に違いがありすぎる。

 例えばTWでは解像度を変えると「見える範囲が変わる」戦闘の連携などに支障をきたすことも。

 クエストなどでもFPSが低いとアニメーションが終わるまでの時間が長くかかり、イベントで不利になる。

 黒い砂漠でも、牛絞りミニゲームの乳を搾る速度が違う疑惑がある。

 データがロードされるまでユーザーがたとえ画面内にいても表示されないため、相手が表示されたときには、こちらが死亡している可能性がある。


 VRMMOでは、同一機種しかなくマシンスペック差が起きにくい、均一な設定のほうが公平性がありいいと思う。

 回線の応答速度による差異もあるかもしれない。例えば、サーバーが東京にあるなら、東京ユーザーのほうがms単位だが多少有利になるだろう。


◆倉庫キャラ

 アイテムは手持ちで持てる量が少ない。そして倉庫もあるがTWでは倉庫も個数制限が厳しい。

 その場合、キャラを増やすことで、キャラを倉庫として使うという方法が、一般化した。

 黒い砂漠では同一アカウント内の倉庫は全キャラ共通なのでこの手が使えない代わりに、倉庫は、貢献度でかなり拡張できるようになっている。しかし、アイテムコレクターとしてはやはり全然足りない。

 スロット拡張の課金をさせようという気がみえみえである。


◆副垢/2PC

 ECOでは副垢、2PC[にピーシー]がないとゲームにならないと言われている。

 他のゲームでも一人で回復キャラ、攻撃キャラなどの複数キャラを操作したほうが、効率がいい問題だ。

 固定パーティーは、同じ学校に通うリア友とかで時間が合うならいい。職業などが違う人なら時間が合わないことが多く、効率的にゲームを楽しめない。

 リア友でも進学・就職や単純に飽きた場合など、一緒にゲームを続けられないことも多い。

 複数人を強制されるゲームで、たいした仕事がない役割があると圧倒的に2PCが有利になる。


 VRMMOでは、一人で1キャラしか操作できないので、2PCは無理だろう。

 高度なAIがいる世界ならどうだろう。パーティーを自分以外はNPC、召喚獣、テイムモンスターで構成して戦うのが、一番面倒ごとが少ないことになってしまう。

 それなら他人は不要で、MMOである意味がほとんどない。


◆ログイン時間

 ゲームの中には、時間限定イベント、畑要素などで現実の経過時間に縛られることがある。

 特にソシャゲは時間で体力回復やアクション回数制限があるため、とてもめんどくさい。

 廃人クラスになると、時間沸き系のボスの時間にも縛られるようになる。

 また、知人どうしで長時間ログインしている人としてない人でレベルが離れると一緒に遊べない問題もある。

 ドラクエなどでは、ログアウト時間に応じてもらえるアイテムなどがあり、格差是正の努力がうかがえる。


 ニート以外の学生や社会人では、時間に追われるゲームはだんだんつらくなり、やめてしまう。

 VRMMOでは家を持った場合の家賃や、ゲーム内ペットが主人がログアウト後もゲーム上に存在すると、餌を上げる問題などが起こる。

 特に時間加速が設定されたゲームの場合、リアルが忙しいとゲーム内時間で1か月、家に帰れない人も出てくるだろう。



◆放置

 ログインした状態でキャラクターを操作せず、放っておくのを「放置」という。

 MMOでは特に放置が重要なことが多い。ROやTWでは露店など。黒い砂漠はほとんどの作業で放置が必須になっている。

 放置キャラがいるため一見サーバー接続人数が多いように見える。しかしそれらを除くとプレイ人口がぐっと減る。

 放置している人が倉庫前などに溜まっていて、人、船、馬などが邪魔で仕方がない。

 放置を必須とするゲームがあると電気代などが余分にかかり、ユーザーにやさしくない。


 VRMMOでは、ゲーム内で読書や他のゲームをすることはできるが、放置は無理だろう。

 そういう意味では、放置問題が解消されて快適だ。


◆サーバー

 マルチサーバーの場合サーバー毎は、完全に別世界として構築されることが多い。

 ログイン用IDは全サーバーまたはサービス会社内で共通であることが多い。

 サーバー毎にキャラクターを作成する。キャラ名はサーバー毎または全サーバーでユニークである。

 どのゲームでもキャラ名とログインIDは別の名前を付けることを推奨している。

 複数のサーバー間は移動できないので、友達などと一緒にやるためには、先にサーバー名を決めておく必要がある。この点はよく不満点として挙げられる。


◆ch

 チャンネル(ch)は、複数の並列世界を構築していて、キャラクター選択後にどのチャンネルにログインするか選ぶ。毎回ログインごとに選ぶことが可能。


 各チャンネルで、モンスター、採取などの資源が別なので、資源枯渇問題を多少改善することができる。

 もちろん同じチャンネルにいないと、ゲーム内で会うことができない。ギルドに所属すると特定のチャンネルにいることをなかば強制される。


 黒い砂漠では、単一サーバーを目指していたらしいが、結局マルチサーバー/ch制にせざるを得なかったという。

 万単位の人が生活するためには、万単位の規模の世界が必要だが、それはかなり広大だ。

 広大なマップでユーザー数が減少した場合の、ゲームとして存続できる最低ユーザー数も多いことになる。

 単純にマップが広ければ、探索や冒険が困難という問題もある。


◆オープンワールド(EX)

 オープンワールドでは、マップが単一でインスタンスダンジョンが一般的にはない。

 そのため、本当の仮想世界のようになっているが、黒い砂漠の感じではまだマップは改善の余地があると思う。


 多くのVRMMOではその辺の話が一切出てこないし、マップ切り替えポータルもあまり見ないので単一サーバー/chのオープンワールド制を採用していると思われる。

 もし、1万人のユーザーが同時にゲームを始める場合、「冒険者ギルド」なるものがあったら、そこに一度に「1万人が並ぶ」事態になってしまう。

 始まりの町を大きくして、ブロックに分割して、最初からユーザーの導線を分割するような仕組みにしなければ、クエストのボトルネックが発生して、とてもじゃないがゲームにならないだろう。

 現実的には毎日2000人ずつ新規参加可能のような感じにする必要がありそうだ。


◆種族、国別制

 種族や所属国・勢力があり対立関係になっているゲームがある。

 これらのゲームで知人と遊びたい場合は、どちらか選んでおかなければならない。

 ランダムで決まる、とかなると困るのは目に見えているので、そういう設計はあまり評価されない。

 なぜかSAOのアルヴヘイム・オンラインは、選択可能だが種族別だ。


◆MMOもどき

 インスタンスダンジョン中心になり、アイテム取引も制限があるとなると、もはやMMOとしての存在意義が怪しい。ほぼMOである。

 戦闘が仲間だけのターン制の、別画面だったりするゲームもあり「MMOらしさ」が全然ないゲームすらある。しかしそういうゲームもMMO紹介に載っていることがある。


◆レベル差

 キャラがLv・ステータス制の場合、Lvが高ければ強いという単純な図式になりがちだ。

 敵や仲間のレベルがプラス・マイナス10以上離れるとペナルティが発生したりする。

 レベル差があると一緒に遊んでも、とても非効率になり、敬遠されてしまう。

 後で始めた人の養殖は簡単だが「一緒に遊ぶ」のは難しいゲームになってしまう。

 ギルドに後で加入すると、レベル差がギクシャクする原因となるため、レベル差のペナルティはあまりよい解決策とは言えないと思う。

 ステータス制をやめ、プレイヤースキル主体にすると、今度は人によって高難易度ゲームになってしまう。


◆PK問題とデスペナ

 デスペナで装備をドロップすると、PKの温床になる。

 PKerは高いLvと強い武器を装備して、高Lvソロプレイヤーを襲う。そうするとさらに強い武器がPKerに集まり、より強くなる悪循環になる。

 また、弱い者いじめをして、楽しむ奴もいる。

 デスペナが一切ないと、狩場から戻るのに死んだ方が速いということが起こる。


 古めのゲームではユーザー同士は、ぶつかったりしないので、素通りできる。

 それでも可能な限り避けて歩くのがマナーである。

 しかしVRMMOでは現実世界に近いので、相手がいればぶつかることになる。

 それだと、ワープがない場合ユーザーを囲んだ脅迫ができる。外に出さなければいいのだ。

 VRMMOがPK不可だったり安全地帯だったとしてもこの問題は残る。

 法律、利用規約、記録、通報システムなど単なるシステム保護以外の手段を必要とするだろう。

 全ユーザーを監視する、見えないAIを配置すればだいたい問題ない気もする。


◆インフレ

 モンスターが次々沸き、アイテムを大量にゲーム内に生成すると、それを売って資金にする。

 その資金を何らかの方法で、ゲーム内から回収する手段がないと、全ユーザーの資金が増える一方で、インフレに陥る問題がある。

 宿屋や武器防具などは初心者の間か安い物の売買が主流なので、たいした資金回収手段にならない。

 既存のゲームでは、引退者の資金の分が事実上消えるので、ある程度の回収の代わりになっている。


◆ランダム性

 MMOでは、あらゆるものをランダムにする傾向がある。

 TRPGのころから、サイコロを振っていたからかもしれない。

 例えば、当たり判定、ステータスの成長、ドロップアイテム、生産アイテムの作成、装備品の改良判定、ガチャなどなど。

 1年たっても、レアが出ない人もいれば、数日でレアが出る人もいて、あまり公平でない。

 レアが0.001%などの確率では、隔たりがあると言われてもしょうがないだろう。

 一攫千金を狙えるが、ユーザーの努力とは、無縁だと思うと、むなしく感じないだろうか。


◆公平性

 どのユーザーも等しく楽しめるのが理想である。

 例えば、職種間の強さに開きがあると、地雷職、不遇職と呼ばれ、不人気職になる。

 それがしばらく続くと、強いキャラのスキルから順番に「弱体化修正」が行われることが多い。

 そのキャラを使っていた人たちからは不満が出るだろう。

 しかも、韓国情報とかがなければアップデートごとに、コロコロ変わったりして、職種選択が博打状態になる。

 そういうゲームは、ゲーム自体が長続きせずに、ユーザーが離れてしまう。


 レアアイテムについては、そこまで不満は聞かれない。物欲センサーという言葉はたまに聞く。

 レアがなければ、値段が皆安い、温すぎるゲームになってしまい、つまらないし、張り合いがないだろう。

 持っている人は優越感に浸り、持ってない人は、欲しくて狩りを頑張る原動力にもなる。

 しかし、私は最後の方は全然でないレアに飽きてしまった。何事もほどほどがいいと思う。


 ユニーク装備、スキル、種族は確かに、小説では憧れの要素ではあるが、それがネタスキル系ならともかく最強だと、多くのユーザーから不満が漏れるだろう。

 ユニークは最強一歩手前ぐらいか、見た目装備ぐらいのほうが良いと思われる。


◆名前問題とNGワード

 名前は基本ユニークだ。しかし、偽者が現れることがある。

 代表的なのがひらがなの「へ」とカタカナの「ヘ」だ。ほぼ見分けが付かない。

 また、カタカナの「ロ(ろ)」と漢字の「口|(くち)」と記号の四角、伸ばし棒「-」とダッシュ記号「―」などもある。

 名前が使用済みだと、名前の前後に卍や☆やxを付けて対処している人もいるので、掲示板や取引や嫌がらせで同一人物でない場合がある。

 わざと有名人の名前をかたり、PK行為やアイテムを借りて返さない詐欺をしたりする。


 通常名前にはNGワードが設定されている。ペットの名前では、なぜか規制されていなかったり、簡単にすり抜けることが可能なので、下品な名前を付ける人が一定数いる。

 逆に正常な名前なのに、名前の一部に、NGワードに引っかかる部分があるだけでNGにされるため、自分の普段使っている名前を設定できないことがある。

 チャットでも「うん、こうしよう」とか「、」がないと入力できないことが多い。

 分かち書きしない日本語の特性に一致していない。しかも、悪意がある人は回避して入力してくるので、実際には何の対策にもなっていなくて、煩わしいだけである。


◆白魔法キャラ

 TWはクリック量産ゲームの一つだ。しかし補助をするのは結構大変でやりがいがあった(過去形)。

 今のTWは分からないが、昔はパーティーでも戦闘することが可能だった。

 TWでのティチエルは補助系でダメージ削減バフ、回復が使える唯一のキャラだ。

 まず、味方の物理ダメージ半減のバリアーを唱える。5分位おきに一度必要だ。

 敵に魔法使いがいるなら魔法ダメージ半減のレジストを唱える。同じく5分。

 そして、味方の前衛がHPが減ってきたら、ヒールで回復してもいい。

 もちろんヒールはせず、ポットで回復してもらうこともある。

 どちらにするかはパーティーと状況次第で決める。

 TWでは回復薬は安いので、痛い敵でなければ回復魔法は使われない傾向にある。

 空いた時間は敵を攻撃する。

 経験値配分は「公平」と「貢献」があり、ヒール主体だと公平にしてもらわないと、経験値が入らない。貢献は敵を殴った分だけもらえる。

 バリアーとレジストの魔法の時間を、逐一確認、記憶して、一切途切れないようにするのが基本。途切れると「バリくれ」といわれて怒られるので、気を付ける必要がある。

 敵の残りHPを見つつ、味方HP管理に、補助魔法の時間管理と意外と忙しいし面倒くさいのだ。

 魔法を唱えているときは移動できない。

 ヒールやレジストは範囲魔法なので、全員が止まってかつ一か所に集まっていることを要求される。

 しかし前衛はあまり補助魔法を掛けるために止まってくれたりしないので前衛が敵に足止めされているときを狙う。

 そのように、タイミングをうまく調整する必要があり、クリックゲーと言っても少し頭も使うのだ。


◆露店と最適価格

 昔TWでは、オープンマーケットがなく露店のみだった。

 そのころは、Lvが上がると次のレベル帯の装備を購入していくようになっていた。

 始めたころは、次のレベルの装備をぎりぎり買える程度の資金しかなかった。

 Lv42位までしか店では売っていないので、それ以上では露店で買う必要があった。

 武器はLv100程度まで用のものを普通にドロップするがレアで、トッププレイヤー用は、合成して作成したり、高レアアイテムが必要だった。

 毎日ログインしたらすぐと落ちる前、空いた時間には、露店を1つずつ見てまわらないと、目当てのアイテムを取得できない。

 そうして、各アイテムの値段を次第に記憶していき、適正価格が何となくわかっていくようになった。

 同じ装備でも強化品があり、それは値段が高いぶん性能が良いので、そういう掘り出し物を探すのも結構楽しかった。

 今では装備はお使いクエストでくれる上、全サーバー共通のオープンマーケットで、ほぼなんでも手に入る。

 そして、オープンマーケットの品は現金を投入したポイントで買えるのだ。公式RMTとも呼ばれている。


 アイテムどうしの交換(交渉という)もしたことがある。

 ごみをつかまされて処分に困ったことも今となってはいい思い出である。

 そういう失敗もゲームの一部としての楽しみではないかと思う。

 商人に向いてない人は同じギルドの人に売買を委託したり、現金のみで交渉は受け付けないなどの工夫が必要だ。


 生産品に付いて書いておく。

 値段は「最低コスト」程度の値段でしか売られていない。

 ポット類はNPCが高性能品を売っている。

 低価格アイテムはオープンマーケットの最低単価とマッチしないので売り買いしにくい。

 超高額品とかでなければ、作成に失敗する可能性があっても原価だ。

 レシピ入手費用とか、スキル上の問題とかが値段に反映されることはない。

 まったく儲からないので、生産は死んでいるといっていい。これはTWに限らず大抵のMMOでそうだと思う。


◆攻略と日本仕様

 そもそも、筆者がやった多くのMMOが韓国産なので、スキルもクエストも生産レシピ系も、情報が韓国からやってきて「未発見クエスト、レシピ」なるものは、まず存在しない。

 そのため、攻略情報を見ない縛りプレイならともかく、開拓的なことは何一つない。

 TWの場合アイテムは、データがクライアントにもあるので、ある程度解析が可能らしい。

 クエストはサーバー側からテキストを送ってくるので、クライアントには入っていない。


 TWに限らずMMOには「日本仕様」と呼ばれる、マゾ化がある。

 高レベル装備用の必須アイテムが本国で5個必要だったのが日本では20個のように設定されるのだ。

 しかもドロップ率が低い可能性まである。

 すべて運営のさじ加減ひとつというのが興ざめだ。

 そして、販売アイテムも、本国では装備などを売っているが、日本では基本ガチャである。しかも中身のほとんどはただのごみが出る。


◆砂漠のBOT対策

 黒い砂漠には随所にBOT対策が取られている。

 まず、釣りをするときやマーケットで買うときには、キャプチャ認証が必要だ。

 街角に障害物が設置されて、キャラが引っかかるようにされている。

 主要NPCの周りに、NPCに話しかけにくいように他のNPCが配置されて邪魔をしてくる。

 色々あるが、意外とストレスがたまるので、プレイしてみようという人は注意してほしい。


 VRMMOではBOTが使えないなら、このような煩わしさをなくせて良いと思う。


◆アルファテスト、クローズドベータ、オープンベータ

 アルファは開発初期段階、ベータは完成一歩手前である。

 クローズドは、応募者から抽選で指定人数のみゲームができるようなものを指す。

 オープンベータは事実上のプレオープンで、自由に登録できることが多い。

 オープンベータ後は、そのまま本番になるか、期間を置いてから本番になる。

 データもオープンベータから引き継げる場合と、引き継げない場合がある。

 本サービス開始時にオープンベータ参加者に特典を配布することもある。

 引き継げず、全データを削除することをワイプと呼ぶ。

 なぜかなろう小説では、一部引き継げるみたいなことが多い。しかし実際のゲームでは、一部アイテムを引き継ぐための設定などを用意するのが面倒くさいため、そういうゲームはほぼ存在しないと思っていい。


◆ロールバック

 データに重大な問題が発生した時などに、データを古い状態に戻すことを、ロールバック、巻き戻しという。

 サーバー全体がロールバックされるケースでは、前回の保存タイミング、具体的には定期メンテナンスまで戻されることがある。

 しかし、最近のゲームは「アイテム課金」をしていて課金の払い戻しが面倒なため、ほとんど行われない。

 また、サーバーや特定キャラが落ちたときも、数分ロールバックすることがある。


◆時間加速と外部通信

 VRヘッドギアでは、そばで話しかけても通じない。

 VRMMOで加速があると、ゲームの外部と通話するのが難しい事態になる。

 その場合、連絡手段はメールなどになるだろう。

 セーフティで、強制的にログアウトさせることもできるが、ゲーム内のキャラがどんな状態なのか分からないので、あまりお勧めできない。


◆○○したやつが強い

 F2P:Free to Play。基本無料。

 基本は無料だが、まあ基本だけである。

 英語圏ではP2Wのゲームは含まないが日本ではあいまいである。


 P2P:Pay to Play。有料。

 買い切りとかそういうの。


 P2W:Pay to Win。課金したやつが強い。

 日本で一般的な無料課金ゲーはほぼすべてこれに該当する。

 直接強さを買えないとしても、本来必要な時間を買える時間短縮要素は立派なP2Wといえる。


 F2W:Free to Win。P2Wに対抗する概念。

 無料で遊べ、課金しなくても無料でも勝てるようなゲームをこう呼ぶ。

 課金要素はアバターの見た目だけ、みたいに課金要素をゲームの根幹に関わらないようにしたりする必要がある。


 T2W:Time to Win。時間をかけたやつが強い。

 古いタイプのMMOはほぼこれとされる。最初からやってるか長時間プレイし続けるやつが強い。

 ほとんどのなろうVRMMOもこれである。

 T2Wにしないための要素としてレベルキャップなどがある。

 T2Wで古参マンセーになると新規が来なくて過疎まっしぐらという問題がある。


 運:運は運である。

 宝くじとかそういうの。


 先行者利益:先にしたやつのほうが利益が大きい

 新装備などを売る場合、最初に売ったほうが高く売れるようなもののこと。これ自体は市場とかでもそうなので普通だ。

 問題は「サーバー唯一のボス初討伐報酬」とかいう糞要素などだ。強いやつが最強装備でボスを倒し新しい最強装備を手に入れる。その装備で次のボスを最初に倒しさらに最強になり格差がずっと広がっていく、なんてことになったら目も当てられない不公平な要素である。

 なろうVRMMOではよく見るが現実のゲームでは当たり前だが通常見られない。個人ごと別の初討伐報酬はよく見られる。


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