3. 戦闘

◆前衛、後衛、遊撃

 ゲームなどでは、盾役が前衛を務め、相手の攻撃を受け持つ。敵を集めたりする役もする。

 自分に敵の攻撃を集めるようにすることをヘイトを集めるという。ヘイトを集めるためのスキルが存在することもある。

 回避が高いキャラクターの場合は盾でなく避けて前衛をすることもある。

 後衛は後ろから槍、弓、魔法などで敵に攻撃を加える。遊撃はその中間で、敵が多いときに時間を稼いだり横から攻撃したりする。

 前衛は「近接職」、後衛は「遠距離職」であるのが普通。「回復職」も後衛。


 ゲームでは職種によりスキルが固定であることが珍しくないので、前衛、後衛は明確だ。

 一方の異世界では、スキルが固定ということはないので、このような違い自体がないことも多い。


◆DPS

 [ディーピーエス]。Damage Per Second 秒間あたりのダメージ力のこと。

 ディレイが長い高威力攻撃と、ディレイのない連続低威力攻撃を考慮した攻撃力を算出する。

 転じてDPSが高い職種の魔法使いなどのダメージを与える担当の事を指す。火力、アタッカーの俗称。

 ゲームのパーティーは、「タンク」(盾/壁)、「アタッカー」、「ヒーラー」(回復)から構成される。

 本来、攻撃担当は「ダメージディーラー」とも呼ぶ。


◆ソロ、パーティー

 ソロは一人で活動すること。パーティーは2~6人程度の集まりのこと。またはチーム。

 ゲームのシステムではパーティーを組むとアイテムや経験値を分け合うことができる。そうしないと回復役などは攻撃しないので経験値がもらえなくなってしまう。

 小説ではゲーム的世界の場合は同様の魔法などがあったりする。

 その場に集まった人で作る「臨時パーティー」を「野良パーティー」と呼ぶ。

 逆に同じメンバーの物を「固定パーティー」と呼ぶ。

 スマホの普及により「パテ」という呼称も多く使われるようになった。

 日本ではパーティーのことを主に大文字でPTと略して書くことがある。

 なおポイント(point)のことも小文字で「pt」と略すことがある。


◆ペア、バディ、ツーマンセル

 二人組を上記のようにいう。ペアは広く色々な用語で使われている。

 バディは「相棒」の意味。英語圏では男性同士のパートナーを指す。

 映画のジャンルにも「バディもの」というのがある。

 スポーツや警察などでよく使われる。

 ツーマンセルは軍隊系用語で、二人一組のこと。


◆ツリーマンセル

 三人一組のこと。軍隊用語などで使用される。


◆レイド

 ゲーム界隈ではさらに複数のパーティーを集めてボスと戦うのをレイドというらしい。

 レイドボス、レイド戦などという。

 急襲を意味するraidが語源とされる。


◆ヘイト管理

 一部のRPGでは敵が攻撃対象を決めるのにヘイトというものを採用している。

 ヘイト値は脅威度、憎悪値であり、一番高いプレイヤーを攻撃するようになる。

 もちろん、一般的なヘイトを採用した敵と、特殊なターゲットをとる敵、技などもある。

 攻撃、回復などのアクションをとるとヘイト値が上昇する。

 盾職がヘイト値を増やすのを一般に「ヘイトを稼ぐ」という。

 「ヘイトが高い」「ヘイトが低い」「ヘイトを集める」「ヘイトを調整する」という風にいう。

 また、回復職や後衛のアタッカーのヘイトが一番高くならないように調整するのを、ヘイトコントロールと呼ぶ。

 特にヒールでのヘイトを「ヒールヘイト」という。回復魔法を連発していると、タンクよりもヒーラーのほうがヘイト値が高くなることがあり得る。

 ヒーラーが集中攻撃を受けヒーラーが死亡したり自己ヒールしかできなくなると、パーティーの回復ができず戦線が崩壊する。


 ヘイトを増やす専用スキルは「騎士の名乗り」「咆哮(ほうこう)」「挑発/タウント」などがある。

 ちなみにtountの発音はどちらかというとトーントだそうだ。

 なにもしなければ時間経過でヘイト値はだんだん下がっていくのが普通。


◆タゲ取り

 敵の攻撃対象になることをターゲットを取る「タゲ取り」といい、MMORPGでは盾職の重要な仕事のひとつ。

 敵の攻撃を盾職に集中させて、防御が低いメンバーを攻撃から守る役割をする。

 ヘイト管理による時だけでなく、敵に近いプレイヤーを攻撃したりとゲームや敵により色々なコンピュータールーチンがあり、適切な行動を必要とする。


◆アクティブ

 敵が接近してこちらを見つけると、攻撃してくる敵をアクティブモンスターという。攻撃してこない敵の状態をノンアクティブ(インアクティブ)という。

 ノンアクティブの敵は攻撃するとたいていの場合、アクティブ化する。

 ノンアクティブの敵は初心者ゾーンの最初の敵に多い。

 比較的最近のゲームではプレイヤーレベルが高い側のレベル差があるとアクティブ設定の敵であっても襲われないなどトレインにならないように調整されている。


◆リンク

 元々は敵を攻撃したりした時に、それと「繋がっている」=「リンクしている」敵も同時にアクティブになって攻撃してくる設定のものを指す。

 しかし最近は単順に、アクティブになることをリンクするということが多くなってきている。

 リンクされると集団リンチみたいな状態になることがあるので、注意を要する。


◆トレイン

 ゲームで多数の敵を引き付けてから逃げると、自分の後ろを敵が並んで電車のようになるのをトレインという。一般的にはマナー違反とされる。

 名詞形の他「トレインする」とサ変動詞的にも使う。

 最近のゲームではMOBは一定の縄張りを持っていてその範囲外まで達すると敵がついてこなくなり、トレインにならないように対策されていることもある。


◆PK

 [ピーケー]。プレイヤー キル(Player Kill)。ゲーム用語。プレイヤーがプレイヤーを殺すこと。

 ゲームでは善悪の度合い、性向値があり、PKをすると性向値が下がり、名前の表示が赤くなる。それをレッドプレイヤー、赤ネーム、アカネという。

 赤ネームだと街に入れなかったり、商店を利用できなくなる。善人は緑、中間はオレンジになる。

 PKする人をPKer、プレイヤーキラーと呼ぶ。PKerの発音は[ピーカー]、[ピーケーヤー/ピーケーアー]など諸説ある。


◆PKK

 [ピーケーケー]。PKerを殺す人のことをPKKer、プレイヤー キラー キラー(Player Killer Kiler)という。盗賊を殺しても罪にならない異世界が多いように、PKerを返り討ちにしても一般的にはペナルティにならない。

 ゲームでは殺しても復活するので、復讐のし合いになることも珍しくない。


◆MPK

 [エムピーケー]。モンスター プレイヤー キル(Monster Player Kill)。ゲーム用語。大量の魔物をほかのプレイヤーに押し付けることでプレイヤーを殺す行為。魔物が殺すのでMPKした人がレッドプレイヤーにならない。

 同じモンスターに何度も倒されることによって、モンスターのレベルを上げ養殖し、MPKにする手法ができるMMOもあるにはある。


◆ポップ

 モンスターが新しくマップ上に配置されることを「湧く」といい、ポップ(Pop)するという。

 モンスターは倒すと消えて再度湧くので、リポップ(Repop)するという。

 湧く間隔により「時間湧き」「即湧き」などに分かれる。

 時間湧きにも、指定時刻で涌くタイプと、討伐後の経過時間で涌くタイプがある。

 特定の敵を倒したり、時間経過でサナギが羽化したりする特殊なものも存在する。

 同じ場所で毎回湧くタイプを「定点湧き」「固定湧き」と言ったりする。

 涌く場所時間が一定でないものは「ランダム湧き」などという。

 ポップの同義語でスポーン(Spawn)、リスポーン(Respawn)と呼ぶこともある。

 プレイヤーが死亡後に復活する地点も「リスポーン地点」という。

 また「湧く」が正しいような気がするが「沸く」と書くこともある。


◆ルーター、ルート、ルート権

 ゲーム用語。Looter。戦利品アイテムを拾って歩く行為を「ルート(Loot)」と言い、拾うばかりの人を「ルーター」と言う。他人のドロップばかり拾う人は迷惑行為とされることも。

 またドロップしたアイテムを拾う権利を「ルート権」という。

 ルート自体には、rootには根(フォルダ、ディレクトリのルート、根、蔦による拘束魔法)、routeには道筋(国道や迷路のルート)という意味もある。

 落ちているアイテムを拾う敵も存在していることがあり、そう言う敵を「ルートモンスター」と呼ぶ。

 ルートモンスターの拾ったアイテムは倒すとドロップするのが普通。


◆殴る

 ゲームでは、基本的に敵を攻撃することを通称で「殴る」と呼び、魔法だろうとなんだろうと「殴る」という。

 銘「レベルを上げて物理で殴ればいい」。


◆横殴り

 ゲーム用語。他の人が戦っている魔物を横から殴って横取りする行為。迷惑行為とされることも。

 特に、敵を倒した後の経験値がダメージ量で一定値を複数人で分配されるシステムだったり、ドロップが全員個別ではなくルート権がある人の占有であったりすると、よくもめる。

 ちゃんとした支援目的の場合は横殴りとは呼ばない。


◆辻

 [つじ]。時代物でいう「辻斬り」より。

 主として「辻ヒール」があり、通りがかった人にヒールをする行為。

 復活後HPが1になるゲームでは復活地点でヒールしてくれる人もたまにいる。


◆エンカウント

 敵に遭遇すること。


◆ディレイ、硬直

 Delay。直訳すると延期。ラグに似ているが、ラグはコンピューターシステム上の遅延を指すことが多く、ディレイは異世界の法則またはゲームシステムに設定されているものを指すことが多い。

 ゲーム、世界観によって用語の使い方が若干異なる。

 例えば攻撃する時、アクション指示(クリック等)→前ディレイ2秒→アクション開始(攻撃ダメージ適用)→後ディレイ5秒→再度クリック可能。のようになる。

 前ディレイのことを特に魔法でキャスティング タイム(CT)、詠唱時間と呼ぶこともある。

 指示から次の指示ができるまでの時間をクール タイム(こちらもCT)やリキャストタイムと呼ぶことが多い。

 ゲームのポーションなどのアイテム類、基本攻撃技などは前ディレイが0秒のこともある。

 しかし実際には通信システム上のラグがあるためどんなに高速に連発してもある程度の遅延は発生する。

 クールタイムは普通アイテムの種別ごとに共通になっていて、HPポーションを使うとMPポーションでも再使用時間まで使えないようになっている。

 逆に攻撃技の時、他の技を次に繋げることで前ディレイと後ディレイを相殺して短い間隔で攻撃できたりする場合もある。そういう物をコンボと呼ぶ。

 大技では、特にディレイの時間が長く設定されることが多い。

 魔法は前ディレイが、剣技では後ディレイが長いことが多い気がする。

 ディレイ時間は装備や魔法、技ごとに時間や倍率が設定されている。

 ディレイ時間を減少・増加させるための状態異常の魔法やポーションがだいたい存在する。

 後ディレイで体が動かなくて何かアクションを起こせないことを「技後ぎご硬直こうちょく」と呼んだりする。

 普通の後ディレイでは、再度同じ技が使えないだけで、動作や他のことができる場合も多い。


◆クリティカル

 クリティカル ヒット、クリティカル ダメージ。致命的な攻撃のこと。ゲームでは防御力無視や攻撃力2倍などのボーナスが付く。


◆レジスト

 抵抗すること。レベルの高いプレイヤーや状態異常耐性持ちが他者から受けた魔法が効かないことを「レジストした」という。


◆パリィ

 Parry。剣などで剣などを受け流す行動のこと。

 名詞化してパリングとも。


◆当たり判定

 ゲームにおいてダメージを食らう判定のこと。

 武器、魔法により、当たり判定の距離や範囲が違うので、注意する必要がある。

 範囲はゲームでは円形・六角形・四角形などの形をしている。向きもある。


◆ノックバック

 攻撃を受けたときに、後ろへ押される動作のこと。


◆予備動作

 主にボスや敵が、技、スキルを発動する前に行う、一定の動作をいう。

 予備動作を見て避けたり、ガードしたりする。

 プレイヤーでもスキルを使うのに、予備動作が必要な場合もある。


◆モーション

 動作。スキルモーション、ダメージモーション、予備モーションなど。

 ゲームではスキル前後に強制的にモーションが入りこれがディレイになる。それを他の動作をして無効にするモーションキャンセルなどの仕様、プレイ技がある。


◆ドロップ

 敵を倒すとアイテムを落とす。落とすことを「アイテムをドロップする」といい、ドロップアイテムと呼ばれる。通常ドロップの他に、たまに落とすものを「レアドロップ」という。レアドロップの中にも、出やすいものと非常に希少なものがある。

 世界設定によってドロップはなく、死体を素材として回収する作品もある。ドロップの世界では敵は死亡時に消滅したりドロップに変化する設定である。


◆レベリング

 敵をひたすら倒して、経験値を稼ぎ、レベル上げ作業をすることをレベリングという。


◆養殖・パワーレベリング

 強いプレイヤーが弱いプレイヤーを引き連れて、弱いプレイヤーを急激にレベル上げする行為のこと。結構嫌われる。


◆寄生

 寄生プレイ。高レベル者などに低レベル者や初心者が同行して、おんぶにだっこ状態で、経験値やドロップだけを取得する行為。それなりに嫌われる。


◆狩場

 魔物狩りをする通常フィールドなどをこう呼ぶ。


◆定点狩り

 英語などではキャンプと呼ばれる。

 対義語は「移動狩り」。

 同じ場所に居座って、範囲スキルなどを連発して敵を倒す手法。

 敵がほぼ無限に湧いて、近寄ってくるのを利用することで、移動する必要がない。

 「同じ場所」というのはゲームによって一歩も動かない場合から、周辺をうろつくまで幅がある。

 とくに一歩も動かないでスキル連発で戦闘している状態では、旧来のMMORPGではマクロを疑われ、マナー違反ともされる。


◆釣り

 英語では凧揚げの意味であるカイト、カイティングという。

 散らばっている敵に1発入れたりして誘導して、攻撃担当の前まで連れてくる行為のこと。

 主に魔法職は範囲攻撃をするので、バラバラの敵を集めると効率よく敵を狩れる。


◆マラソン[戦闘]

 ボス戦でボスを引き連れて歩く行為。

 ボスが歩いている間は攻撃されなかったり、パーティーメンバーを攻撃範囲から外すことができる。

 主にパーティーのメンバーが死亡やダメージから復活するまでの間、ボス戦を維持するために行われる。

 これも、カイティングと呼ばれる。


◆マラソン[クエスト等]

 または「周回」のこと。同じクエストやIDを繰り返し受けること。

 その移動がマラソンしているように見えることから。


◆未鑑定、鑑定

 古めのRPGではモンスター、アイテムなどの詳細がわからないものを「不確定名」といい「識別」すると状態が変わり「確定名」となる。

 現代の多くのゲームではその状態を「未鑑定」といい「鑑定」すると「鑑定済み」となり詳細が判定する。未鑑定のものを未鑑定品という。

 例えば「不確定名、醜い昆虫」を識別に成功すると「確定名、ヒトクイバエ」のように名前が変わる。

 未鑑定状態では、複数のモンスター、アイテムがその名前を共有していて、どれが正しい結果になるかはわからない場合もある。

 例えば「未鑑定、アメジストの杖」が「氷結の杖」や「火炎の杖」と鑑定されるみたいな感じである。

 ゲームでは、不確定のときと確定後で絵も違うことがある。

 なお鑑定システムを持っていないMMOやRPGも多い。


◆fps

 [エフピーエス]。Frame Per Second.秒間当たりのフレーム数のこと。フレームとはゲームにおいては普通、描画の更新回数のこと。

 PCゲームでは特にロースペックで、30fps、60fpsが維持できず、12fpsなどの低fpsになることがあり「表示が重い」という。

 低fpsでは間引きされて表示されるため、アクションが遅くなったり、しょぼいゲームではアニメーションまで遅くなることがある。

 反応に遅れるため、低fpsは嫌われる。

 ちなみに映像規格の4K、8Kまたは現実の方のVR機器では、120fpsが標準になっているらしい。


◆FPS

 [エフピーエス]。First Person Shooter。一人称視点のシューティングゲームのこと。

 多くが生身かロボットでの銃火器による対戦ゲーム。

 一種のサバゲーっぽいゲーム類のこと。

 VRゲームもある種FPSであり、VRMMOはまさに究極のFPSであるといえる。


◆TPS

 [ティーピーエス]。背後霊タイプの主人公の後ろから見る視点をTPS、Third Person Shooterという。

 既存のMMOはFPSではなくTPSがほとんど。


◆ヘッドショット

 FPSで頭への銃撃のこと、クリティカルであり、ゲームによっては一撃で死亡する。


◆バックアタック

 背面攻撃。正面よりも高いダメージになることが多い。

 個人単位の背中からの攻撃だったりパーティー単位での背面からの攻撃であったりする。


◆ヒットアンドアウェイ

 一撃離脱戦法。攻撃したらすぐに離れる戦法のこと。

 攻撃力が高く防御が低い場合や、相手の攻撃力が極めて高い場合などに多用する。


◆首ナイフ問題

 レベルが高い人物の首をナイフで切るとどうなるかという問題。

 レベルが高くHPも高いため死亡しないなら、現象が現実的ではない。

 首を切られて死亡するなら、そのHPやステータスは無意味で即死を許容するのかという問題。


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