11.平和が一番
「それじゃ、話も一段落ついたしご飯にする?もちろん山本君も食べていいいからね。」
「え?ほんとですか!ありがとうございます。」
「あっ、それなら今日市場に行ったら新鮮な刺し身を買えたのでちょっと家から持ってきますね。」
「え!ありがとう!」
なんか……家族っぽい?
私の家庭はベルリンの壁レベルで崩壊してたからそういう感情に陥ったことなかったけどなんか……いいな。
「え?大丈夫なんですか?」
「何が?」
「だって家に帰ってからここまで持ってくるんですよね?」
「うん。そうだけど何か?」
「何っていま、真夏ですよ?」
あーそういうことか。
またここまで来るのに腐っちゃわないかっていうことね?
それなら―――
「大丈夫。だって、瑠衣野さんの家、ここから1、2分で着く位で近いし。」
そう。
なんと、昨日。
瑠衣野さんの家と私の家が近いことを知りました。
なんか瑠衣野さんがもう言ったと思って言ってなかったらしい。
聞かされた時はまじでびっくりした。
まあ、そんな事は置いといて、どうせ電気のない非能力者区画でどうやって保存してんだって思ってんだろ?
思ってるよね?
……あれ?私は誰に向かってこんなことを言っているんだ……まあ良いか。
それで、どうやって保存してんのかって言うと、電気を使う冷蔵庫は使えないけど昔ながらのなんか上の段に氷入れて下の段に冷やす物入れるみたいなのの進化系みたいなものをここに飛ばされて来た時に貰ったんだよね。
その性能は、上の氷がなかなか溶けないような特殊なものになっててそれが、なんかよくわかんないことをした結果冷蔵庫の中に入れておけば半永久的に溶けることはないっていう。
非能力者の命は簡単に奪うくせにこういう事は最新のシステムを使って生活を便利にしてくれるんだからよくわかんない。
「へーそんな偶然あるもんなんですね。」
SORENA!
「それじゃ行ってきます。」
「いってらっしゃい。それじゃ山本君は瑠衣野さんが帰ってくるまでの短い間だけど、もっと能力者区画のこと教えてよ。」
「はい。まあ、これ以上大した話はできないと思いますが知っている範囲の情報は全て教えます。」
それから5分後、瑠衣野さんが帰ってきてご飯になった。
話はそこそこいい情報を聞けた。
嬉しい。
で、メニューは、
ご飯一杯、刺し身、野菜炒め(味付け無しでほんとに炒めただけ)
以上!の予定。
私もね、成長したよ。
最初の頃は、ご飯も何もなくて餓死しそうになったときもあったのにさ。
はいっ。ここで、非能力者のルール(食料編)です。
まず、3日に一回配給がある。
ここでは、米や野菜、生活必需品などがもらえる。
これは、米とか野菜とかを買い占められたら食べられない人が出てきちゃうからね。
次に、市場が開かれること。
ここでは、米や野菜以外の肉や魚などのスーパーの売られているようなものが売られている。
普通にお金を使って買うもので、お金の稼げない私達みたいな子供「はお金を毎月配布される。
以上ですね。
これを覚えてあなたも快適な非能力者ライフを。
え?行きたくない?
大丈夫大丈夫、ちょっと命の危険があるだけだって。
……あれ?そう考えたら私結構やばいところに住んでる・
うん。考えないようにしておこう。
ちなみにもらえるお金は大体10万円くらい。
で、このお金はチケットみたいな感じで、市場にいったお金は国に戻る。
だから、経済を回すんじゃなくて何かを買うために働くっていう感じ。
しかも、お金は自分の番号が書かれていて、身分証明証に書かれている番号を見せながらでしか買えないから、国が不正することも出来ない。
ていうか、国も下手に不正行為とかして能力者に目をつけられたら嫌だろうから出来ないんだろうな。
きっとスパイとかもいるんだろうし。
まあ、こんな事は置いとくか。
なんか怖いし。
うん。もうご飯食べよう。
準備が終わって御飯の時間になった。
「普通に美味しそうですね。野菜炒め以外。」
「そうですね。野菜炒め以外。」
ごめんって!
火加減間違えちゃっただけなんだって!
皿の上には見るも無惨な色になっている野菜炒めの姿が。
言い訳させて下さい。
だってさ?
電気がないから、ご飯も釜で炊かなきゃいけないし火加減だって自分で見なきゃいけないんだよ?
だから……さ?
すいません!
「まあ、食べますか」
「そうですね。とりあえず食べましょうか。」
「ごめん……」
「―――うん。刺し身おいしですね。」
「―――はい。ご飯も美味しいです。」
そんな露骨に野菜炒めを避けないで!
一口くらいは!
一口くらいは食べて下さい!
あ、でも焦げたものって発がん性物質とか含まれてるらしいし……
うん。やっぱ食べなくていいよ。
悲しいけど……
私は一口ずつご飯と刺し身を食べた。
おいし。
「そういえばですね。あくまで噂なんですけど、そろそろもう一回核実験が行われるらしいですよ。」
「え!まじで!どこらへんで?」
「いや、どこらへんなのかは知らないんですけど市場に行った時に隅の方で怪しい人たちがそんな感じのことを言ってました。」
何そのあからさまに怪しい集団。
「だとしたら、あの作戦を決行しますかね。」
「そうですね。今しかないしょうし……」
「え?え?なんですか?何をするんですか?」
「あ、あー、えーっとね?まあ説明すると―――」
一通り作戦を説明した。
「えーっと?それ本当にできるんですか?」
「うーん。まあ、出来ない可能性のほうが高いだろうね。でもさ、ここでどうにかしないと更に殺傷能力の高い兵器が用いられる可能性があるから、尻尾を出す今じゃなきゃだめなんだよね。」
「……まあ、そうですね。俺も頑張ってみることにします。それじゃあ早速案を出したいんですけどここの部分って―――」
「―――はい。確かにこっちのほうが良いですね。でも―――」
えーっと?
私の入る場所は?
……ないですね。はい。
悲しい。
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