10.なにそれ?かっけぇ!

 山本さんが、瑠衣野さんに能力を発動出来たから仲間にすることにした。


 これで3人目……いつになったら能力者(悪いやつ)に対抗できるような人数になるのでしょうか?




 「あの。」




 ん?瑠衣野さん?なんですか?告白ですか?


 ごめんなさい。


 私には心に決めた人が―――すいません。


 私には恋人はおろか親友と言える人もいません。


 でもね、陰キャ諸君!


 私には友達はたくさんいるんだ!


 お前らとは違う!


 ……ほんとすいません。


 まじですいません。


 気をつけます。




 「あの、盗聴器の件なんですけど……」




 盗聴器?あ、あぁ、あれか。


 もう、色々と色々で色々だったからすっかり忘れてたわ。


 結局なんで聞こえなかったんだろ。




 「あれで、なんか収穫得られたんですか?」


 「盗聴器?」


 「えっとね。山本さんのことが怪しかったから昨日盗聴器を仕掛けたんだよ。」


 「えっ?ってことはもしかして……」


 「で?収穫は?」




 めっちゃ食い気味に来るじゃないですか。


 まあ、忘れてた私が悪いんだけどさ?




 「なんかね?なんにも聞こえなかったんだよね。今でもよくわかんないんだけど……」


 「え?それ最初に言うべきことですよね?何してるんですか!」


 「あ、はい。すいません。」




 なんか、ほんとにすいません。




 「で?どういうことなんですか?山本さん。」


 「えっとですね。多分コレのことですよね?」




 そういうと山本さんはポケットから私が仕掛けた盗聴器を取り出した。




 「それです。それをなぜあなたに仕掛けた時に聞こえなかったんですか?心当たりとかあるんですか?」




 だから、瑠衣野さんや、食い気味すぎやしませんかね?


 もう山本君怖がってるよ?


 やめてあげなよ。




 「はい。心当たりっていうか、まずこれを見つけたのが寝床の準備をしようと思ったときだったんですよ。で、その時は誰のものかもいつこんなものを持ったのかもわからなくて、とりあえずそこらへんに置いといたんですよ。多分そのせいで何も聞こえなかったんじゃないですかね?」


 「なるほど。一応筋は通っていますね。」




 ほんと?筋通ってる?


 なんでコレ持ってるのかもわからないからってそこらへんに置いたって言ってんだよ?


 明らかに怪しくないですかね?


 まあ瑠衣野さんがそれで良いのなら良いけどさ?




 「なら大丈夫です。」




 あなた、聞くだけ聞いて自分が理解したらあっさり終了ですか。 


 なんか山本君、可哀想。




 「じゃあ、これで一切の憂いもなくなったわけだしこれからは仲間として一緒にがんばりますか。えいえいおー!」


 「「お、おー?」」




 なんか、急に私が変なこと言い出したみたいな空気になったじゃないですか。


 どうしてくれるんですか!




 ……はい。すいません。


 私が悪いです。


 もうやりません。


 私はこれから何回謝ることになるのでしょうか。






 ……だからさ?


 その目やめて?


 二人から変な人を見るような目で見られたらね?


 さすがにね?


 心にね?


 くるものがありますよね?




 ……なんか、最近心にクリーンヒットする目線をすげー浴びせられてる気がする。


 そういうのは、あっち方面の人にやって下さい。


 私にやっても、需要も供給もありませんよ?




 「で、今から山本くんが知っている情報を教えてほしいんだけどいいかな?」




 半ば強引に話を切り替えたのは許してほしい。


 さすがの私でもこんな、地獄みたいな空気の中で平気でいられるほどタフじゃないんだ。




 「あ、は、はい。いいっすよ。」


 「それじゃ、私が質問してったほうが良いかな?」


 「いや、大丈夫です。多分俺一人で言ってったほうがまとめられると思うので。」


 「じゃ、お願いします。」


 「分かりました。」




 「とりあえずどこから言えば良いんでしょうか?……それじゃまずは、これを」




 そう言うと山本くんはスマートフォンの最終進化系みたいな形をしたものを取り出した。


 なにそれ?かっけぇ!




 「これは……まあ、簡単に言うと、スマホの完全上位互換みたいなものですかね。これだけで、スマホにある機能はもちろん、簡易的な炎を出すとか透明になるとか空を飛ぶとかの能力なら使えるっていうめっちゃ便利な機械です。」




 祝!私の直感。外れてなかった! 


 やっぱスマホの進化系だよね。


 さすが私!




 で?


 えっと、何だっけ?


 ……あ、そうだ、それ仕えば簡易的な能力なら使えるっていう話だった。 


 それって、普通に強くね?


 単純な強化じゃん。




 「まあ、これにも一応電気に似た新しい資源を使われているので、何も使わないオリジナルよりはお取りますけどね。」




 それでも、すごい。


 その資源以外だったら、殆ど能力は変わらないんでしょ?


 ……あれ?簡易的な能力持ってる能力者っていらなk―――。


 うん。言うのはやめておこう。




 「これの地図機能を使いながら話していきますか。」




 なんか、山本君が強化版スマートフォン操作しだすと、3D地図みたいなものが浮かび上がった。




 「今映し出されてるのは能力者区画の地図です。これを見ながら説明していきます。」




 すげー、能力者すげー。




 「それじゃ時系列順に言っていきますかね。まず、俺は別に普通にいつもどおりに生きてたら、あの光と音がきて心の中に声が聞こえてきて今の能力を手に入れました。ここまでは皆さんも知ってると思います。で、その後、俺は能力者区画にある俺の家になる場所に転移で連れてこられました。地図で言うここらへんの部分ですね。その時はもし暴力沙汰とかになった時に非能力者が危ないからって言たんですよね。まあ、その時は特になんとも思わずへーそうなんだ~みたいな感じに思ってました。ちなみに部屋の中は、普通にきれいで、この家の二倍くらいの大きさがありました。」




 ……やっぱ、扱いが違いすぎる。


 これが格差社会か。


 悲しい……




 


 「で、外に出てみたらそらとぶ車とか、大量のドローンとかが飛んだりしていて近未来みたいな空間になっていました。多分能力によって頭が良くなった人とバフ能力持った人とかが力を合わせて短期間でつくったんだと思います。まさか人類がここまで進歩できるなんてって思ってその時はほんとに感動しました。」




 多分スマホもそれ関連なんだろうな。


 あとさ、山本君さ、感動したって……


 それってどうなの? 




 「で、そんななかしばらくすると能力者が非能力者区画でかく実験を行って何十人かが亡くなったっていう噂が流れてきました。みんな本当のことなんだろうなって思っていたんですけど、上層部の影響力が強すぎてだれもそのことを口に出していませんでした。」




 明らかに嘘の情報が流れてる。


 しかも、こういう噂ってそこそこ正確性のある情報が流れてくると思うんですがね?




 「で、そこらへんでよく考えたらおかしいことが多発していることに気がついて、その理由を知りたいと思って兵に志願しました。まあ、兵時代は殆ど話すこともないんですけどね。兵の基地は俺たちにも隠されてたので大体の位置しかわかりませんが、海の近く、だからここらへんですね。」




 山本くんは東京湾の辺りを指さした。


 えーっと?




 「ちょっといい?」


 「え?はい?」




 地図を拡大すると日本全土が映し出された。




 へーさすが能力者。こんなものまでつくっていたとは…………?……!!




 そこで、私は気づいた。


 日本が北と南に分断されていることに。


 北が非能力者区画で南が能力者区画みたいな感じに。


 真ん中の方は、関東が能力者で北陸が非能力者になっている。




 ……あのさ?


 別に北陸を悪く言うつもりはないよ?


 ないんだけどさ?


 いくらなんでも、使える土地を全部持って行き過ぎではないですかね?


 戦っても勝確になるように万全の注意を払ってるってのは分かんだけどね?


 生活にも支障をきたすんですわ?




 「で、ある時に兵の任務でこの非能力者区画に来ました。で、そこでなんやかんやあって今はここにいます。」




 うん。話長かったけど、とりあえず能力者が腐りきってるってことはわかった。




 「この、強化スマホは夜井さんに渡しておきます。夜井さんとは通話できないからこれを持っておいた方が良いと思うので」


 「え?いいの?ありがとう。」


 「いえ。でも、僕が必要になったら貸してくださいね?」


 「もちろんだよ。」




 うん。普通に嬉しい。


 あ、夜井っていうのは私の名字。


 フルネームは夜井灯よるいあかり。




 まあ、それはさておき普通にこの機械をもらえるのは嬉しい。


 だって、私でも能力使えるってことでしょ?


 で、私に能力は聞かない。(多分)




 もう私、vs能力者最強じゃん!


 これは天下取れる!




 そんな、希望を胸にいだいて半日が終わった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る