08.不思議なこと
はい!夜になって瑠衣野さんが帰ったので、怪しい人の生活を覗いていこうのお時間でーす。
パチパチパチー。
まあ、瑠衣野さんの時と同じように受信器から聞こえてくる音を聞くだけだから覗くっていうか聴くなんだけどさ。
で、あの男の人がここから去ってからしばらく経ったしそろそろ一人になったころだろうから本性が現れるだろう。
デュフフ、どんな様子を晒してくれるんでゲスかね。
こんなこと言ってるけど、あんまりこれに期待はしてない。
能力でこっちの思考とか読まれたり、透過とかされたら私達のやりたいことなんてバレバレだからね。
だから、一応保険みたいな感じで使うのが良いだろうって私は思うんだけど瑠衣野さんが提案した案だしもちろん瑠衣野さんはそんなことわかって提案したんだろう。
ほんと天才のしたいことって凡人にはわかんない。
で?ここまで話引き伸ばしたりしたけど何も聞こえないんですが?
なんで?
気づかれたかな?
うーん、もし気づかれてたらどうやって味方になるかどうか見極めようか……
…………わからん!
そういうことは瑠衣野さんに任せよう!
うん、そうしよう。
それから一時間くらい粘ってみたけどなんにも聞こえてこなかった。
悲しい。
なんか、募集してた人の家に行ったら時間がないから明日また来てって言われた。
もしかしなくても俺すごい怪しまれてる?
そりゃそうか。
いきなり家に押しかけてきて、僕能力者なんですけど仲間に入れて下さいって言ったらそりゃ怪しまれるわな。
で、一つ不思議なことがあった。
募集していた女の人の心の声を聴こうとしてみたら、弾き返されたみたいになって聴くことができなかった。
非能力者は全員そうなのかな?と思ってそこらへんにいる非能力者の人たちの声を聴いてみたら問題なく聴くことができた。
だから、あの女の人だけに弾き返す能力があるってことになる。
だからあの女の人は能力者なんじゃね?って思ったんだけどそれがほんとならおかしなことが一つある。
それは、女の人が能力者区画に転移させられなかったことだ。
あのとき、派手な能力を持った人はもちろん、俺みたいな外見からじゃわからない能力を持った人まで全員能力者区画に転移させられた。
ということは能力者かどうかわかるみたいな能力を持った人がいて、それで能力者かどうか識別して転移させたんだと思う。
だけど、あの女の人は転移させられなかった。
だからあの女の人は能力者ではない。
でも、能力が効かないっていう能力をあの人は持っている。
あーよくわからん。
こんがらがってきた。
もう考えるのはやめよう。うん。
考えててもどうにかなることじゃないしね。
そんなことより今日寝るところを探さないと……
野宿はやだー。
それから一時間くらい宿屋みたいなところを探したけどそもそも宿屋がほとんどなくて、やっと見つけた宿屋に入る直前に、お金を持っていないことに気がついて野宿することになりました。
うん。なんていうかね。
さすがに馬鹿すぎる。
……やめてっ、そんな可哀想な人を見るような目で見ないで!
それほんとに俺の心にダイレクトアタックしてるから!
よし、もう俺過去のこと振り返らない。
人間ね?やっぱり過去の事ばっかり考えててもしょうがないと思うんですよ。
だから、これ以上そんな目で見ないで!
だめ?そうですか……
まあ、そんなことは置いといて、俺が今いる場所の情報でも整理しますかね。
今いるこの場所は、スラム街から離れた周りになにもない平原のようなところ。
近くにめっちゃ透明な水の小さい滝見たいのがあった。
あと、小動物みたいのもいる。
以上!
え?もっと説明することないのかって?
だってさ、本当にこれだけしか情報がないんだもん。
なんか北海道に来た気分。
こんな場所が日本に実際にあったんだなって感動したもん。
映像とかで見るのと実際に見るのでは違うっていう話はよく聞くけど、実際にきてみたら本当に違うんだなー。
で、でですよ。
さっき説明した3つの情報あるじゃないですか?
その3つしかない情報なんだけど、そのうち2つがめっちゃ大事なんですよ。
まず、滝。
滝のおかげで水を確保できるし、体を洗うのに使うこともできる。
次に小動物。
これは、俺が食べるわけじゃなくて単純に売ってお金にすることができる。
お金は大事だからね。
薬だったり、生活必需品だったりは買わないといけないから小動物はお金に変える。
宿屋に泊まれず無一文の今を脱却するための2つの柱ですね。
それじゃ整理も終わったしもう夕方だしとりあえず今日の寝床の確保をしますかね。
そう思ったときだった。
「ガシャッ」
ポケットの中でそんな音が聞こえた。
何かと思ってポケットの中に手を入れてみると金属のような感触が伝わってきた。
え?俺金属みたいなものなんてポケットに入れたっけ?
取り出してみると、マイクのようなものがついた機械部品のようなものが出てきた。
ん?なにこれ?
絶対に俺のものじゃないけど……誰の?
まあ、とりあえず誰のものかもわからないし俺もいらないからそこらへんに置いておきますか。
いつかとりにくるよ。きっと。多分。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます