03.能力者の俺
その時が来たのはいきなりだった。
いきなり大きな音と光に包まれ、驚いていると心のなかに何か声が聞こえてきた。
SNSを見てみると、半数ほどの人が聞こえていたらしくその聞こえた内容が実際の自分の能力として使えるようになるみたいだった。
俺の場合は
《通話》
という声が聞こえた。
実際にそれを使うという意思を持つと使えるようになるらしいんだけど……
出来ない。なんで?
……あっ、もしかして相手を指定しないといけない感じ?
試しにお母さんを選んでみた。
すると
『今の何だったの?もしかして近くで事故だったりが起きたのかしら?』
と聞こえた。
俺はどうやら相手の心の声を聞ける能力を得たらしい。
……通話ってなんだっけ?
まあ、いいか。
でも、色々見てたら炎を出せる能力とか空を飛べる能力とかかっこいい能力を持っている人がいて、良いなーっておもっちゃうよね。
だって、俺みたいな高1の厨二病真盛りの時期に周りがかっこいい能力を得てる中、俺は通話だよ?
……ないわー。
とりあえず、明日は学校みんな休むだろうし友達呼んで色々この能力を検証してみますかね。
いろいろ検証してわかったこと。
この能力弱い。
能力は、【自分が聞きたい相手の心の声を聞くことができる。また、自分と相手が許可した場合自分の声も相手に聞こえる】というのだった。
いや、ね? 別にスパイとかなるんだったら、強いんだろうよ?
強いんだろうけど、別にそんな危険を犯したくないしいい感じに使うことはできなさそう。
で、この能力強いところがあってですね、なんと、離れていても関係なくどこでも話すことができるんです!
まあ、あくまで話せるだけで見ず知らずの人の声は聞こえない。
……うん。いつか最強能力に化けることを祈ろう。
はい、いきなりですが政権乗っ取りが起きました。
どうやら強い能力を持った人たちが国会とかを襲撃したらしい。
まあ、別にあんまり俺には関係ないんだけどね。
別に誰が首相になったってそんな変わんないでしょ。
あと、なんかその乗っ取った人たちが非能力者を差別する運動を起こしたらしいけど……馬鹿じゃないの?
流石に誰もそんなの相手にしないってw。
って思っていたらなんか強い能力を持った人たちがほぼ全員そっち側についたから俺たちも差別する側につくことになった。
悪いことってわかっていても集団心理でこっち側についてしまった。
ちょっと自己嫌悪。
そんな一喜一憂していたある日いきなり見ず知らずの部屋に転移した。
最初は意味わかんなかったけど、どうやら能力者と非能力者が一緒にいたら暴力沙汰になってしまったりして危ないから転移させたらしい。
まあ、これはしょうがないと思う。
びっくりしたけど……
友達に会えなくなるのは寂しいけど一緒にいたら暴力で解決したりしてしまう人が増えるだろうしね。
みんな元気にしてたら良いなー。
親とは違う場所に転移した。
悲しくはないんだけど、心配は一応する。
まあ、それよりも……
とりあえず一通り部屋をみたら外に出ていろいろ見回ってみますか。
密かに楽しみだったんだよね。
はい、まずは部屋見ますかね。
ぱっと見前の自分の部屋よりも綺麗だけどいつの間にこんなの建設されてたんだろ。
……あ、能力で作ったのか。
すごいな。
この短期間で作ったわけでしょ?
例え、バフみたいのをかける能力があったとしても相当頑張らないと出来ないよ。
多分だけど非能力者たちの家は粗末な家になってそうだし、なんか可愛そうだとは思うけど別に助けてやりたいとかは思わない。
赤の他人のために命をかける必要はないのだよ。
その後、生活の設備などを見て外に出た。
外に出るとそこには近未来のような世界が広がっていた。
多分能力の力で頭が良くなった人が発明したんだろうな。
そら飛ぶ車、見たことのない建物、大量のドローン。
まるで某国民的アニメみたいな光景だった。
そして俺はつい舞い上がってしまい、はしゃいでしまった。
ま、まあ別に周りの人もはしゃぎまくってたから俺だけがおかしいわけじゃない。うん。
その後色々と遊んでしまったのは内緒だ。
そして、この生活にもなれてきた頃にこんな噂が流れてきた。
「政府が非能力者の住んでいる場所で核実験を行い何十人か亡くなった」と。
この噂は結構広まっていて誰も声に出さないけど多分本当のことなんだろうなとは思っている。
でも誰もそんなことを言わない。
言ったら強い能力者によって粛清される可能性があるからだ。
されたという噂はまだ聞かないけれど、今の政府ならやりかねない。
そんな中、俺は正義感とかは全然ないけど今の非能力者の状況が気になった。
いや、気になったと言うかこのままではだめだと思ったんだろう。
何も知らず、周りに流されている自分が。
それに、流石に今までおかしいことが続きすぎていたからその原因を知りたかったっていうのもある。
いきなりここに日本人の半数が転移したこととか、そもそも能力が発現した事とかね。
ていうかどっちかって言うとこっちの方が気になった要因でもある。
俺の悪い癖でもあるんだけどどうしても俺は知識への好奇心に逆らうことができない。
そんなわけで俺は兵に志願した。
少し前まで他人に命掛ける必要なんてないなんて言っていた俺とは思えない行動だった。
志願しただけで受かるかどうかはわからないんですけどね……
そんなわけで俺は一歩を踏み出した。
それが地獄への一歩だったのか、天国への一歩だったのかは今でもわからない。
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