5話目。とりあえず浄化まで暇つぶしをする。

浄化まで残り三か月。地球からグッバイすることが確定しているので、それまでこの世界を堪能しようと思った。

「まずは食事でも覗かせてもらうか」

 入った家は煙突がある家でそこは暖炉があって掘りごたつがあってその炬燵の上でミカンを食べているおばあさんがいた。

「おやおや、こんなところに幽霊さんがいるわ」

「おばあさん、俺が見えるのかい」

「当然だわ。私の家は代々霊媒師兼占い師をやっていて除霊師もやっているのだからね」

  なんならすぐにこの場で除霊されてもらおうかとも思ったけど、やめておいた。まだこの世界に未練があるからだ。

「おばあさん心配しないでも俺はあと三か月でこの世界から浄化されます」

「おやおや。それを本人が知っているのかい」

「ええ、死神ではないんですけど、悪魔と天使と話をつけたんで。ところでおばあさんの頭の上に出ている光はなんだろう」

「私の頭に光があるのかい?」

「ええ、料理スキルと書いてある」

「ふむ。私は昔、中華の料理を営んでいたからね。そういうのもあるかもしれないね」

「おばあさん。そのスキル。俺にくれませんか?」

「あげれるものならばあげたいよ。どうせこの先老い先短いし、中華はもう食べないし振るわないし、和食中心で生きていこうと決めているからね。人生の最後は」

「ではその中華料理スキル、頂ます」

 俺はおばあさんのスキルの欄の一番伸びている中華料理スキルを強奪することにした。異世界で中華料理を営む日は来るのだろうか。はたして、と最後に付け加えた俺だった。

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