第9話

特殊部隊

下半身が血塗れになった美雪を田口は抱いた。

「痛い」美雪は泣いた。

他の女の子も泣いていた。


「もう、こいつらも用済みだな。」

バンパイア達は、田口や美雪、佳奈、心、美嘉、知子に向かって言った。


松頭三次はカメラに向かって言った。

「お待ち人間の時代は終わった。これからはバンパイアが世界を支配する。」

「代表、警察の特殊部隊が…」

「ふふふ」と松頭は笑った。


渋川課長はメンバーを見て分かった。

ほとんどが、高齢者で定年まじかの部隊。

玉砕させる気だ。そして…ミサイルで島ごと爆破か?政府のやりそうな事だ。


特殊部隊は西の船着場に着いた。


船着場の建物を包囲した。

誰も中から出てこない。

「人質を解放しろ。周りは取り囲んだぞ。」

その時だった。

バンパイアは次々とゆっくり出てきた。


「止まれ。止まらんと撃つぞ!」

ダダダダ…機関銃が鳴り響いた。

彼らの服は破れたが、無傷だった。

彼らは歩いてくる。


バリケードを掴むとほおり投げた。

ビューンと100mくらい軽く飛んだ。

「これがバンパイアの力か!」

ボン、バンパイアの一撃が警官の頭にめり込んだ。


特殊部隊は逃げた。為す術もなかった。

バンパイア達は、ゆっくりと追いかけてきた。


桟橋を走り、特殊部隊は元いた護衛艦に戻ろうとした。

しかし、護衛艦は受け入れなかった。

無視して出港しようとしていた。

「何故だ!何故なんだ!」警官達は口々に叫んだ。渋川は死を覚悟した。


桟橋の先から朝日が登ろうとしていた。

しかし、今のバンパイアにとって朝日は敵ではなかった。


日は登った。


奇跡は起きた。

「うぎゃー」次々にバンパイア達は陽の光を浴びて消滅しようとしていた。


「なぜ?何故なんだ?」

建物の中にいた松頭は叫んだ。


渋川は走った。

建物の中に入った。女のバンパイア達がいた。

「女のバンパイアに弾はきくのか。」

そう思ったが撃った。バン!

女のバンパイアは倒れた。きいた!

「手を挙げるんだ!」


田口たちがいた。

「カメラを回してくれ!」渋川は言った。

司会者は撃たれた肩を庇いながら、カメラを担いで外へ出た。

消えていくバンパイアが全国放送された。


「もう、この島にはバンパイアはいない。」


松頭はヘリで他所に逃げていた。

もう、彼には居場所はなかった。


皆、救助された。

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