8 嫌になる毎日

その日からは、波乱の連続。

「えー、アイツが足積さんの兄?」

「顔全然良くないじゃん」

「それならイケメンなお前が兄になればよかったのに」

「…と言われてもー」

あーもうっ。

ムカつくわっ。

やっぱ、俺と美咲じゃ、天国の神様と地獄民みたいな感じくらいに差がありすぎるのか?


毎日、悪口ばっか言われて、嘲笑われて、もう嫌。

ある日、学校から家に帰って、制服も脱がずにベッドに寝っ転がった。

とりあえず、あの日からのことを忘れたかった。

やっぱり、あんな公開しなきゃよかった。

そして、一緒に登校しなければ……。

コンコンコン

誰かがノックしてきた。

ん?

「はぁ~い」

早希母さんが洗濯物畳んで持ってきてくれたのか?

そう思ってると…。


入ってきたのは、美咲だった。


「…達哉、最近大丈夫?」

「…え?いや大丈夫」

「…ホントに?」

「…うん」

嘘だ。

そんなこと、嘘だ。

俺は今、史上最高に辛い。

「…嘘つき」

……まったく。こういう時だけは敏感なんだから。

「…なんか、色々悪口言われてるんでしょ?」

そこまで言われちゃあ、隠すわけにもいかない。

「…ああ。アイツが美咲の兄か、って」

「…何言ってんの、あいつら」

…え?

なんで怒ってんの?

「ボッコボコにしてやる」

意味不明に、美咲は握り拳を作る。

「お、おい美咲?」

「あっ…あっ‼ごめんっ‼」

美咲は我に返ったように、勢いよく頭を上げ、勢いよく下げる。そして、勢いよく上げる。

「…ねえ、達哉、私にしてほしいこと、ある?」

「え?してほしいこと?」

なんで急にそんなこと聞くんだろう……。

「…ん~……」

美咲に、してもらいたいこと……。

どうしたら、この辛さが、少しだけの時間でも無くなるのか。

…お。

今までやって欲しかったこと、思いついた。

「…毎日、屋上で弁当食べねえ?」

「あ。それいい!私もしたかった!」

…やっぱ、この、目の前にいる女は鈍感だ。

まあ、鈍感でよかったけど。

それよりも、今夜と、明日からの弁当が楽しみ!

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