6 やっぱり見つかる

次の日、俺が起きたのに美咲が全然起きて来ない。

おい、いつも学校来るの早いのに、なんで起きて来ないんだ?

「ああ、もう。達哉くん、美咲起こしてきてくれる?」

コーヒーを吹き出しそうになった。

まさか俺が頼まれるとは。

「…はい」

タッタッタッ

階段を上がる。

美咲の部屋は、俺の部屋の隣だ。

うう、今まで美咲の家にも入ったことない、というか、そっちの学区にも入ったことない。

スー、ハー。スー、ハー。

深呼吸深呼吸。

よし。

入る。

ガチャ……

美咲はまだ寝ていて、綺麗な寝息を立てていた。

さすがにそろそろ起きないと、学校遅れるぞ。

「…美咲」

小声で言ってみるけど、全く起きない。

「みーさーきっ」

「ん……」

中くらいの声出せば起きるのか。

「…って、うわ達哉」

「あっ、勝手に入ってごめん」

「いや、びっくりしただけ」

「あ、そうか。美咲、早く起きないと学校遅れるよ。というか、朝練したいんじゃないの?」

「ハッ、朝練‼」

朝練という言葉で目が覚めたのか、急に立ち上がって階段を下りて行った。


ううう、一緒に学校行っても大丈夫なのか。

秘密にしろって言われてるだろ。

ま、いいか。

美咲の情報によるとバレても大丈夫らしいし。

というかバレたら大丈夫じゃなかったらどうなるんだよ。

「…早く気付かれたほうがいいよね?」

「…確かに」

まず学校に行くのに、強敵がいる。

俺の幼馴染の、浅宮華恋。可愛い系の女子だ。噂話を聞きつけると、すぐにほかの人にバラす。

そろそろ家出てくるはずなんだけど……。

「あのな、俺の幼馴染で浅宮華恋っているんだけど、そろそろ家出てくるはず…」

と言うと、案の定華恋が家を出てきた。

「あれっ、達哉じゃん。それに美咲」

え?華恋って美咲と友達なのか?

「なんで一緒にいるの?」

やっぱり深掘りしてきた。

俺は美咲と目を見合わせる。

「なんかね、昨日急に部活前に同時に二人のスマホが鳴って」

「電話に出たらいますぐ+777に来いって言われて」

「カフェに行ったら達哉がいて」

「説明によると俺ら義理の兄妹になったらし…」

い、と言い終わる前に華恋は走り出した。

ああ、これはバラしに行くやつ。

ま、いっか。

「作戦成功!」

美咲とハイタッチ。

こういう意味のハイタッチは、美咲とは初めてだった。

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